麺と湯気の向こうに、世の中が見える……。連載第5回は、濃厚でクセのあるこってりスープで支持を集める人気チェーン「天下一品」が監修した商品から厳選して2品を実食レポートする。
この記事で紹介する「天下一品 濃厚鶏白湯まぜそば 2人前」(税別570円)は2025年9月に、「サッポロ一番 名店の味 天下一品 京都濃厚鶏白湯 ミニカップ」(税別170円)は2024年9月に全業態で発売された商品。

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○「本物」は店にある。だからこそ監修商品は面白い。「天下一品」監修・2つのこってり体験

「天下一品」と聞けば、説明不要の「こってり」である。鶏の旨味を極限まで引き出した、唯一無二の濃厚スープ。ラーメンというよりも、もはやジャンルそのものが「天下一品」と言っていい存在だ。

「天下一品」はこれまで数多くの監修商品を世に送り出してきた。カップ麺、チルド麺、冷凍食品など、どれも共通しているのは、「あのこってりを、どこまで再現できるのか」という終わりなき挑戦である。

今回紹介したいのは、方向性の異なる2品。ひとつは店には存在しない「まぜそば」、もうひとつは小さくても侮れないミニサイズのカップ麺だ。
○日清食品「天下一品 濃厚鶏白湯まぜそば 2人前」

まずは、日清食品チルドから発売されている「天下一品 濃厚鶏白湯まぜそば 2人前」。

この商品の最大の特徴は、何と言っても天下一品に「まぜそば」という選択肢を持ち込んだことだろう。
天下一品の店舗メニューに、まぜそばはない。つまりこれは、実在のメニュー再現ではなく、天下一品の思想を使った新作なのである。

タレは、チキンエキスと鶏脂を中心に構成され、あの「こってり」の鶏の旨味をしっかりと感じさせる設計。注目したいのは、その粘度の作り方だ。油で重くするのではなく、ポテトパウダーを使って厚みを演出している点が実に巧み。これによって、こってり感はありながらも、後味が重くなりすぎない。

そして、極太でモチモチの麺も実に旨い。タレの絡みだけでなく、非常に存在感があり、正直この麺単体でもかなり完成度が高い。

混ぜて食べることで、天下一品の「こってり」を飲むのではなく、食べる感覚に変換しているのが面白い。

これは再現商品というより、天下一品を素材にした別解答。ファンであればあるほど、一度は試しておきたい一杯だ。
○サンヨー食品「サッポロ一番 名店の味 天下一品 京都濃厚鶏白湯 ミニカップ」

もう一品は、サンヨー食品から発売されている「サッポロ一番 名店の味 天下一品 京都濃厚鶏白湯 ミニカップ」。


内容量は56g(めん40g)というミニサイズで、正直、棚で見かけたときは「小さいな」と思う人も多いはずだ。だが、これはサイズで判断してはいけないタイプの監修商品である

スープは、鶏と豚をベースに、鶏脂でコクを補強。さらに、野菜ペースト、ポテトパウダー、鶏レバーパウダーを組み合わせることで、こってり感に厚みを持たせている。

注目すべきは、こちらもスープの重さを無駄に増やさず、油の量で押し切っていない点だ。結果として、このミニサイズでも天下一品らしさはしっかり伝わってくる。ミニながらもスープ設計の巧さが際立っていて、最後まで飲めてしまうこってりラーメンだ。
○「天下一品は、監修商品にレシピを渡していない」

ここで一つ、重要な話をしておきたい。私が書いた新刊『天下一品 無限の熱狂が生まれる仕掛け』(書籍情報は記事末尾に掲載)の取材過程で、こんな話を聞いた。

あくまでメーカーが、限られた情報と技術の中で「どこまで近づけるか」に挑んでいるのだ。

つまり、本物の味は、店でしか食べられない。だからこそ、監修商品は「代替」ではなく、メーカーの涙ぐましい努力の結晶になる。

ミニサイズにしてみたり、まぜそばという店にない形にしてみたり──。
そうした試みが生まれることで、ファンは新しい角度から「天下一品」を楽しめる。本物を知っているからこそ、再現の工夫に唸る。監修商品とは、そういうもう一段深い楽しみ方なのだ。

そして最終的に、「やっぱり店で食べたい」と思わせてくれるなら、それはもう大成功だろう。天下一品は、今日も店でしか完成しない。だからこそ、その周辺で生まれる挑戦が、こんなにも面白いのだ。

井手隊長 いでたいちょう 全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。メディア出演、ラーメンの商品監修など多方面で活躍中。ラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。本の要約サービス「フライヤー」執行役員、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」事務局長も務める。 著書に『できる人だけが知っている「ここだけの話」を聞く技術』(秀和システム新社)、『ラーメン一杯いくらが正解なのか』(早川書房)、『天下一品 無限の熱狂が生まれる仕掛け』(日本実業出版社)がある。 ブログ:「隊長日誌(ラーメンミュージシャン井手隊長の日記)」 YouTube:「ラーメンミュージシャン井手隊長の 今3時?そうねだいたいね」 この著者の記事一覧はこちら
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