物価高や円安、世界情勢の変化などを背景に、買取市場は2025年、大きな転換点を迎えた。今回は、全国展開する大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんに、2025年の市場全体を振り返っていただきながら、2026年の見通しをうかがった。


○アメリカの動き、世界情勢は相場に直結する!

――まず、2025年の買取市場全体はどのような1年でしたか?

一言で言うと、非常によかった年ですね。持ち込み客数は110%ほど増え、利用者自体が明らかに増加しました。特に大きかったのは金相場の高騰です。2025年1月には1グラムあたり約1万4000円だった金が、年末には2万5000円台まで上昇しました。この約1万円の上昇が、金の持ち込み増加に直結しています。

もう一つは物価高です。統計でも食品やサービス価格が1年で約3%上がっていますが、給与水準は大きく変わらない。その結果、「生活のために物を売る」という選択をする人も確実に増えたような気がします。

――やはり高市政権の誕生や世界情勢の影響もあったのでしょうか?

ありますね。首相の交代やアメリカの動き、世界情勢は金相場に直結します。情勢が不安定になるほど、株式から金に移行する動きは強くなる。この構図は今も変わっていません。


――物価高や円安の中で、“売る人”の行動に変化はありましたか?

大きく変わったと思います。円安は物価高につながり、ブランド品や時計の定価が全体的に上がっています。ロレックスを筆頭に、年に5~6回値上げを実施したブランドもあります。
その影響で、「困っているから売る」というより、「今は売り時だ」と判断する人が増えました。

年齢層で見ると、若年層と60代以上の割合がおおよそ5:5から6:4。若い世代は物価高の影響を受けやすく、年配層は昔購入した高額品を多く持っている。特に2025年は、高齢者層の利用が目立ちました。終活の一環として査定に来られる方が目立ちました。
○2026年、買取市場は引き続き活発化する!

――2025年に特に買取が増えたカテゴリーと減ったカテゴリーについて教えてください。

結論から言うと、特に減ったカテゴリーはありません。すべて伸びています。客数ベースでは、前年比で金が118%、時計が114%、お酒が110%、ブランド品が108%といった具合です。


ブランドでは、エルメス、シャネル、ルイ・ヴィトンが依然として強く、バーキンやマトラッセのような定番モデルは、30~40年前と比べて5~6倍、ものによってはそれ以上の価格がつくこともあります。ここ数年は「売る」という行為自体が、文化として定着してきた印象ですね。

――2026年の買取市場はどうなると予想しますか?

引き続き、活発になると見ています。まず金ですが、各国の中央銀行が金を保有している以上、急落は考えにくい。高値で安定しているからこそ、「今のうちに売りたい」という人は増えます。実際に、相場が高水準にある今、お持ち込みは増えています。

また、地政学リスクや経済不安が続く中で、株だけでなく、金やブランド品といった実物資産に目を向ける人も増えていくのではないでしょうか。「持っているだけ」の状態から、一度価値を確認しておきたいと考える方も多い印象です。

――今後、特に注視すべき環境要因などがあれば教えてください。

やはり世界情勢です。過去を振り返ると、戦争などで不安定な時期に金は上がり、情勢が落ち着いた瞬間に大きく下がることもありました。金は安定資産と言われますが、世の中の動きに影響されるのは間違いありません。


ドルの価値、アメリカの金利政策、そして大統領の発言。一つひとつが相場に影響します。「まだ上がるかも」と待つより、「高いと思ったときに売る」。2026年はその意識がより重要になってくるはずです。
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