年が明け、「今年はNISAでしっかり積み立てをしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。こうした話題になると、必ずといっていいほど登場するのが「S&P500」と「オルカン」という言葉です。


ただ、「名前は聞いたことがあるけれど、実はよく分かっていない」という方も少なくないかもしれません。

そこで今回は、SBI証券の投資情報部の植田雄也さんに、あらためてオール・カントリーやS&P500とは何か、どんな人が向いているか、など初心者向けに解説してもらいました。

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【初心者向け】NISAでオルカン・S&P500、どっちを選ぶ?

「NISAで何を買えばよいか分からなかったので、ランキング上位の"eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)"を積立設定しました」。「著名YouTuberの方や周りの家族・友人・同僚から"SBI・V・S&P500インデックス・ファンド"がおススメと聞いたのでNISAで積立設定しました」。といったお声をよく耳にします。

一方で、「安易にランキング上位のオール・カントリーやS&P500に連動する投資成果をめざす投資信託で資産運用をはじめていいのかな?」「自分に合った商品なのかな?」「このまま投資していて大丈夫なのかな?」と不安のお声や、なかなか資産運用の一歩を踏み出せないといったお声も耳にします。

年始は、あらためてNISAについて整理してみるのにちょうどよいタイミングともいえますので、なぜNISAでオール・カントリーやS&P500に連動する投資成果をめざす投資信託が人気を集めるのか、やさしく解説します。

※オルカン:オール・カントリーの略でeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の愛称。本稿では世界の株に投資をする投資信託の総称をオール・カントリーと記載する

※S&P500:アメリカ経済を代表する約500社の株価指数。本稿ではS&P500に連動する投資成果をめざす投資信託の総称をS&P500と記載する
迷ったらこのフローチャート!

【結論】シンプルにこう考えよう

・何を買うか→オール・カントリー or S&P500
・いつ買うか→毎月一定金額
・どれくらい続けるか→(例)10年以上
・途中でやること→なし

世界や米国が少し豊かになれば、自分も少し豊かになる。これが王道の考え方とされています。
あなたは、どれ派?

①全世界に分散したい→オール・カントリー
②米国の成長に期待→S&P500
③迷うなら?→オール・カントリーでOK。
※例として" eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)" や" はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) "などがあります。
なぜNISAでオール・カントリーやS&P500が人気を集めるのか

◎世界や米国の成長に乗れる
人口増加、技術革新、新興国の成長。こうしたトレンドに投資できます。
◎人の能力(力量)に依存しない資産運用
オール・カントリーやS&P500は「世界」や「米国」をまるごと買うイメージ。企業選びの失敗リスクを減らせます。
感情を排除できる"自動積立"は強い味方

株価が上がると「高いから買えない」、下がると「怖くて買えない」。
しかし、自動積立なら余計なことは考える必要はなく、感情ゼロで続けられるかもしれません。

オルカンもいろいろ、どうやって選べはいい?

SBI証券で積立設定する場合を例にすると、SBI証券トップ → ①投資信託 → ②ランキング → ③「積立件数増加」をクリック(スマホは「+」でメニュー展開)という操作でランキングが表示されます(2025年12月19日時点、図表2参照)。

インデックスファンドは同じ指数に連動するので、パフォーマンスに大きな差はありません。だからこそ、長期投資では運用コスト(信託報酬)が低いものを選ぶことが重要です。

そこで、並べ替え機能を使って信託報酬の小さい順に並べると、ランキングトップ5つに信託報酬が0.05775%の投資信託(ファンド)が並びます。

さらに、全世界に時価総額比率で分散(世界の市場に合わせた自然な分散を重視)するというオール・カントリーの基本方針に鑑みて、『日本を除くタイプ』や『3地域均等型』を対象外とすると、3本に絞り込まれます。


一般的に、純資産規模が大きい投資信託(ファンド)の方が安定的とされることを踏まえると、最終的に残るのが" eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)" と" はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) "の2本となり、初心者の方が選びやすいものと思われます。

※1.信託報酬:投資信託を保有している間にかかる運用管理費用のこと。特徴: 低いほど投資家の負担が少なく、長期投資に有利。

※2.純資産:その投資信託に集まっている資金の総額。特徴: 純資産が大きいほど、ファンドの安定性が高い。

※3.償還リスク:ファンドが運用を終了(償還)する可能性があるリスクのこと。特徴: 10億円以下だと償還リスクがあるとされる。
(余談)資産運用における「守破離」とは?

資産運用も武道と同じで、学びには段階があるかもしれません。

「※守破離」とは日本の武道や茶道などの修行概念で、学びの段階を示す言葉です。

◎守(しゅ):基本を守る
→ インデックス投資で分散・長期を徹底
◎破(は):応用する
→ (※1)テーマ型や(※2)セクター投資を取り入れる
◎離(り):独自の境地
→ 自身の哲学で(※3)ポートフォリオを構築

まずは「守」からはじめましょう。例としてあげた、オール・カントリーやS&P500はその第一歩です。

※「守・破・離」とは武道の修行において修行者の成長と進化を段階的に表す哲学及び心構えです。
「守・破・離」という言葉は、もともと千利休の訓をまとめた『利休道歌』に由来しています。「守」は修行者の基盤を築く過程です。修行者は師匠から教わった型や作法、基本的な知識を忠実に学びます。次に進むのは「破」の段階です。ここでは、修行者は経験と鍛練を通じて、指導者の教えを土台として、自分なりの工夫を加えます。最終的に、「離」の段階に到達すると、修行者は指導者のもとを離れ、独自の学びを発展させます。(出典:公益財団法人 全日本空手道連盟)

※1.テーマ型:特定の社会的・経済的テーマやトレンドに沿った企業や業界に投資する方法。特徴: 長期的な成長テーマに着目(例:AI、脱炭素、DX、再生可能エネルギー、ヘルスケア)。世界的な構造変化や技術革新を背景にした投資。
メリット:将来の成長分野に集中できる。デメリット:テーマが外れるとリスクが高い、分散性が低い。

※2.セクター投資:経済の特定の業種(セクター)に投資する方法。
特徴: セクター例として、情報技術、金融、エネルギー、ヘルスケア、公益事業など。景気循環や政策に応じてセクターの強弱が変わる。メリット:景気や政策に合わせた戦略的投資が可能。デメリット:特定業種に集中するため、リスクが高い。

※3.ポートフォリオ:資産全体の組み合わせ。目的: リスク分散(株式・債券・現金などを組み合わせる)。安定したリターンの追求。例:株式50%、債券30%、現金10%、オルタナティブ10%など。  

出典元はこちら

『投資情報メディア』より、記事内容を一部変更して転載。

植田雄也 うえだゆうや マーケットアナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員補) 『投資情報メディア』の「NISA植田道場」やYouTubeなどで投資情報コンテンツの企画・発信を担当。SBIホールディングスに新卒入社後、SBIマネープラザでIFAとして2年間勤務。2025年5月よりSBI証券投資情報部に所属し、NISA・iDeCoのコンテンツを担当。
幼少期にゲームを買ってもらえなかった経験から、お金の使い方に関心を持ち、資産運用を「お金で何を実現するか」と捉えることで、人生を見つめ直すきっかけを提供したいと考えている。現在はマクロ経済の視点から政策や国際環境を分析し、ライフプランに基づいた最適な資産配分の提案に強み。趣味はBAD HOPの音楽を聴くことで、東京ドームの解散ライブにも参戦。特技はHIP HOPダンス。 この著者の記事一覧はこちら
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