「人生100年時代」と言われる今、20代からの資産形成は待ったなし。とはいえ「投資の目利き力、どうやって磨く?」と悩む人も多いはず。
今回は、株式会社NTTデータ 金融イノベーション本部 グローバルカスタマーサクセス室 室長の吉本幸司氏と、同社 金融イノベーション本部 ビジネスデザイン室 新規ビジネス担当 シニア・スペシャリストの前田哲也氏、Securitize Japan株式会社 Country Headの小林英至氏に、「デジタル特典付き社債とST市場の可能性」について伺いました。
協業の原点「社債市場を変えるにはデジタルが必要」
――本日は、NTTデータの吉本様と前田様、Securitize Japanの小林様に、デジタル特典付き社債とST市場の可能性について伺いたいと思います。まず、両社の協業に至った背景を教えてください。
前田氏:きっかけは、2019年に行われた日本STO協会ワーキンググループです。当時から「社債市場の活性化」が長年の課題として指摘されていました。NTTデータはオブザーバーとしてワーキンググループに参加していたのですが、Securitizeさんが当時語られていたことは「今後の日本のセキュリティトークン市場において、将来を見据えた方針を言っている」という印象でした。
その後、2020年に共同研究をスタートし、まずはみずほ銀行向けにデジタル特典付き社債の仕組みを提供しました。そこで得られた知見を基盤に、2025年4月に「デジタル証券プラットフォームサービス=STdirectServices」を事業化できたという経緯です。
小林氏:Securitizeとしても、米国では当時から多くのセキュリティトークン事例・実績がありましたが、日本には独自の規制や慣習があり、日本市場での展開は大きな挑戦でした。Securitizeの技術や知見・実績に、NTTデータさんの日本の金融システムや金融実務に関する知見が加わり、デジタル特典付き社債機能の実現につながったと考えています。
前田氏:特に日本では、金融庁のガイドラインや証券会社のオペレーションに合わせた細かな調整が不可欠です。Securitizeさんが現場に寄り添い、コミュニケーションを重ねながらスピーディーに修正をくり返してくださったのは大きな強みでした。
○“楽しそうだから買う”という特典付き社債ならではの投資動機
――デジタル特典付き社債の成功事例として、JR西日本やカゴメの最初の案件(※1)は、販売開始からわずかな時間で即完売したとお聞きしています。この成功の背景をどう見ていますか。
吉本氏:一番大きいのは「小口化」と「特典」の掛け合わせです。これまでの社債は、たとえば1口100万円といった大きな金額が必要でしたが、デジタル化によって10万円単位で購入できるようになりました。投資初心者にとって、これは心理的なハードルを大きく引き下げます。
前田氏:さらに、ネット証券で購入できるようになったことも重要です。証券会社の店舗で相談したり、営業担当者とやり取りしたりする必要がなくなり、スマホだけで完結できる。20代・30代にとっては“スマホで完結する金融サービス”というだけで参加しやすさが全く違います。
小林氏:特典の存在は想像以上に大きかったのではないでしょうか。「利息がつく」よりも、「特典が届くほうが嬉しい」という若い層は多く、SNSでも“初めて社債を買った”という投稿が数多く見られました。従来、社債は“堅い金融商品の代表”のような存在でしたが、特典があることで「楽しい」「生活に役立つ」というイメージへ一気に転換したと感じます。
吉本氏:「難しそうだから買わない」という世界から、「おもしろそうだから買ってみる」という行動が生まれた。これは投資文化にとって、とても大きな変化です。
投資初心者でも始めやすい「わかりづらい金融」を視覚化する
――投資の経験がまだ浅い層にとって、デジタル特典付き社債はなぜ始めやすいのでしょうか。
前田氏:
理由は3つあります。
1つ目は、少額で始められること。
2つ目は、「なにが得られるか」が特典によって明確であること。
3つ目は、特典申し込みプロセスが“圧倒的にシンプル”なこと、です。
吉本氏:株式投資のようにチャートを読んだり、企業分析をしたりする必要はありません。「この鉄道が好き」「この食品ブランドが好き」といった親しみやすい動機で始められる点が大きいです。
小林氏:たとえば地域のデジタルパスや宿泊券NFTなど、投資が単なる金銭的なリターンを得ることだけではなく、“生活に役立つ体験”に変わっていくことが考えられます。投資が“金融商品”ではなく“ライフスタイルの一部”として理解される。この変化は大きいです。
吉本氏:発行企業にとって重要なのは、特典付き社債が投資家層を初級者まで広げる方法になっていることです。
※1 従来通りの振替債(ほふりを利用した社債)に、発行企業が直接投資家に特典を付与できるようにしたものであり、セキュリティトークンを活用したものではない
発行企業のメリット「投資家データが可視化される」
――発行企業にとって、この仕組みはどのような価値がありますか?
前田氏:最大の価値は「投資家データが可視化される」ことです。従来の社債発行では、だれが買っているのか、どんな属性なのか、どんな動機で購入したのか……こうした情報を発行企業が直接知ることはできませんでした。しかしデジタル特典付き社債では、投資家の行動データが取得でき、マーケティングやIRに活用できます。
小林氏:発行企業は特典の応募動向を見ながら、投資家がどんな体験に価値を感じているのか分析できます。結果として「ブランド理解が深まる」「企業と投資家の関係性が強まる」といった効果が生まれます。
吉本氏:これは、社債発行を“コスト”と捉えていた時代からの大きな転換です。今後、社債発行は“ファンづくり×ファイナンス”として活用され、若年層と企業をつなぐ新しい窓口になるでしょう。
「応援で投資する時代」STが生み出す新しい投資文化
――投資家側にはどのような変化があるでしょうか?
吉本氏:社債を“応援で買う”という層が増えています。ブランドへの共感、地域への愛着、社会貢献への参加…こうした感情が投資の理由として重要になってきました。
小林氏:地方創生ファンドなどでも、「地元を支えたい」という動機が目立ちます。STは共感・応援と非常に相性がよく、金融商品を“文化的な行為”へと拡張できる点が魅力です。
前田氏:特典は単なる“おまけ”ではなく、企業と投資家のストーリーをつなげる媒介になります。投資が“自分事”として捉えられることで、投資文化自体が豊かになっていくと感じています。
未来の確かな投資インフラ
――最後に、未来の投資インフラについてお聞かせください。
吉本氏:今後は、地方債・自治体施策などへの応用も進むでしょう。特典が地域資源になることで、投資が地域活性化に直結する未来が見えています。
小林氏:最終的にはP2Pの世界、投資家と発行企業が直接つながり、資金調達からマーケティングまで一体となったプラットフォームが主流になると考えています。パブリックチェーンを活用した透明性の高い市場は、日本の競争力を大きく引き上げるはずです。
前田氏:デジタル特典付き社債は、まだ入口です。この動きが市場全体に波及し、投資初級者でも参加しやすい、開かれた市場が形成されていくと確信しています。
中島宏明 なかじまひろあき 1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。











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