日本人の多くが勘違いしていた「年金」の真実を明らかにし、大反響を呼んだ『知らないと損する年金の真実』の改訂版『知らないと損する年金の真実 - 改訂版 2026年新制度対応 -』(著: 大江英樹、大江加代/ワニブックス)。新たに法改正の時期を迎えた年金制度の解説など、大幅に加筆修正した内容から一部を抜粋して紹介します。

今回のテーマは『「年金財政は赤字」という勘違い』。

○赤字なのは「国の一般会計」

一般的に「我が国は巨額の財政赤字がある」と言われています。これは事実です。でも赤字なのは、あくまでも一般会計です。財務省が発表している「わが国の財政状況」を見てみましょう。

令和6(2024)年度の予算では歳入歳出の金額は112兆5717億円となっています。

歳入、つまり国の収入はと言えば、その大部分は税金です。税とその他収入を合計すると約70兆円です。

一方、歳出は112兆円あまりありますから、その差額は約42兆円になります。もちろん歳出の中にはこれまでの借金の返済や利息の支払いが約27兆円(これを国債費と言います)あり、これは借金を減らすためのお金ですから、純然たる赤字額は15兆円弱ということになります。主にこの赤字を埋めるため、そして国債の利息の支払いや元本の償還費をまかなうなどのために発行されている国債の残高は、令和6年度末で約1100兆円になると見込まれていますので、言わば国の財政赤字は1000兆円以上あるということになります。

ところが年金は、この一般会計とは別の勘定になっています。
戦前からあったいくつかの保険事業をさまざまな紆余曲折を経平成19(2007)年に統合してできた「年金特別会計」がそれです。

年金特別会計には公的年金だけでなく、健康保険等の経理も含まれますが、公的年金だけを取り出してみると、年金積立金と言われるお金が2022年度末で約250兆円あります。つまり、年金財政は赤字なのではなく、250兆円もの"貯金"を持っているのです。したがって、年金財政は赤字というのはまったく違います。

○『知らないと損する年金の真実 - 改訂版 2026年新制度対応 -』(著: 大江英樹、大江加代/ワニブックス【PLUS】新書)

日本人の多くが勘違いしていた「年金」の真実を明らかにし、大反響を呼んだ『知らないと損する年金の真実』(著:大江英樹、2021年刊)の改訂版。新たに法改正の時期を迎えた年金制度の解説など、大幅に加筆修正しました。年金受給は「繰り上げ」「繰り下げ」どっちが得する?/65歳以上で働いていても年金は減らない?/今の現役世代は年金を払うと損するの?/公的年金は増やすことができる?――年金制度に何となく疑問を持っている、まもなく定年を迎える、老後のお金で失敗したくないなど、多くの方にとって必読の一冊です。
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