【ゴールド】なにで金に投資する?

金は、古くから「価値が失われにくい資産」として知られ、経済の不安定な局面で注目されやすい存在です。

近年は、ニュースで金価格の話題を目にする機会も増え、「少し持っておいたほうがいいのでは?」と感じている方もいるかもしれません。

ただし、金への投資方法は一つではありません。
金融商品として保有する方法もあれば、実物として持つ方法もあり、それぞれリスクや手間、税金の扱いも異なります。

そこで今回は、SBI証券の投資情報部の植田雄也さんに、金投資の代表的な4つの方法を比較しながら、「自分に合った金投資の考え方」を解説してもらいます。

* * *

インフレや円安のニュースを見て『金投資っていいのかな?』と思ったことはありませんか?
しかし、いざ調べると『投資信託』『ETF』『地金・コイン』『純金積立』…種類が多くて迷いますよね。
今回は、投資初心者の方がどれを使って金投資をはじめればよいのか、4つの方法をやさしく比較します。

投資信託
金価格の値動きに連動することを目指して運用される商品。少額から購入でき、保管や管理の手間がかからない
ETF
証券取引所に上場している金連動商品。株式と同じように、取引時間中に売買できる
地金・コイン
金の延べ棒や金貨など、実物の金を保有する方法。現物資産としての安心感がある一方、保管や管理が必要
純金積立
毎月一定額で金を積み立てて購入する仕組み。価格変動の影響を平準化しやすく、長期向き

○金4つの投資方法の比較

上記は、金への4つの投資方法を並べたものです。
○投資スタイルで選ぶなら?

「NISAを使って、まずは少額ではじめたい」→投資信託 or ETF
「安全資産として"実物の金"を持ちたい」→地金・コイン※1
「コツコツ積み立て、最終的に"実物の金"がほしい」→純金積立※2
となります。自分に合ったスタイルが明確に分かると、一気にはじめやすくなりますね。それでは、一つずつ解説していきます。


※1 1540など一定口数以上の保有で現物転換(要手数料等)できるETFもあります
※2 SBI証券:1kgから引出し可(別途手数料あり)2026年1月現在
○① 投資信託

特徴:100円から気軽にはじめられる
メリット:分散投資・管理不要(プロが運用)・損益通算可能(特定口座などで投資する場合)
注意点:信託報酬(運用管理費用)がかかる
税金:NISAで非課税投資可能
○② ETF

特徴:株と同じようにリアルタイム売買できる
メリット:市場価格での即時売買が可能、少額投資OK・損益通算可能(特定口座などで投資する場合)
注意点:売買手数料がかかる場合あり
税金:NISAで非課税投資可能
○③ 地金・コイン

特徴:"実物の金"を保有できる
メリット:無価値になりにくい、世界共通資産
注意点:売買手数料が高め・自宅保管には盗難リスク
税金:保有期間が5年超の場合なら長期譲渡所得となり、(利益−特別控除50万円)×1/2 に課税という優遇あり

○④ 純金積立

特徴:毎月の積立で購入(ドルコスト平均法に向く)
メリット:現物引出し可、長期積立向き、価格変動を平準化
注意点:買付手数料1.65%(SBI証券の場合)、現物引出しは別途手数料
税金:保有期間が5年超の場合なら長期譲渡所得となり、(利益−特別控除50万円)×1/2 に課税という優遇あり
○◎投資信託・ETF(特定口座などで投資する場合)

税率:20.315%→NISAを活用すれば非課税
○◎地金・コインや純金積立

金・銀・プラチナ等の売却益は「譲渡所得」になります。そのため、確定申告が必要で、保有期間により課税方法が変わります。

・保有期間が5年以内の場合
→ 短期譲渡所得(利益−特別控除50万円)

・保有期間が5年超の場合
→ 長期譲渡所得(利益−特別控除50万円)× 1/2
○算出方法

・短期譲渡所得=売却価額-(取得価額+譲渡費用)-特別控除50万円
・長期譲渡所得=<売却価額-(取得価額+譲渡費用)-特別控除50万円>×1/2
※詳しくは、最寄の税務署等へお問い合わせください
○【注意】一見、わかりやすい金投資だけど……

金投資は"わかりやすく見えて、見落としやすい点"があります。

・為替影響
・売買スプレッド
・信託報酬(運用管理費用)
・売買手数料
・損益通算の可否
など

商品によってコストや注意点は違うので、「どれを選ぶかで実質的な利回りが変わる」点はチェックが必要です。

ここまで見てきたように、金投資は「どれが正解」というものではなく、目的や考え方によって適した方法が変わります。次に、全体をあらためて整理してみましょう。
○まとめ

金投資は目的によって選び方が大きく変わります。

◎手軽さ・少額・非課税 → 投資信託・ETF(NISA対応)
◎実物を持つ安心感 → 地金・コイン
◎コツコツ積立&将来現物 → 純金積立

まずは "自分が金に何を求めるのか"を基準にすると、どの方法が合うか自然と見えてくるかもしれません。

(ご参考)地金・コイン・純金積立の"税金メリット"をやさしく解説

ここからは「NISA対象外」の金投資のお話です。

「え、NISAが使えないなら不利じゃないの?」と思われるかもしれませんが、実はその逆。条件によっては、特定口座などの投資信託やETFより"税金面で有利"になるケースがあるんです。

