2026年は、子育て世帯の家計に影響する制度がいくつか動きます。特に影響が大きいのが、「高校授業料無償化」と「給食費の無償化」です。
一方で、子育て支援の財源として「子ども・子育て支援金制度」が始まり、新たな負担も生まれます。

「結局うちは得するの? 損するの?」と疑問に思う人に向けて、支援が増える面と負担が増える面を整理して、家計への影響をわかりやすくお伝えします。

1.私立高校授業料実質無償化がスタート(4月~)

公立高校はすでに授業料無償化が実施されていますが、2026年度から全国的に私立高校の授業料も実質無償化されます。

主なポイントは次の2つです。

所得制限の撤廃
私立高校は年45.7万円まで支援拡充

○<高校授業料無償化の拡充イメージ>

所得制限が撤廃されることで、家庭の経済状況にかかわらず、すべての世帯で支援が受けられるようになります。

ただし、無償化となるのは授業料(上限あり)のみです。入学金や学校納付金、教材費などは対象外なので、授業料以外の費用がどのくらいかかるのか事前に確認しておくことが大切です。
2.小学校の給食費無償化がスタート(4月~)

2026年度から、全国の公立小学校で給食費の無償化が始まります。

主なポイントは次の2つです。

児童1人あたり月5,200円が上限
上限を超えた分は自治体で判断(自治体負担か保護者負担かを各自治体で判断)

支援の上限額については、2023年の実態調査における平均額4,700円に物価上昇分を上乗せして5,200円としています。今後は、毎年給食費に関する調査を実施して、適切な額を設定するとしています。

自治体の運用や地域の給食費の水準によっては差額が出るケースもあるので、完全無償化でないことは理解しておくとよいでしょう。

3.「子育て応援手当」の支給(順次)

物価高対応として、「子育て応援手当」が各自治体から支給されます。支給内容や支給時期は自治体ごとに異なります。
○<制度の概要>

給付額: 子ども1人あたり2万円(1回限り)
対象: 0~18歳(児童手当支給対象児童)
申請: 不要(自動給付)

2月以降に支給となる自治体が多いようです。申請は原則不要(対象期間に生まれた新生児や一部の公務員は申請必要)で、児童手当受給口座に自動的に振り込まれます。

また、自治体によっては国の給付に自治体独自で上乗せをしているところもあります。(世田谷区など)

児童手当とは異なり、1回限りの給付である点に留意しましょう。
4.「子ども・子育て支援金」の徴収開始(4月~)

子育て支援の財源を確保するため、「子ども・子育て支援金制度」が創設されました。2026年度から医療保険の保険料とあわせて徴収が開始されます。

支援金額は2026年度から2028年度にかけて段階的に上げていき、被用者保険(会社員など)の最終的な支援金率は0.4%程度となる見込みです。2026年4月分の保険料(5月に給与天引き)から徴収が始まり、半分は企業が負担します。

医療保険制度ごとに負担額は異なり、年収別に試算した支援金額は以下になります。
○<国民健康保険>

○<後期高齢者医療制度>

子どもの有無に関係なく、全国民が負担するため、恩恵を受けにくい独身者にとっては、実質的な"独身税"になっているという声もあがっています。

○5.「こども誰でも通園制度」全国の自治体で実施(4月~)

「こども誰でも通園制度」は、保育園に通っていない6か月~満3歳未満の子どもを、就労要件を問わずに保育所などに預けられる制度です。
○<制度の概要>

対象者: 保育園に通っていない6か月~満3歳未満の子
利用時間: 月10時間まで
利用料の目安: 1時間あたり300円(自治体・施設で差あり)

一時預かりとの違いは、保護者の立場からの必要性で利用するのが一時預かりだとすると、「こども誰でも通園制度」は、保護者の事情に関係なく、こどもの成長のために、家庭以外の「子どもの育ちの場」を広げることを目的としています。

金銭的な支援制度ではありませんが、子育て世帯にとっては知っておくとためになる制度です。定期的に利用することで、子どもにとっては社会性や発達の刺激に、保護者にとっては育児負担の軽減につながります。
子育て世帯の家計への影響をシミュレーション

まずは、「支援が増える面」と「負担が増える面」を整理してみましょう。
○<支援が増える制度>

私立高校授業料実質無償化
小学校の給食費無償化
子育て応援手当

○<負担が増える制度>

子ども・子育て支援金

○子ども3人世帯でシミュレーション

実際の家庭をイメージしやすいよう、モデル世帯を設定してシミュレーションしてみます。

<モデル世帯>
子ども3人: 小学生1人・中学生1人・高校生1人
親: 会社員(年収600万円)
高校生の子どもは私立高校に通う

<試算条件>
制度の支援上限額まで利用できるものとする

*家計にプラス
私立高校授業料の無償化によって年45万7,000円
小学校の給食費無償化によって年6万2,400円(月5,200円×12ヵ月)
子育て応援手当によって年6万円(2万円×3人)

*家計にマイナス
子ども・子育て支援金によって年6,900円(月575円×12ヵ月)

*差し引き
支援合計: 57万9,400円
負担合計: 6,900円
差し引き: 57万2,500円

子どもが3人いるモデル世帯では、57万2,500円家計にプラスとなりました。
まとめ

子ども3人世帯では、試算の結果、家計への影響は圧倒的にプラスとなりました。なかでも私立高校無償化のインパクトは大きく、教育費負担の軽減効果が高いことがわかります。

一方で、子どものいない世帯にとっては支援の恩恵がなく、負担のみが増える形となるため、不公平感を覚える人がいるのも無理はないでしょう。

ただ、そもそも子どもを育てるには多くの費用がかかり、特に教育費は年々上昇傾向にあります。そうした現状を踏まえると、子育て世帯への支援は"手厚すぎる"のではなく、ようやく現実に追いついてきたとも言えます。


少子化対策として、子育て世帯の負担を軽減する支援策は、今後も拡充されていく可能性が高いでしょう。2026年度の制度改正をきっかけに、これからの家計を一度見直しておくと安心です。

石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。 この著者の記事一覧はこちら
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