『ちびまる子ちゃん』に描かれる、どこか懐かしくて温かいさくら家の暮らし。1974年ごろの静岡・清水を舞台にしたこの物語には、ごく普通の家庭の日常が描かれています。


では、あの家が現在、作品と同じ場所にあるとしたら、いくらになるのでしょうか。作品当時と現在の価格差、さらに住宅ローンで購入した場合の負担まで、お金の視点で試算してみました。

さくら家は推定4DKの木造一戸建て

『ちびまる子ちゃん』は、さくらももこさんの実体験をもとにした国民的アニメです。舞台は、1974年ごろの静岡県清水市(現在の静岡市清水区)。主人公・まる子の日常を軸に、家族や友人、学校生活でのできごとがユーモラスかつ温かく描かれています。何気ない日常の中にある喜びや失敗が共感を呼び、世代を超えて親しまれてきました。

まる子が暮らす家の住所は、当時の静岡県清水市の入江地区と設定されていますが、作中では具体的な番地までは明かされておらず、あくまで架空の住所です。ただし、街なみや生活圏は清水の実在の風景が色濃く反映されており、現在も作品ゆかりの地として親しまれています。

さくら家は、祖父母を含む三世代同居の家庭です。家は木造の庭付き一戸建てで、居間を中心に家族が集まるつくりが印象的。縁側や和室が描かれる場面も多く、地方都市ならではの、少しのんびりとした暮らしぶりが感じられます。

さくら家の間取りは公式設定ではありませんが、描写からは4DKの平屋と推定できます。
延べ床面積は100㎡程度(約30坪)と考えられ、当時の地方都市における標準的な持ち家のサイズ感といえるでしょう。
1974年当時と現在、さくら家はいくら?

では、さくら家の土地と建物を金額に換算すると、どのくらいになるのでしょうか。作品当時と現在、それぞれの価格を試算し、その差を比較してみましょう。

まずは、さくら家の土地を1974年当時の価格で試算してみます。当時の静岡県清水市入江地区(現・静岡市清水区)について、地区別の公示地価平均を示す資料は確認できなかったため、ここでは清水区全域の平均地価を用いて概算します。

1974年当時の清水区の公示地価平均は、1坪あたり19万1,000円とされています。さくら家の敷地面積を約45坪(150㎡程度)とすると、土地価格は「19万1,000円×45坪=859万5,000円」となります。

続いて、現在の注文住宅の平均的な建築費をもとに、建物価格を推定します。さくら家の延べ床面積を100㎡と仮定すると、建築費の目安は約3,200万円となります。建築工事の価格変動を数値化した指標のことを「建築費指数」といいますが、この長期推移を見てみると、1974年ごろの水準は現在のおおよそ4割程度とされています。

これを用いて現在の建築費を当時の水準に換算すると、「3,200万円×40%=1,280万円」となり、さくら家の建物価格は約1,280万円程度と推定できます。土地と建物を合わせると、1974年当時のさくら家は「859万5,000円+1,280万円=2,139万5,000円」となります。


次に、現在の価格を試算してみましょう。まず土地価格については、2025年の静岡市清水区の公示地価平均である1坪あたり28万5,000円を用います。さくら家の敷地を約45坪と仮定すると、土地価格は「28万5,000円×45坪=1,282万5,000円」です。

建物価格については、延べ床面積100㎡の建築費の目安である約3,200万円をそのまま用います。よって、土地と建物を合せると、現在のさくら家は「1,282万5,000円+3,200万円=4,482万5,000円」と試算できます。

今回の試算から、さくら家の土地・建物価格は、1974年当時は約2,100万円、現在では約4,500万円と、約2倍にまで膨らんでいることがわかります。とくに建築費の上昇が価格差を押し上げており、同じ規模の住まいでも、現在ではより大きな経済的負担を伴うことがうかがえます。
住宅ローンで購入した場合の月々の返済額は

では、現在のさくら家(土地+建物で約4,500万円)を購入し、住宅ローンを利用するとどうなるでしょうか。頭金を2割(約900万円)用意し、残り8割にあたる約3,600万円を借り入れる想定とします。その他の条件は、以下のように設定しました。

・金利タイプ: 全期間固定金利(フラット35など)
・金利: 年2.08%
・返済期間: 35年

この条件で計算すると、毎月の返済額は約12万1,000円となります。ボーナス払いなしで35年間にわたり返済額が一定となるため、見通しは立てやすい一方、家計に占める住宅費の割合は決して軽いとは言えません。


もっとも、無理のない収入水準であれば、過度に重い負担というわけではなく、計画次第で十分にコントロール可能な範囲ともいえるでしょう。

のんびりとした日常が描かれる『ちびまる子ちゃん』の世界でも、現代の価格で住まいを考えると、堅実な資金計画を前提に住宅ローンと向き合うことの重要性が浮かび上がってきます。
住まいと家計バランスのヒントが見えてくる

試算の結果、さくら家の土地・建物価格は、1974年当時と比べて現在では約2倍に上昇していることがわかりました。現代では、より入念な資金計画が求められる一方、住宅ローンを上手に活用すれば、無理のない範囲で取得することも可能そうです。さくら家を通して住まいの価格変化を振り返ることで、自分たちに合った住まいと家計のバランスを考えるヒントが見えてきそうです。

※本記事の試算は、統計データをもとにした簡易的な計算によるものです。金額や返済額はすべて概算であり、正確な数値ではありません。また、作品設定に基づく架空のシミュレーションのため、実際の不動産価格や住宅ローン条件とは異なる場合があります。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら
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