キリンビールは1月15日、「2026年 事業方針発表記者会見」を開催。酒税一本化を見据え、主力ブランドの育成や技術開発、海外・クラフトビール領域への投資など、2026年に向けた事業の方向性が示された。
後半では、「お客様を起点としたブランド育成」を軸に、各ブランドの具体的な取り組みが紹介された。

○2025年の振り返りと、2026年の取り組み - 酒税一本化を“変化の起点”に

冒頭に登壇したキリンビール 代表取締役社長の堀口英樹氏は、2025年の販売実績(速報値)を振り返った。2025年は、発売した各商品が年初目標を上回り、各カテゴリーをけん引。金額ベースでは、ビール類計は±0%、RTD計は+1%、ノンアルコール飲料計は+10%となり、「一番搾り」ブランド計は3,060万ケース(前年差+4%)とプラスで着地した。

ブランド別では、「一番搾り 糖質ゼロ」のリニューアルやラインナップ強化、飲食店向け展開などを通じて“飲む場面”を広げてきた点に言及。一方で、「晴れ風」や「本麒麟」など一部ブランドは伸び悩み、2026年はポートフォリオ全体での立て直しが必要になるとの認識を示した。

2026年に向けた前提として堀口氏は、円安や物価上昇、AIなどの技術進化に触れつつ、生活者の消費が「そのときの生活や心理状況に左右されやすくなっている」と指摘。こうした環境変化のなかで、2026年の酒税一本化は市場の選択基準を動かす大きな節目になるとし、「この変化を機会と捉え、中長期を見据えた商品ポートフォリオを構築していく」と語った。

その上で、キリンビールが掲げる姿として「お酒の未来を創造し、人と社会に、つながるよろこびを届け続ける会社となる」を改めて提示。お酒を通じて人と人、人と社会をつなぐきっかけを生み出すことが、中長期戦略の核になると強調した。

2026年の取り組み方針は、「お客様価値の創造に向けたブランド育成」「お酒の未来を創造する両面のアクション」「海外事業の成長による収益力の拡大」の3つが柱。ブランド育成では、酒税一本化を見据えたビール類の魅力化に加え、RTD・ノンアル領域でも価値提案を強化する。
あわせて、技術による価値創出を加速するため、2026年4月に「技術イノベーションセンター」を新設する方針を明らかにした。

また、飲酒啓発やノンアルコールの価値拡大、健康に配慮した飲み方の研究などを通じて、酒類メーカーとしての責任を果たしながら、持続的な事業成長につなげていく考えを示した。最後に堀口氏は、2026年も重点ブランドを軸に挑戦を続けていくとまとめた。

○“お客様起点”でブランド体験を磨く

続いて登壇したキリンビール 執行役員 マーケティング部長の今村恵三氏は、2026年のマーケティング方針を説明した。今村氏は、価値観の多様化により、生活者が味わい・機能・価格など複数の軸でブランドを選ぶ傾向が強まっていると指摘し、「お客様を起点としたブランド育成」を一層進めていくと語った。

2026年の重点は、ビール類の魅力化とRTD・ノンアルカテゴリーの活性化だ。ビール類では「晴れ風」を軸に、味覚やパッケージの進化に加え、「晴れ風ACTION」を拡大。中味は“すっきり・きれいな飲み口”を強化し、「新しくおいしくなったこと」や「素材へのこだわり」が伝わる設計へと進化させる。

「グッドエール」については、ビール類ライト・ノンユーザーの獲得につながり、高いリピート率で好調を維持している点を振り返り、2026年はリッチ&フルーティーという新しい味わいの価値を広げる。「グッドエールJAPAN」を通じた地域活性の取り組みも継続し、2025~2026年の寄付金額は4,700万円を見込む。

「本麒麟」は、2018年発売以来“うまさ”を磨き続けてきたブランドだとし、2026年はリニューアルを実施。ビール製法化によるうまさの向上で、「本麒麟ならではの力強いコクと飲みごたえ」を磨き、“ビールとしての満足感”を高めていく考えを示した。


さらに、今村氏は“飲む場面”の設計が重要になると指摘。サッカー日本代表の応援を通じたブランド体験を象徴例に挙げ、「お客様と一緒に応援する」体験を広げていきたいと語った。

最後に今村氏は、「酒税一本化で環境が変わるからこそ、キリンビールらしく市場を活性化していきたい」と強調。お客様起点のブランド育成を軸に、ビールの魅力を広げ、RTD・ノンアルも含めた多様な選択肢で“飲むよろこび”を提案していくとし、会見を締めくくった。
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