衆院選で、各政党がさまざまな「消費税減税」の政策案を打ち出しています。消費税減税はすべての方にメリットがある一方、"金持ち優遇政策"と言われることもありますが、本当なのでしょうか。
なぜ今「消費税減税」なのか
衆院選に突入し、各党がこぞって「消費税減税」を打ち出しています。食品のみゼロ、一律引き下げ、すべて廃止、時限的な減税など、案の幅はさまざまです。
生活を圧迫する物価高の状況で、国民の生活を守るために消費税減税を打ち出し、支持拡大を狙う政党が多くなっています。
消費税減税=庶民の味方と感じる方も多いと思いますが、本当にそうなのでしょうか?
消費税の仕組みと「逆進性」
消費税は、物・サービスを買うときに一律でかかる税金です。原則は10%ですが、現在は軽減税率が適用されており、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読の新聞」は8%となっています。
消費税は「逆進性がある」といわれることがあります。その理由は、低所得層ほど所得に占める消費の割合が高く、税の負担率で見ると低所得層のほうが負担が重くなりやすいためです。
消費税減税の効果を検証するには、「金額ベース」と「生活への影響ベース」の2つの観点で見ていく必要があります。
計算してみた! 消費税減税で得をするのは誰か
今回は、次の前提でシミュレーションをしました。
単身世帯
食料品の消費税(軽減税率8%)がゼロになるケースを想定
年収300万円、600万円、1,000万円の3パターンで計算
シミュレーションの前提となる、年間食費は以下のように計算しました。
※年間食費は税別でモデル化
年間消費支出額および食費割合は、家計調査などを参考にした現実的なモデル値を使用しています。
○金額ベースで見る減税効果
年間の減税額は、年収300万円で4万円、年収600万円で5.3万円、年収1,000万円で5.7万円となりました。
高所得者ほど減税額は大きくなります。今回の計算は1,000万円までですが、2,000万円、3,000万円と上がるにつれて減税額はさらに大きくなります。
これが「消費税減税は金持ち優遇」と言われる理由です。ただし、差は数万円レベルであり、それほど大きくないと見ることもできます。
○負担感で見るとどうなる?
減税額が、年収に対してどのくらいインパクトがあるかを見てみましょう。減税額の年収比は年収300万円で1.33%、年収600万円で0.88%、年収1,000万円で0.57%となりました。
低所得層ほど、減税額の年収比は高くなっており、減税の効果が大きくなります。年収300万円層では、食費が年間4万円減るため、お米+野菜の数カ月分に相当するインパクトです。
○給付金との比較
消費税減税と給付金は、どちらも家計を支える手段ですが、性格は異なります。減税は手続きなしで、買い物のたびにじわっと効くため、中間層にとっては実感しやすいでしょう。
一方、給付金は低所得者など対象を絞れば効果は高いですが、「自分は対象外だった」という不満の声も出やすいのがデメリットです。
どちらを選ぶかは、「誰の生活を、どの程度支えたいのか」という判断次第です。
"金持ち優遇政策"は本当か
政治家や有識者が「消費税減税」は金持ち優遇する政策と発言することがあります。たしかに富裕層のほうが、支払う消費税の税額は大きいため、減税による節約額は大きくなるでしょう。
ただし、これはあくまで額面だけを基にした話です。相対的な負担の軽さ、生活への影響も考慮すると、単純な金持ち優遇とは断定できません。
「誰が得をするか」は、評価基準によって結論が変わります。
まとめ:消費税減税の効果とは
消費税の金額で見れば高所得層が得である一方、生活への影響で見れば低所得層への効果も大きいといえます。問うべきは「誰が得か」というよりも「何を目的とした政策なのか」でしょう。
有権者としては、減税のメリットだけでなく、財源にも目を向ける必要があります。
安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。











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