宝島社が発行する月刊誌「田舎暮らしの本」は1月5日、「2026年版 第14回 住みたい田舎ベストランキング」を発表した。同ランキングは、移住・定住の促進に積極的に取り組む全国の市町村を対象に実施され、547市町村からの回答をもとに、田舎暮らしの魅力を数値化した。

○人口別に村、町、市別ランキングを発表

26年度に「人口1万人以上の町」区分で総合1位に輝いたのは茨城県境町。手厚い子育て支援や住宅補助制度などが高く評価され、昨年の「移住者増の人気地ベスト100」でも1位を獲得。今年は、総合部門、若者世代・単身者部門、子育て世代部門で1位となり、依然として高い人気を誇っている。また、「村ランキング」及び「人口5万人以上10万人未満の市」ランキングでは、いずれも長野県の自治体が上位を獲得。「読者が選ぶ移住したい都道府県ランキング」でも長野県が20年連続1位となるなど、同県への注目度の高さが改めて浮き彫りとなった。「人口10万人以上20万人未満の市」区分においてトップを飾った愛媛県今治市は、4年連続で4部門すべてトップとなるなど、根強い人気を集めている。

○村ランキング

村ランキングでは、総合部門および子育て世代部門で長野県宮田村が1位を獲得した。若者世代・単身者部門では奈良県下北山村が1位となり、シニア世代部門では群馬県嬬恋村が1位に選ばれた。

中央アルプスの最高峰・駒ヶ岳の雄大な自然に抱かれながら、居住エリアは半径2㎞のコンパクトな長野県宮田村。世界的に評価されるウイスキーから伝統ある奇祭まで、文化的資源にも恵まれている。通勤・通学・買い物など、日常の生活動線が短く、心地よい田舎暮らしが可能とされる。同村では、3歳未満児を対象に年間20時間まで無料で利用できる託児制度を設け、それ以降は1時間400円で利用可能。
ほか、0歳から2歳児までを対象とした未満児専用保育園もある。また、長野県内で初となる良品計画がデザインを手がけた移住体験住宅もオープンした。

奈良県下北山村は、世界遺産である大峯奥駈道が村内を通り、村域のおよそ半分が吉野熊野国立公園に指定されている。村産の木材を使ったおしゃれなコワーキングスペースや移住交流体験施設が充実。地域おこし協力隊制度を活用して森を守る自伐型林業の人材育成にも取り組んでいる。

シニア世代1位の群馬県嬬恋村では、手厚い高齢者温泉保養事業で、65歳以上の村民は提携温泉施設を格安で利用可能。軽井沢駅から車で約40分の立地にありながら物件価格が手頃で、物件数も豊富。浅間山や四阿山、白根山といった日本百名山の絶景も魅力として挙げられる。
○人口1万人未満の町ランキング

人口1万人未満の町ランキングでは、総合部門およびシニア世代部門で北海道沼田町が1位を獲得し、若者世代・単身者部門と子育て世代部門では山口県阿武町が1位となった。

半径約500m圏に住まいと生活インフラを集約した「農村型コンパクトエコタウン構想」を掲げ、"歩いて暮らせるまちづくり"を進める沼田町では、全国初となる公設民営クラフトビール醸造所「石狩沼田ブルワリー」のビールが楽しめる。夏は美しく幻想的なホタルが飛び、道内唯一の喧嘩あんどんで知られる「夜高あんどん祭り」は今年で50回目を迎える。冬にはリーズナブルな「ASHIMOI KANKO 高穂スキー場」があり、四季を通じて自然を楽しめる。
また、同町では、20代の新婚世帯が新築した場合に最大570万円に加え、子ども1人につき50万円を支給する「住んで快適住まいる応援事業」を実施しているほか、子育て世帯に対して毎年地元産の米60kgを提供。小・中学校の給食費・高校生までの医療費も無料となっている。

山口県阿武町は、古き良き風景や人の温もりが残る町。豊かな森・里・海の恵みを生かした体験プログラムや仕事が多種多彩に揃っている点も魅力とされる。また、子どもの数が少ない町であることから、限られた予算の中でも手厚い育児サポートが行き届いている。
○人口1万人以上の町ランキング

人口1万人以上の町ランキングでは、総合部門、若者世代・単身者部門、子育て世代部門の3部門で茨城県境町が1位を獲得した。シニア世代部門では鳥取県琴浦町が1位となった。

茨城県境町では、ハワイでのホームステイ、英語合宿、プロ指導のスポーツ教室がすべて無料で受けられるほか、世界大会、日本最高峰の花火大会、自動運転バスやドローン活用など、"世界クラスの体験"が生活圏内にあるのが魅力。また、25年間居住した場合に新築戸建てを無償で譲渡する制度をはじめ、家計に直結する各種経済支援が子育て世帯の移住を後押ししている。

