虎ノ門ヒルズ ステーションタワーでは1月29日~31日の期間、クリイターや企業の実験的なプロダクトやアートが集う都市型クリエイティブフェスティバル「TOKYO PROTOTYPE(東京プロトタイプ)」が開催されている。

本稿では、同展示に出展しているZOZO NEXTの「Alternative Crafts」に出展されている作品たちを紹介していく。


人の中に眠る感性を呼び起こすプロジェクト「呼色」

今回、開催されている「TOKYO PROTOTYPE」は、虎ノ門ヒルズの街なかおよびTOKYO NODEを舞台に、クリエイター・アーティスト・企業が領域を越えて集い、AI・ロボティクスなどのテクノロジーを活用した実験的なプロダクトやアートなどの「プロトタイプ」を展示する都市型クリエイティブフェスティバル。

作品を見て楽しむだけにとどまらず、交流イベントや会場に常駐するクリエイターと来場者との対話を通じ互いに刺激し合うことで、新たな発想や次のプロトタイプへとつながる場を生み出すことを目的としているという。

その中でも、駅コンコースとステーションアトリウムに隣接するカフェ兼イベントスペースにブースを構える、ZOZO NEXTの展示「Alternative Crafts」では、伝統工芸と先端技術を融合させた新プロジェクト「呼色(よびいろ)」の作品群が初公開された。

これまでZOZO NEXTは、伝統工芸と先端技術およびインタラクション技術を組み合わせた新たなテキスタイル開発に関する共同研究や、同社の運営するWebメディア「fashion tech news」における日本工芸の「再評価」と「再活性化」を目指すプロジェクト「Artisan」など、日本の工芸品に関するさまざまなプロジェクトに取り組んできている。

このような背景をもとに始動されたのが、五感や感情、人の中に眠る感性を呼び起こすプロジェクトである「呼色」だ。

このプロジェクトは、それぞれの素材や工芸の中に見出される光、温度、香り、音、触感といった、日常に潜む微細な変化を感じ取るための形を模索していく実験的な試み。

工芸品を「昔から変わらない技術」と捉えるのではなく、「時代に応じて進化してきた存在」として捉え、工芸と先端技術の融合に取り組んでいるという。
電子レンジ対応の漆器や温度の色変化で季節を感じる時計などの展示

ZOZO NEXTの展示では、すでに販売開始されている作品からプロトタイプとして実証実験中のものも合わせて、15点もの作品群が展示されている。

例えば、展示ブースに入って1番最初に目に入る「URUSHICA」は、200年以上の歴史を持つ漆器業の老舗である漆琳堂とZOZO NEXTが共同開発した食洗器や電子レンジにも対応する新しい漆器だ。

これまで難しいとされてきた漆のみの耐熱樹脂への密着を可能としたことで、現代のライフスタイルに合わせた漆器として開発されたという。

現在はまだ電子レンジ使用時は保証対象外となっているが、今後、最終仕様での評価・検証を経て、製品化を目指していくという。

さらに筆者が興味を惹かれたのは、温度による色彩変化で見た目が変わっていく掛け時計「ひととせ」だ。


この作品は、石川県のSeccaという企業とZOZO NEXTが共同開発したもので、温度変化を感じ取って色が変化するスマートマテリアルを塗り重ねることで、季節や時間の経過を色で感じられるようにしているという。

名前の通り、1年を通して植物が少しずつ色を変え、景色がゆるやかに変化していく様子を表した作品で、時間に追われがちな現代の生活の中で、数値としての時間だけでなく、季節に色づく自然を想う余裕を生み出してくれるプロダクトだ。

さらに掛け時計以外にも、置時計や花瓶といったプロダクトラインが展開されており、日常でふと目に入るところから季節の移ろいを感じられるような仕掛けが施されている。

これ以外にも、UVライトの光で違う模様が浮き上がる掛け軸「PIXEL WAVE -博多織-」や、300年の歴史を持つ名尾和紙のテクスチャーと蓄光素材を融合させた照明「星境」などが展示されている。

同社は、今後もさまざまな伝統工芸と先端技術との共創を通じて、未来のライフスタイルを支える創造的価値を届けていきたい考え。

さらにこのような展示で来場者との対話や出会いを通じて、新しい「伝統×先端技術」の取り組みを進めていきたい構えだ。
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