日中関係が悪化する中で、中国が日本に対する輸出規制を発表しました。具体的な対象物に対する言及はありませんが、米中交渉でも話題となったレアアースの規制が焦点となります。
中国の対日輸出規制で注目される脱レアアースなどの銘柄を取り上げます。
○日中関係悪化の中で中国が対日輸出規制を発表

昨年の高市総理の台湾有事をめぐる発言以来、日中関係が急速に悪化しています。昨年、中国政府は自国民に対する日本への渡航自粛を発表しましたが、2026年に入り軍事利用可能な製品(デュアルユース)の日本向け輸出の即時禁止を発表しました。

禁止の対象物について具体的な明言はなされていませんが、レアアース・電子部品を始め見方によっては様々なモノが規制対象となります。どのような運用がなされるかは、中国政府の裁量が非常に多い規制と言えるでしょう。
○注目のレアアースに対する直接的な言及はなされていない

今回発表された輸出規制では、レアアースについて直接的な言及はなされていません。しかし、レアアースも対象になる、との報道もあります。米中交渉でもレアアースの存在が米側にとってのネックとなりました。モノ作りに欠かすことのできないレアアースは、中国が市場の大半を握っており、輸出規制がなされると日本の産業界にも大きな影響を与えます。

○中国の対日輸出規制で恩恵が得られる可能性がある4銘柄

1月6日に発表された中国の対日輸出規制について、具体的な対象の規定はありません。しかし、日中間の取引関係に様々な影響を与えると予想されます。ただし、その中にはプラスの影響が生じる可能性のある国内銘柄もあります。
以下に取り上げてみました。

三井海洋開発<6269>
大同特殊鋼<5471>
信越化学工業<4063>
豊田通商<8015>

○三井海洋開発<6269>

中国の輸出規制=レアアース、というイメージが強いです。日本では本年1月より南鳥島沖の海底泥からのレアアースの試験採掘がスタートしますが、試掘は将来的には商用化を目指しています。三井海洋開発は海底の石油掘削技術を持ち、深海を掘る技術を活かし沖ノ鳥島のプロジェクトに参加しています。今回の輸出規制の発表を契機に、レアアース銘柄として三井海洋開発が注目される可能性があります。

○大同特殊鋼<5471>

特殊鋼を手掛ける大同特殊鋼は磁石も手掛けており、レアアースを用いずに強力な磁石を製造する技術を有する企業です。実験段階に留まらず、既にホンダの乗用車に同社開発の磁石は採用されており、生産能力の増強も進めています。日本では様々な形で脱レアアースに向けた開発が行われていますが、脱レアアース銘柄として同社に注目が集まる可能性があります。

○信越化学工業<4063>

国内を代表する素材メーカーであり、株式投資家には優良企業として知られている銘柄です。塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハの世界的企業として知られる同社ですが、レアアース事業も手掛けています。有名銘柄で既に多くの投資家に買われていたこともあり、2025年の株価は横ばいに近い状況でした。中国の対日輸出規制を契機に同社のレアアース事業への取り組みが注目を集め、新たな株価上昇につながる可能性があります。


○豊田通商<8015>

トヨタグループの商社です。アフリカでの事業に注力しており、その中でレアースの調達に向けたプロジェクトも開始されています。レアアースの輸出規制は、日本の主要産業である自動車産業への影響が強いと予想されます。商社の中でもトヨタグループで需要家と直接つながる同社に、脱中国産レアアースの先駆け的存在として注目が集まる可能性があります。

○サプライチェーンの脱中国が加速する可能性も

米国中心にサプライチェーンの脱中国化を進めようとしている中で、今回の中国による日本への輸出規制はその動きを加速させる可能性があります。購買の観点では、安くてもいつ買えるか分からないモノより多少高くてもいつでも買えるモノ、の需要が高いと言えるでしょう。安くても買えるかどうか分からない(買えなくなるリスクのある)中国製品は、今後敬遠される可能性が否定できません。

一部のレアアースのように中国産無しでは代替できないモノもあるため、対日輸出規制が様々な混乱を引き起こす可能性は否定できません。中国による対日輸出規制がどのような影響を与えるのか、実際の取引面そして株式市場の面から注目されます。

石井僚一 いしいりょういち 金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社の勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式市場や為替市場に関連する記事の執筆を得意としている。
資産運用記事やインタビュー記事も執筆中。第一種証券外務員資格保有。 この著者の記事一覧はこちら
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