ゴールドが“一人勝ち”だった一方、ブランド品の相場はどうだったのか。2025年のブランド市場を振り返ると、意外にも落ち着いた1年だったことが見えてくる。


ということで今回も、大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんにブランド品相場のトレンドと今年の展望についてうかがってみた!

○伸びたブランドと伸び悩んだブランドの“差”

――2025年のブランド品の買取相場、全体としてはどんな年でしたか?

まず、持ち込みの数は増えました。前年比で見ると108%。ブランド品を売りに来る人自体、確実に増えています。ただ、相場という点では「大きく上がった」というより、全体的に横ばいのブランドが多かったという印象ですね。

――相場が上がったブランドもある?

あります。ただし一部です。上がったものでも13~30%程度。平均すると、前年とそこまで変わらない、というのが正直なところです。上がったのはやはり定番どころで、エルメス、ルイ・ヴィトン、そしてシャネルのヴィンテージ。あとはゴヤール、ザ・ロウ(THE ROW)といったブランドは、2025年に入って評価が上がっています。

――逆に、伸びなかったブランドはありますか?

横ばい、もしくはやや下がったのは、シャネルの現行品、ディオール、セリーヌ、グッチ、プラダ、フェンディ、ロエベなどですね。人気はあるのですが、供給量が多いことと、デザイナー交代によるトレンド変動の影響を受けやすいのが理由だと思います。


――シャネルの現行品が伸びなかった理由は何でしょう?

定価が上がりすぎた、というのが一番大きいですね。今、定番モデルでも150万円を超えるものがありますが、昔は50万円前後でした。3倍以上です。その価格帯になると、「それならエルメスを買う」という選択肢が出てくる。結果として、中古市場では価格が高止まりした状態になっています。

ヴィンテージ市場は異常なほど熱い!特に注目すべきは……


――ヴィンテージ人気は、まだ続いていますか?

正直、かなりヤバいです(笑)。特にエルメスのヴィンテージ。シェーヌ・ダンクルをはじめ、クレッシェンドやグレンデシャンといったブレスレットは、もはや意味がわからない価格帯になっています。

例えば、エルメスのグレンデシャンはシルバーで800万円前後、ゴールドだと2000~3000万円。普通の細いブレスレットなのに、この価格です。ヴィンテージのエルメス、シャネル、ルイ・ヴィトンに加えて、古着、ワークウェア、ヴィンテージロレックスまで、すべてが連動して高騰しています。

――2026年のブランド相場はどうなりそうですか?

大きく崩れることは考えにくいです。
需要が続く限り、相場は安定するでしょう。特に期待できるのは、エルメス、ゴヤール、ルイ・ヴィトン、ザ・ロウ、そしてヴィンテージ系です。状態が良ければ、かなり期待できます。

――ザ・ロウが伸びている理由は?

主張が強すぎず、素材が良く、年齢を重ねても使いやすい。いわば「第2のエルメス」的なポジションですね。上の世代からの支持が厚く、著名人の愛用も後押ししています。この人気がどこまで続くかは、まだ正直わかりません。

――ゴヤールは今後、まだ伸びそうですか?

まだ伸びしろはあります。店舗数が極端に少なく、日本でも都内に数店舗しかありません。しかも、並ばないと買えないし、限定カラーや別注品などで流通量を絞っているので、二次市場に出にくい。ハリウッドスターや日本の著名人が使い始めているので、ある瞬間に一気に跳ねる可能性はあります。歴史も長く、1800年代創業でエルメスより古い。
元々はトランクブランドなので、トレンドに左右されにくいという強みもあります。

――逆に、落ち着きそうなブランドはありますか?

ディオール、プラダ、セリーヌなどは、基本的には流行性が高いので、時間が経つほど価値は下がりやすいと思います。ただし、最近は例外も増えていて、マルタン・マルジェラの初期やエディ・スリマン期のディオールなどは、逆に価値が上がっています。

一度価値が落ちたものが、デザイナー単位で再評価され、当時の定価に近い価格で取引されるケースが出てきたんです。「ブランド」ではなく「誰が作ったか」で見る時代になりつつあるので、そのあたりは見ていて面白いですね。

ブランド市場は、ゴールドのような一直線の上昇ではない。しかしその分、知識と視点次第で化ける余地がある。2026年はブランド名だけでなく、その背景まで読み取れる人が、より有利になる年になりそうだ。
編集部おすすめ