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年明け早々、日本の株式市場が大きく動いている。中国政府による「レアアース輸出規制」の可能性が報じられたことで、関連銘柄が急騰しているからだ。
これは単なる一時的なニュースなのか、それとも日本経済に深刻な影響を与える「貿易摩擦」の始まりなのか。
今回は、投資スクール「Financial Free College(FFC)」CEO・松本侑氏(X:@smatsumo0802)に緊急インタビュー。急騰するレアアース相場の現状と、個人投資家が今知っておくべきリスクについて詳しく解説してもらった。
思惑によって上がった株、急落は一瞬
年明けの株式市場で、急速に注目を集めている分野がある。レアアース(希土類)関連の銘柄だ。具体的には、第一稀元素化学工業(4082)や東洋エンジニアリング(6330)などが挙げられる。これらは普段、取引量も少なく、値動きの小さな銘柄だった。
しかし、中国が輸出規制の可能性を示唆して以降、状況は一変。連日のストップ高や乱高下を繰り返し、特に第一稀元素化学工業は、わずか数日で株価が3倍近くも上昇している。市場は「有事」を織り込み、過熱気味だ。この上昇は、本当に実需に基づいたものなのだろうか。
「チャートを見れば明らかですが、これは企業価値が再評価されたわけではありません。
当然、このような急騰には急落のリスクがある。実態の伴わない株価上昇は、前提が崩れた瞬間に暴落する可能性が高いからだ。「もし明日、『規制は行わない』という報道が出れば、上昇分は一瞬で吹き飛ぶでしょう。現在の相場は、それほど不安定な状況にあるのです」と松本氏。
「輸出停止のブラフで十分」中国が本当に欲しいもの
そもそも、なぜこのタイミングで中国は輸出規制に動こうとしているのか。メディアでは半導体規制への報復とも報じられているが、その背景にはより政治的な意図があるようだ。
それは、台湾問題で強硬な姿勢を見せる高市早苗首相への強い牽制だ。
中国にとって譲れない一線に踏み込もうとする日本の首相に対し、日本経済の弱みを握っている事実を示して圧力をかける。まさに外交的な交渉材料として利用していると言えるだろう。松本氏は、この政治的な背景こそが今回の騒動の本質だと分析する。
「現状では、まだ明確にレアアースの規制が決まったわけではありません。あくまで『検討』の段階です。これは高市政権に対する政治的なメッセージの色合いが濃いでしょう。『日本がその気なら、こちらにも考えがある』と、規制の可能性をほのめかして揺さぶりをかけている状態です」
だが、これが単なる駆け引きで終わらなければ、事態は深刻だ。日本はレアアース輸入の多くを中国に依存しており、供給が止まれば自動車産業にとって大きな打撃になりかねないからだ。
「実害は計り知れません。レアアースはEV(電気自動車)のモーターに不可欠な素材です。これが手に入らなければ、完成車メーカーはもちろん、関連するサプライチェーン全体が連鎖的に操業停止に追い込まれます。過去にフォード(F)やスズキ(7269)が製造停止を余儀なくされたように、その経済的ダメージは非常に大きなものになるでしょう」
市場は今、外交的な駆け引きに過ぎないという期待と、実体経済への深刻なダメージという懸念の間で揺れ動いているのだ。
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レアアースが止まれば「米中問題」に飛び火する
ここで改めて、日本のレアアース事情を整理しておきたい。以前から「脱中国」の必要性が叫ばれているが、2024年のデータによれば、対中依存度は依然として約70%という高水準にある。
政府は調達先の多角化を進めているものの、まだ道半ばであり、日本産業は中国に大きく依存しているのが現状だ。
「日本は中国にとって主要な輸出先であり、大きな収入源です。中国経済の回復が遅れている中で、自ら資源産業の収益を絶つことは、中国経済へのダメージにもなります。さらに、歴史的な観点から見てもリスクが高すぎるのです」
資源供給を止めることは、単なる経済制裁を超え、深刻な国家間の対立を引き起こす原因となり得る。
「歴史を振り返ると、資源の輸出規制は国家間の対立を一気に深刻化させてきました。象徴的なのが太平洋戦争で、米国の石油輸出禁止が開戦の一因になったように、『資源を止める』という行為はそれ自体が強烈な引き金になります。今回レアアースの供給が実際に止まれば、日本の同盟国である米国を巻き込み、問題は日本と中国の二国間にとどまらず『米中問題』へと発展しかねません。中国もそのリスクを理解しているからこそ、実行よりも『止めるかもしれない』と示して揺さぶる段階が、“外交カード”としてもっとも効果があるんです」
“中国版トランプショック”。触るならデイトレだけ
連日の株価急騰を見ると、つい「このチャンスを逃してはいけない」と焦ってしまうかもしれない。しかし、今は「思惑」により価格が上がっている状態であり、いつ急落してもおかしくないからだ。
「結論から言えば、一般的な個人投資家は今回の騒動を気にする必要はありません。
それでも、この激しい値動きに挑戦したいという場合の条件は一つだけある。それは、“デイトレードに徹すること”だ。
「ただし、日をまたいで株を持ち越すのは絶対に避けるべきでしょう。翌朝のニュース一つで状況が一変し、逃げ遅れる危険がありますから。やるなら、チャートの動きだけを見て、その日のうちに取引を終える。これだけは鉄則だと思ってください」
松本氏は、今回の騒動を「“中国版トランプショック”とも呼べる一過性の動きに近い」と分析している。だからこそ、慌てて飛びつくのではなく、相場が落ち着くのを待つ。それが、資産を守るためのもっとも賢明な判断と言えるだろう。
西脇章太 にしわきしょうた 1992年生まれ。三重県出身。











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