鳥取県琴浦町は、自然や風土、豊かな恵みに育まれた食文化など、多くの魅力が詰まった町。シニアのサークル活動が盛んで、みんなが楽しみを見つけて元気に活動している点が特徴とされる。移住者が町への愛着を持ち、さらに新たな移住者を呼び込む循環も生まれている。
また、大山から日本海までの豊かな自然を生かしたイベントも続々開催されている。

○人口3万人未満の市ランキング

人口3万人未満の市ランキングでは、すべての部門で大分県豊後高田市が1位を獲得した。

同市では、2025年4月から、市内唯一の高校・高田高校へ無料で昼食を提供する取り組みを開始し、0歳から高校生までの「医療費、授業料、給食費」完全無料を実現した。移住時から子育てや老後まで、年々増える移住・定住支援は現在190項目。子育て支援のアンジュ・ママンをはじめ、暮らしを支える民間団体の活動も盛んに行われている。また、国指定名勝3件および国登録記念物(名勝地関係)5件に象徴される豊かな自然風景にも恵まれている。
○人口3万人以上5万人未満の市ランキング

人口3万人以上5万人未満の市ランキングでは、すべての部門で千葉県いすみ市が1位を獲得した。

同市は、東京に近い立地にありながら、海・里・田園が広がる自然豊かなまち。人の温かさを感じる風土が移住生活や二拠点居住に適した地域として評価されている。高校生までの医療費を無料とし、小中学校では地産のオーガニック給食に対する全額補助を行っている。さまざまな暮らし方で地域に根付く移住者が多く、自分らしい働き方を見つける「小商い」も盛況だという。
○人口5万人以上10万人未満の市ランキング

人口5万人以上10万人未満の市ランキングでは、総合部門および若者世代・単身者部門で長野県飯田市が1位を獲得した。
子育て世代部門では福島県南相馬市が1位となり、シニア世代部門では宮城県栗原市が1位に選ばれた。

長野県飯田市は、豊かな自然と南アルプスを望む美しい景観が魅力。地元企業での職業体験が可能な「結いターンシップ」を実施しているほか、先輩移住者に直接会いに行ける人起点の移住支援にも取り組んでいる。

福島県南相馬市では、保育料、給食費、医療費の3つを完全無料としている。結婚、妊娠・出産から子育て、教育まで切れ目のない支援を実施。移住支援金として1世帯200万円に加え、子ども1人につき100万円などの加算制度も設けている。

宮城県栗原市は、「神の絨毯」と称される紅葉が見事な栗駒山や、約10万羽の渡り鳥が飛来するラムサール条約登録湿地の伊豆沼・内沼が広がる自然豊かなまち。東北新幹線の駅があり、東京・仙台へのアクセスも良好。空き家のリフォームに対して最大70万円の助成を行っているほか、40歳未満の移住者を対象に住宅の購入や新築に対する補助制度も設けている。また、お試し移住体験住宅を完全無料で提供し、移住定住コンシェルジュがニーズに合わせた情報を提供している。
○人口10万人以上20万人未満の市ランキング

人口10万人以上20万人未満の市ランキングでは、すべてで愛媛県今治市が1位を獲得した。同市は、絶景の島々や温泉地、利便性の高い市街地を併せ持つ町。
海運業やタオル製造関連など「企業への就職」や、農業やカフェなどの「起業」などチャンスも豊富。2024年には「日本子育て支援大賞(自治体部門)」を受賞するなど、子育て世帯への支援が手厚い点も評価されている。
○人口20万人以上の市ランキング

人口20万人以上の市ランキングでは、総合部門、子育て世代部門、シニア世代部門で山口県下関市が1位を獲得した。若者世代・単身者部門では秋田県秋田市が1位となった。

山口県下関市は、源平合戦や幕末・維新の歴史、フグに代表される食文化など観光資源が豊富。海峡沿いの便利な市街地と、自然景観に恵まれた地域の双方を備え、ライフスタイルに応じた居住環境を選択できる。空き家や遊休施設を公民共創で活用するリノベーションを軸としたまちづくりも活発に行われている。また、育て支援を最重要の取り組みとして、経済的支援はもちろん、相談体制の充実、遊び場や教育環境の整備などを進めている。

秋田県秋田市では、都内の移住相談センターと市役所が連携し、移住体験や就労支援、移住相談から定住後のフォローまでを包括的にサポートしている。オーダーメイドで案内する「移住相談ツアー」では、宿泊費と交通費について1世帯あたり最大5万円の助成を行っている。賃貸住宅は家族向けでも月6万円~10万円程度とされる。
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