ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(a16z)が1月31日、モデルプロバイダーの採用やユースケースなどについて尋ねたCIO調査を発表した。「ChatGPT」公開から3年、エンタープライズAI市場の勢力図が急速に変化していることが明らかになった。

OpenAIを猛追するAnthropic

調査はGlobal 2000に含まれる100社のVPおよびCレベル幹部を対象に実施された。回答企業はすべて年間売上5億ドル以上で、88%が10億ドル超、30%が100億ドル超の規模を持つ。金融サービス、ソフトウェア・テクノロジー、製造業、ヘルスケアなど幅広い業種が含まれる。

OpenAIは78%の企業で本番環境での使用実績があり、企業のAI予算のうちOpenAIに使われている割合(ウォレットシェア)でも約56%を占めてトップの座を守っている。しかし市場の勢いは明らかに変化している。

a16zが特に注目するのが「Claude」を提供するAnthropicの急成長だ。2025年5月以降、同社はOpenAIやGoogleなど最先端AI開発を手がける“フロンティアラボ”の中で最大のシェア増加を記録しており、エンタープライズ浸透率は25%増加した。現在44%の企業が本番環境でAnthropicを使用しており、テスト環境を含めると63%を超える。

Anthropicの成長を牽引しているのは最新モデルの性能だ。Anthropic顧客の75%が「Sonnet 4.5」または「Opus 4.5」を本番環境で使用しており、古い安価なモデルの採用率を大きく上回る。一方、OpenAIでは初期のモデルファミリーが「十分に機能する」として使い続けられているケースが目立ち、最新モデルの本番環境での採用率は46%にとどまった。
ユースケース別の勢力図、OpenAI、Anthropic、Googleの比較

調査では、エンタープライズAI市場は単一市場ではなく、ユースケースによって優位性が異なることも明らかになった。


OpenAIは汎用チャットボット、ナレッジマネジメント、カスタマーサポートなど初期の横断的ユースケースで優勢だが、Anthropicはソフトウェア開発やデータ分析で使われている。Google Geminiは幅広いユースケースで使われているが、コーディング分野でのシェアは限定的だ。ユースケースによって最適なモデルが異なるため、81%の企業が3社以上を併用している。これは、1年前の68%からの増加だという。

モデル性能が向上するとサードパーティのAIアプリケーションは不要になるという予測については、現実になっていないようだ。a16zによると、多くのユースケースでサードパーティアプリへのシフトが続いているとのこと。

中でも、エンタープライズアプリ市場ではMicrosoftが圧倒的な強さを見せている。「Microsoft 365 Copilot」はエンタープライズチャット分野で、「GitHub Copilot」はコーディング分野で、それぞれ首位。65%の企業が信頼性、既存システムとの統合性、調達の簡便性を理由に既存ベンダーのソリューションを選定していることがわかった。

エンタープライズのLLM(大規模言語モデル)平均支出は過去2年間で450万ドルから700万ドルに増加。2026年はさらに65%増の1160万ドルに達する見込みだ。アプリケーション支出も当初予想の390万ドルを大きく上回り、実際には600万ドル近くに達した。


投資回収という点では、企業はまだAIの効果的な活用方法を模索中であり、多くは既存ベンダーのソリューションしか使っていないため、より優れたツールの存在を知らない可能性がある、としている。a16zはOpenAIに出資しているが、この調査について、客観性を保つため第三者データとも照合したとしている。
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