「20歳のときから10キロ以上太った」「ちょっと血圧が高い」「親族に糖尿病の既往歴がある」─ひとつでも当てはまったあなたは「かくれ糖尿病」かもしれません。この記事では、世界中の研究データからわかった最新の医学知識をもとに、糖尿病予備群・軽症患者の方でもムリなく続けられる「正しい改善ルールと生活習慣」を解説した『世界中の研究結果を調べてわかった!糖尿病改善の最新ルール』(著者: 坂本昌也/あさ出版)から一部を抜粋して紹介します。


今回のテーマは『怖いのは糖尿病ではなく、心不全、腎不全、認知症』。

○糖尿病による合併症が健康寿命を縮める

糖尿病が怖いのは、血糖値が高いことではなく、その状態が続くことで全身の血管や臓器に少しずつダメージが蓄積し、やがて心不全や腎不全、さらには認知症といった深刻な病気を引き起こすからです。

いわゆる合併症の発症です。

心臓への影響は特に大きく、糖尿病歴が15年以上になると、心不全のリスクが2倍以上に高まるという報告もあります。

糖尿病があると冠動脈の動脈硬化が進みやすく、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患が起こりやすくなります。

しかも、心疾患にある典型的な胸の痛みが出ない「無痛性心筋梗塞」も多いため、知らないうちに病気が進行し突然の発症につながる危険性もあります。
日本人の2型糖尿病患者の合併症(心血管疾患または腎臓疾患)を見ると、心不全が約3割を占めています。

腎臓への負担も深刻です。

腎臓は細かい血管の集合体で、高血糖が続くとこれらが少しずつ傷つき、機能が低下します。これが糖尿病性腎症で、進行すると人工透析が必要になります。

日本では新たに透析を始める患者の原因疾患として糖尿病性腎症が常に第1位であり、2型糖尿病患者では合併症(心血管疾患または腎臓疾患)の約4割が慢性腎臓病(CKD)とされています。透析は週に数回、数時間を費やす大きな負担となり、生活の質が著しく低下します。


さらに脳の血管も影響を受け、脳梗塞や脳出血のリスクが高まります。近年特に注目されているのが認知症との関係で、2型糖尿病の人は認知症になるリスクが健常者の約2倍といわれています。

血糖値が高い状態は神経細胞を傷めやすく、アルツハイマー型認知症や血管性認知症を招く要因となるのです。

糖尿病が怖いのは、こうした合併症がほとんど自覚症状のないまま進んでしまうことです。心臓や腎臓、脳の血管や細胞は長い時間をかけて傷み、ある日突然、心不全や腎不全、脳梗塞として表面化します。そのときにはすでに重症化していることも多く、治療の選択肢は限られてしまいます。

糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、言い換えると、「血管の老化を加速させる病気」でもあるのです。誰でも年齢とともに血管は老化しますが、糖尿病があるとそのスピードが何倍も速くなります。

だからこそ、「血糖値が少し高いだけ」と軽く考えず、早い段階からの対策が必要なのです。わたしたち専門医の目標も、単に血糖値の数値を下げることではなく、合併症を予防し、健康寿命を守ることにあります。

○『世界中の研究結果を調べてわかった!糖尿病改善の最新ルール』(著者: 坂本昌也/あさ出版)

本書では、6万人の臨床データをもとに、血糖・血圧・脂質の3つの指標が季節と連動して悪化する「ABCトリプルリスク」の存在を、世界で初めて科学的に実証した著者が、最新医学に基づいて、数値を安定させる生活習慣とその実践法をわかりやすく解説。
これまでの「食事・運動療法」だけでは改善が難しかった糖尿病予備群や軽症患者に向けて、より実践可能な“季節に合わせた生活習慣”による数値改善法を提示しています。

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