「安全資産として実物の金を持ちたい」「コツコツ積み立て、最終的に実物の金がほしい」、そんな方には、ぜひ知っていただきたいポイントです。

○①年間譲渡益が「50万円以下」なら"実質非課税"になる

地金・コインや純金積立は、売却した際の利益が年間合計50万円以下であれば、税金はかかりません。
理由は簡単で、金の売却益には「譲渡所得の特別控除50万円」があるからです。
一方で、投資信託やETFは利益に対して一律20.315%の税金がかかります(特定口座などで運用する場合)。特別控除50万円はありません。

つまり、"利益が50万円以下"という方にとって、地金・コインや純金積立はとても相性が良い制度かもしれません。
○②5年以上の保有で税負担が"半分"になる

地金・コインや純金積立には、もうひとつ大きなメリットがあります。
5年以上保有して売却した場合、長期譲渡所得として扱われ、課税対象額が1/2になります。

つまり、特別控除50万円 × 課税額1/2 のダブル優遇が使えます。
長期で持つ人ほど、税金がグッと軽くなる仕組みです。
○(ご参考)知っておきたい「金投資×損益通算」

地金・コインや純金積立の"税メリット"はお伝えしましたが、もう一つ知っておきたいポイントがあります。
それが「損益通算」です。金投資を始める前に、「どの利益がどれと相殺できるのか?」を理解しておくと、税金のコントロール力がグッと上がります。

○損益通算とは?

簡単に言うと、"利益"と"損失"を相殺して、税金を減らせる仕組み。

(例)Aの投資で+30万円の利益、Bの投資で−10万円の損失
この場合、利益30万円 − 損失10万円 = 20万円にだけ税金がかかるという形にできます。

(損益通算しない場合)
A:30万円の利益に20.315%の税金=60,945円、B:損なので税金なし

(損益通算する場合)
利益30万円−損失10万円=20万円の利益に20.315%の税金 = 40,630円

差額:20,315円も税負担が軽くなる!こうした"節税効果"を使えるのが損益通算です

○損益通算の注意点

ここはとても大事なポイントです。

◎損益通算には「確定申告」が必要
→ 自動では行われないため注意

◎NISAは損益通算の対象外
→ NISAは“利益も損も計算に入らない”と覚えておくとラク

◎ 特定口座(源泉徴収あり)でも、損益通算したい場合は確定申告が必要
→ 証券会社の自動計算だけでは済みません
※株式等の譲渡損失(赤字)の取扱いの詳細に関しましてはこちら(※国税庁のホームページに遷移します)
※上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除に関しましてはこちら (※国税庁のホームページに遷移します)
○株式・投資信託・ETFの損失はどう扱われる?

◎同じ「上場株式等」(株式・投資信託・ETFなど)の利益と損益通算できる
◎ 相殺しきれない損は"3年間繰越し"できる→ 条件:連続して確定申告が必要
◎ 他の所得(給料、不動産、暗号資産など)とは損益通算不可
○地金・コイン・純金積立の損失はどう扱われる?

ここが“投資信託・ETFと大きく違う”ところです。

◎地金・コインや純金積立は、株・投資信託・ETFの利益などと損益通算できない
地金・コイン・純金積立の売買益は「譲渡所得」扱いになります。
一方で、株式・投資信託・ETFの損益は「上場株式等の譲渡所得」扱い。

この2つは別グループなので、損益通算ができません。

つまり…地金・コインや純金積立で損しても、株などの利益から差し引くことはできません。
株などで損しても、地金・コインや純金積立の利益と相殺できません。
○投資信託・ETFは税制の“自由度”が高い?

投資信託・ETFは…

① 損益通算できる
② 損失繰越3年できる
③ NISAなら完全非課税

投資をはじめる前に「どこまで税金をコントロールできるか」を知っておくことが、将来の手取りを増やす第一歩につながるかもしれません。

出典元はこちら

『投資情報メディア』より、記事内容を一部変更して転載。

植田雄也 うえだゆうや マーケットアナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員補) 『投資情報メディア』の「NISA植田道場」やYouTubeなどで投資情報コンテンツの企画・発信を担当。
SBIホールディングスに新卒入社後、SBIマネープラザでIFAとして2年間勤務。2025年5月よりSBI証券投資情報部に所属し、NISA・iDeCoのコンテンツを担当。幼少期にゲームを買ってもらえなかった経験から、お金の使い方に関心を持ち、資産運用を「お金で何を実現するか」と捉えることで、人生を見つめ直すきっかけを提供したいと考えている。現在はマクロ経済の視点から政策や国際環境を分析し、ライフプランに基づいた最適な資産配分の提案に強み。趣味はBAD HOPの音楽を聴くことで、東京ドームの解散ライブにも参戦。特技はHIP HOPダンス。 この著者の記事一覧はこちら
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