北川進教授らがノーベル化学賞を受賞した金属有機構造体(MOF)、水素エネルギー利用にどう活用される?

○金属と有機分子で形成される結晶性多孔質材料

2025年のノーベル化学賞は、金属有機構造体(多孔性配位高分子/多孔性金属錯体とも。MOF/PCP)の開発により、京都大学の北川進教授と海外研究者2名が共同受賞しました。

金属有機構造体は1997年に開発された、金属イオン(または金属クラスター)と有機分子が規則的に連結してできる結晶性の多孔質材料。
金属と有機分子で形成されたナノサイズの格子状の骨組みの内部に多数の孔が空いている構造で、単位質量あたりの表面積が大きく、孔のサイズや性質を設計できるのが特徴です。この性質から、大気中の二酸化炭素の回収や除湿などへの利用が研究されています。

さて、ここでクイズです。

Q.金属有機構造体は水素エネルギーの利用における活用も期待されています。では、金属有機構造体は水素エネルギー利用のどんな場面での活用を期待されているのでしょうか。

(ア)水素の燃焼効率を向上させる可能性がある
(イ)水素を安全かつ効率よく貯蔵・輸送できるようになる可能性がある
(ウ)さまざまな資源から水素を作れるようになる可能性がある
(エ)水素燃焼時の二酸化炭素生成を抑制できる可能性がある

正解はこちら!

○正解は(イ)の「水素を安全かつ効率よく貯蔵・輸送できるようになる可能性がある」

A. (イ)水素を安全かつ効率よく貯蔵・輸送できるようになる可能性がある

前述のとおり、金属有機構造体は内部に多数の孔が空いている構造になっており、この孔に分子(主としてガス分子)を吸着させることができます。

ガス分子の吸着は、水素に対しても行えます。これを利用した吸着水素貯蔵は、一般的な高圧ガス貯蔵よりも安全で、高密度にすることができるため、同じ圧力条件下ではタンクの体積当たりの水素量を大きくすることができ、同じ水素量であればタンクの圧力を下げることができます。これが水素の安全かつ効率のよい貯蔵・輸送につながると期待されています。

ただし、金属有機構造体を水素の貯蔵・輸送に利用するにあたっては、以下のような課題があります。

常温での貯蔵性能が十分ではないことが多い
体積あたりの貯蔵量を伸ばすために吸着材として成形する必要があるが、それに伴って性能が低下しやすい
吸着時の発熱で吸着量が落ち、放出時は温度低下で放出が鈍るため、温度マネジメントが必要
水素に含まれる不純物によって吸着材が劣化したり目詰まりが起きたりする

これに加えてコストや品質管理の問題もあります。現在、こういった課題を解決するべく、研究・開発が続けられています。


いかがでしたか? それでは次回のクイズをお楽しみに!
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