コロナ禍で需要を伸ばした日本のバイク市場だが、今はひと段落といった雰囲気。2026年のバイク市場で注目のトピックは? 日本自動車工業会の二輪車委員会メディアミーティングで探ってきた。


「新基準原付」は普及する?

日本自動車工業会(自工会)が「第13回 自工会 二輪車委員会メディアミーティング」を開催した。日本におけるバイクの販売状況などについて、前年の振り返りと今年の展望が示される本ミーティングで2026年のバイク事情について話を聞いた。

2025年はトランプ関税や中国のレアアース輸出規制など、厳しい国際情勢を背景に、日本の産業界は難しい舵取りを迫られた。国内に目を向けても、資源高による物価上昇、賃金の伸び悩み、社会保険料の負担増などが重なり、消費の力強さを欠く状況だ。

「2025年市場需要概況振り返り」のパートに登壇した自工会 二輪車委員会 二輪車企画部会 部会長の宇津井秀人さん(ヤマハ発動機 渉外部渉外担当部長)は、「2025年は軽二輪のみが前年よりも伸長し、自動二輪、原付二種、原付一種はいずれも微減」と発表。コロナ禍に高まったバイク需要は今、伸び悩みのフェーズに移行しているらしい。

そうした中、二輪業界においては、50cc以下の原付一種の生産が2025年10月末日で終了。庶民の足として長きにわたって親しまれてきた「原付」が役割を終える一方で、125CC以下、出力4KW以下のいわゆる「新基準原付」が原付一種区分に追加されるなど、新たな時代を迎えている。

宇津井さんも「今年以降は原付一種の出荷減の影響があると想定しています」と語っていたが、新基準原付の受け入れが迅速に進むかどうかが今後の二輪業界を大きく左右しそうだ。

○自工会 二輪車委員会の2026年展望とは?

「2026年市場展望」のパートには、自工会 二輪車委員会 委員長の設楽元文さん(ヤマハ発動機 代表取締役社長)が登壇。二輪車委員会の2026年の活動テーマとして「二輪文化の創造と二輪車の活性」を掲げた。

「二輪文化の創造」に向けては、バイクを通じた共通の価値観やバイクライフスタイルの考え方などが広く共有されることにより、一過性のものではなく、社会基盤となるように作り上げていきたいとし、「趣味財としてのバイクの楽しさを積極的にアピールし続け、乗りたいと思う人を増やすことが重要なポイント」と述べた。


「二輪車の活性」については、二輪車の利用改善によって社会的な有用性がさらに認知されることが大切だとする。そのためには、「バイクの利便性をより理解いただける人が一人でも増えるような業界の取り組みが重要」であるとし、業界が一丸となって、さらなる活性化に向けた働きかけを行っていくと宣言した。

また設楽さんは、アクセサリーやアフターマーケットの市場規模が1,350億円(JMCA調べ)に達したことを踏まえて、「二輪車市場全体の年間総需要だけではなく、保有台数の推移やアクセサリー、アフターマーケットも含めた二輪車産業を見ていく必要がある」との考えを示した。

会の最後に設楽さんは、今年の抱負を表現する漢字一字を色紙に書いて発表した。

「駆」を選んだ理由については、「今年は60年に一度の丙午(ひのえうま)。オートバイは馬にちなんだ名付けが多いことから、非常にマッチした年だと思います。去年は『心』を選びましたが、今年は心の中に疾走感を持って駆け巡りたい」と説明した。

その上で、「今年は疾走感を伝えて需要を喚起しながら、本当にクオリティのある時代性を持った活動ができれば」と抱負を語っていた。

安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。 この著者の記事一覧はこちら
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