「ロッテリア、54年の歴史に幕」「国内全店を閉店」「ゼッテリアへ転換」といった報道があって、驚きや悲しみの声にあふれる2026年1月の終わりですが、実は、筆者は3年前からこの動きを"予知"していました。
「すき家」でおなじみの「ゼンショーホールディングス」がロッテリアを買収すると発表されたのが2023年2月16日。
その様子を筆者はじっと見守っていたのですが、昨年25年3月に「ロッテリア 銀座クリスタルビル店」が「ゼッテリア 銀座数寄屋橋店」へ変わった時には、さすがに思うものがありました。数寄屋橋交差点の一角にあって、長らくシンボリックな存在のロッテリアでしたので。
そしてついにロッテリアというブランドそのものが3月末までになくなるとの報道……やはり淋しいですね。
定番メニューや独自メニューはゼッテリア転換でどうなる?
ロッテリアからゼッテリアへの大転換の中、人気メニューの行方は当然、気になるところです。大好きだったあのバーガーは一体……。まずは「絶品チーズバーガー」から見てみましょう。
2007年、突如"彗星"の如くバーガー界に現れたフレンチシェフ・嶋原博氏が開発した「絶品チーズバーガー」は、パティとバンズとチーズだけからなる、生野菜なしの実にシンプルなバーガーでした。「スマッシュバーガー」と呼ばれる、よく似た傾向のシンプルなバーガーが昨今大流行していることを考えると、「時代の先を行くバーガーだったな」と、今にして強く思います。
その後、幾度かの改良を経た現在最新の絶品チーズバーガーは、生野菜が加わり、バーガーソース、チーズソース、オーロラソースの"トリプルソース"が華麗にかかった、味わい豊かでジューシーなバーガーに仕上がっています。当初の「トンガッタ」ものとはだいぶキャラの違うバーガーに進化しているようですが、果たしてこの先は……。
「絶品」が登場するまで、ロッテリアと言えば「エビバーガー」が代名詞でした。剥き身のエビがそのまま入った"エビパティ"に千切りキャベツと特製タルタルソースを合わせた、ロッテリアを代表する一品ですが、ゼッテリアでは「えびバーガー」と表記が変わり、さらにサウザンソースが加わって、一層にぎやかな内容で続いている模様です。
「半熟タマてりバーガー」もロッテリアの伝統芸。今でこそ「半熟風たまご」(たまご加工品)を使ったバーガーが、秋の月見の季節に各社から多数販売されていますが、ロッテリアでは、独自製法による"半熟タマゴ"のバーガーを他社に先駆けて2005年から売り出していました。この伝統の"半熟"はどうなる……。
ロッテリアならではのユニークなメニューが「リブサンド」です。リブ(あばら肉)に見立てたポークパティをソフトフランスパンに挟み、BBQソース、ハニーマスタード、粗挽きコショウで派手に味付けした"傑作"ですが、今のところ、ゼッテリアには継承されていない模様……。
あとは、ロッテリアと言えば「シェーキ」ですね。「100円シェーキ」のセールをたびたびやっていましたが、お菓子メーカーのグループである強みを活かして、ロッテ「ガーナチョコレート」を使ったシェーキとか、「パイの実」を乗せたシェーキとか、「コアラのマーチシェーキ」とか、そうした「駄菓子屋」的な楽しさもロッテリアの魅力のひとつでした。ロッテのグループを離れたことで、その辺りの要素はどうなっていくのか……。
バーキン、フレッシュネスに先駆けた全国制覇も目前
そんな去りゆくロッテリアの、現在の店舗数を見ておきましょう。26年1月23日現在、22都道府県に「79店」が残っています。
一方、1月23日現在のゼッテリアは、オープン予定の店も入れて「186店」。多くの店がロッテリアから転換したものです。ここで注目は店舗数「0」の県。全部で8県ありますが、ゼッテリアはこの空白の県をすべて埋めて、47都道府県全県に店を出すのでは――と、筆者は読んでいます。
他の店舗からポツンと離れて1軒だけ店があるような出店の仕方は、食材や資材などの配送コストの面から一般的に"非効率"とされていますが、ゼッテリアの場合、ゼンショーグループの牛丼チェーン「すき家」が既に全国に展開しているので、そうしたグループの物流網を活かせば、ポツンと1軒だけの出店も難しくはないでしょう。
国内336店の「バーガーキング」が"ない県"は14県、国内156店の「フレッシュネスバーガー」が"ない県"は21県。それら競合チェーンより、目下186店のゼッテリアの方が47都道府県全県出店の道は近いように思えます。もしそうなれば、ゼッテリアの認知度は上がるでしょう。
問題は、ゼッテリアがどんなポジションのハンバーガー店であるか――です。
ハンバーガーを扱う店が増えて、その質も技術も格段に高まっている今日、ハッキリとわかりやすい特徴・特色がゼッテリアには求められます。果たしてゼッテリアはどんな店を目指し、どこへ向かおうとしているのか。
その答えは、これまで見て来た「絶品チーズバーガー」や「えびバーガー」の中に表れている、かも知れません。よく味わって下さい。よく確かめて下さい。ゼッテリアの今後が知りたければ……すべてはハンバーガーの中に!
松原好秀 まつばらよしひで ハンバーガー探求家。評論家。2014年に『ザ・バーガーマップ東京』(幹書房)出版。ハンバーガー関連の企画でテレビ&ラジオの出演多数。映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2017)の公開記念キャンペーンも担当 この著者の記事一覧はこちら











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