住宅ローン控除の延長・拡充が、令和8年度の税制改正大綱で示されました。これにより、「今住宅ローンを返済している人への影響はあるのか」「これから住宅を買うなら、どんな家を選ぶと得なのか」と気になる人も多いでしょう。


今回の改正は、制度の期限延長に加え、住宅の性能によって優遇内容に差が出る点が大きなポイントです。本記事では、今回の改正内容の概要を整理するとともに、すでに住宅ローンを返済している人への影響や、これから住宅を購入する際に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
○住宅ローン控除の変更点

住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が、10年または13年にわたって、所得税および一部の住民税から控除される制度です。

今回の税制改正大綱では、住宅ローン控除について制度の延長と内容の見直しが盛り込まれました。住宅ローン控除の適用期限は2030年末まで延長され、住宅取得を検討する人が引き続き税制優遇を受けられる環境が整えられます。

あわせて、省エネ性能の高い住宅や既存住宅(中古住宅)を重視する方針も明確になりました。また、床面積要件も緩和され、一定の条件を満たせば40㎡以上の住宅も住宅ローン控除の対象となります(中古住宅にも適用)。

これらは住宅価格の高騰や環境配慮への対応をふまえた改正であり、今後は「どんな住宅を選ぶか」が税負担に大きく影響するといえそうです。
○今住宅ローンを組んでいる人に影響はある?

こうした住宅ローン控除の変更により、「すでにローンを返済している人にも影響があるのか」と気になる方も多いでしょう。結論からいうと、現在すでに住宅ローン控除を受けている人が、途中で不利になるような変更は基本的にありません。

住宅ローン控除は、住宅の取得・建築・増改築時に借入をした場合に適用され、改正内容はすべて「令和8年以降に入居・借入する人」に向けたものです。そのため、すでに制度の適用を受けている人は、原則として「入居した年の制度」が残りの控除期間まで継続して受けられると考えられます。


ただし、今回の内容はあくまで税制改正の方針であり、今後の法改正において細かな要件の変更がまったくないとはいい切れません。とはいえ、現在返済中の住宅ローンそのものや、すでに確定している控除条件に影響が出る可能性はほぼないと受け止めてよいでしょう。
○これから住宅購入する人が知っておきたいポイント

今回の住宅ローン控除の変更は、これから住宅を購入する人にとっては「どんな家を選ぶか」で差が出やすい改正といえます。ポイントは、「住宅の性能」と「中古住宅」です。
まず、お得になりやすいのは、省エネ性能の高い住宅を選ぶケースです。特に、中古住宅のうち「長期優良住宅」「低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」はいずれも、借入限度額が従来の3000万円から3500万円(子育て世帯等は4500万円)に見直されました。さらに、控除期間もこれまでの10年から13年に引き上げられます。

このように今回の見直しでは、中古住宅への配慮が強化されています。新築に比べて価格を抑えやすい中古住宅でも、一定の性能要件を満たせば、新築と同様の控除を受けられる可能性が広がったのです。住宅価格の高騰が続くなか、コストを抑えつつ税制優遇を受けたい人にとっては、追い風となる改正といえるでしょう。

一方で注意したいのが、省エネ基準を満たさない住宅を選ぶケースです。特に新築住宅で一定の性能要件を満たさない場合、控除額が少なくなったり、将来的に控除の対象外となったりするリスクが考えられます。
「新築だから安心」と性能を深く確認せずに購入すると、税制面では不利になる可能性があります。

さらに、災害リスクの高い「災害レッドゾーン」に指定されている区域での新築住宅は、原則として住宅ローン控除の対象外とされる方針です。購入予定地が災害レッドゾーンに該当するかどうかも、事前に確認しておく必要があります。

これから住宅を購入する人は、価格や立地だけでなく、住宅性能と税制優遇をセットで考えることが重要です。住宅ローン控除の変更は、住宅の選び方次第で「得にも損にもなる」といえるでしょう。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