2026年1月5日に発売された『将棋世界2026年2月号』(発行=日本将棋連盟、販売=マイナビ出版)は、歴代永世竜王特集として藤井聡太竜王・名人による自戦解説「藤井聡太が語る第38期竜王戦七番勝負」を収録しています。本稿では当記事より、一部を抜粋してお送りします。
○第2局 角換わり68手で藤井竜王の勝ち
●第2局は先手・佐々木八段の角換わり早繰り銀に、藤井竜王は腰掛け銀で対抗しました。これまでほとんど相早繰り銀で迎え撃っていましたが、温めていた秘策でしょうか。
公式戦でよく指されている形なので秘策ではないです(笑)。もともと腰掛け銀も相早繰り銀と同じくらい有力だとは思っていたのですが、いままであまり指してこなかったので、指してみようかなと。前期が相早繰り銀で完敗したので違う戦型にしてみようとも思いました。
●第1局もそうでしたが、戦型を散らすといった作戦面での思惑もあったのでしょうか。
そうですね。少し違う形を指してみようという気持ちもありますし、毎回同じ形だと対策をされてしまうということもあります。
●先ほどおっしゃった前期の佐々木八段との相早繰り銀では、それだけ研究の深さを感じていたということですか。
相早繰り銀は急所をつかむのが難しい戦型で、その将棋もまだまだだと思っていた局面が、考えてみると相当に苦しかったので、そういう怖さがあります。それが指していて面白いところでもあるんですけど、佐々木八段は研究はもちろん、経験も豊富なので、急所を熟知されているのかなと感じました。
(中略)
●夜、佐々木八段とダブルスを組んで卓球をしたと聞きました。
昔のタイトル戦だとそういうこともあったのかなというイメージがあるんですけど、最近だとなかなかないので、私にとっては新鮮でもありました。卓球は久しぶりで不安はあったんですけど、思ったよりは返せたのかなと(笑)。三枚堂七段がじょうずでした。
○第4局 角換わり右玉138手で藤井竜王の勝ち
●前夜祭で一局ごとに工夫を、とおっしゃっていた通り、本局は角換わり早繰り銀に対して右玉を採用しました。これは予定の作戦でしょうか。
実はあまり角換わり腰掛け銀に進むと思っていませんでした。これまで番勝負で佐々木八段が先手で角換わり腰掛け銀は選ばれていなかったので、それを踏まえれば逆に本命視してもよかったのかもしれません。腰掛け銀系統でも、もっと☗3七桂を急いだ急戦志向の将棋も考えていて、対策が分散していました。右玉は選択肢の一つではありましたが、本命の作戦ではありませんでした。
(中略)
●この将棋に勝つと永世竜王です。どこで優位に立ったと感じましたか。
☗8一飛に☖6二玉と上がって、際どいですが、後手玉に詰めろが続かないと思いました。
では勝利を確信されたのは?
☖7六角と打って、読み抜けがなければ勝ちかなと思いましたが、☖7六角は詰めろとはいえ、いわゆる薄い詰めろなので、最後まで不安を抱えながらではありました。
○シリーズを振り返って
●4連勝での防衛となりました。充実したシリーズでしたか?
前期は佐々木八段の優れた作戦に対してうまく立ち回れなかったところがあったので、今期はそれに対応するというだけではなくて、自分からも工夫をできたらと思っていて、ある程度そういうところは出せたのかなと思っています。
●今期竜王戦は最年少での永世竜王と永世三冠が懸かったシリーズでした。藤井竜王は記録そのものには強い執着はされていないように感じますが、一つの区切りとして、今回の資格獲得をどう思われますか。
永世竜王の資格を持たれているのは羽生九段と渡辺九段の2人で、私自身もそこに加わることができたのは非常に光栄だと感じています。永世称号は連覇という形でないと目指すのは大変と感じていたので、今回5連覇で機会をつかむことができたことはうれしく感じました。
●初めて竜王を獲得した4年前から、ご自身の将棋はどう変化してきましたか。
最近は、以前と比べるといろいろやってみようかなという気持ちにはなっています。昔は一つの定跡や展開を突き詰めて考えてというところがあったんですけど、最近はいろいろな展開を実戦で考えるというのを楽しめたらいいのかなと思っていますし、対局中の考え方としても昔と比べてよくも悪くもおおらかになってきているところはあるかなと。昔は少しよいと感じた局面になったら最短で勝ちにいくにはみたいなことを考えることが多かったんですけど、最近はもう少し幅広いアプローチで考えるところはあるかなと思います。
●勝ち方にしても何にしても広がりを見せたという感じですか。
そうですね。それはよいことばかりではないので、よくも悪くもということはあると思いますけど、当時と比べると実戦の中で自分なりに考えるというプロセス自体を楽しめればなという気持ちは強まったかなと思います。
●藤井竜王のコメントを聞くと、常にご自身の課題を見つけてそれを解決する、というアプローチをずっと続けられています。そろそろ課題を探すのが大変になってきたのでは(笑)。
そんなことはないです(笑)。課題を感じたときにどういう風に改善していくのかは難しいことが多くて、そこだけを意識するとかえって全体としてはバランスを崩してしまうところもあるので、そういう取り組み方の難しさはあるのかなと感じています。
●藤井竜王が目指す将棋の理想像とはどのようなものでしょうか。
考えてもわからないというところが将棋の面白さと思っているので、そういう局面ができる限り続く将棋というのを目指したいというか、そういう将棋を指してみたいです。それが理想なのかどうかはわからないですが、私としてはそういうのを目指したいかなと思います。
○『将棋世界2026年2月号』、絶賛発売中!!
ほかにも、
・歴代永世竜王を振り返る特集記事「没我の領域、3人の永世竜王」
・上田初美女流五段による特選自戦記「エピローグを見据えて」
といった記事もあり、指す将・観る将はもちろん、それ以外の方にも楽しんでいただける一冊になっています!
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