一時は嗜好品という枠を超え、完全に投資対象として扱われていたウイスキー市場。オークションでは驚くような価格が並び、買い占めと転売が相場を一気に加熱させた。
しかし近年、その流れに大きな変化が見られるという。

ウイスキーは今、どんな人が売り、どんな人が買う市場になっているのか。大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんに今後の見通しを聞いた。

○「この価格では売れない……」投資熱が冷め、市場は膠着!

――まず、2025年のお酒の買取市場全体の動きはいかがでしたか?

持ち込み自体は増えていますが、相場としては下落、調整の局面になっていると感じます。時計やブランドと同じで、2020年~2023年にかけて加熱しすぎた反動が出ています。投資対象として注目され、ウイスキーも一気に値段が上がりましたが、正直あの頃の価格は健全ではなかったと思います。

――なぜ相場が下がる流れになったのでしょう?

オークションや二次流通で「この価格では売れない」という判断が広がったことが大きいですね。たとえば1000万円で動いていたものを700万円で出しても売れない。そうすると市場全体が「価格を見直そう」という流れになります。

さらに、高値で買っていた層が動かなくなったのもありますね。短期売却で利益を出そうとしていた人たちが撤退し、「損切りするか、持ち続けるか」という二択になった結果、「損切りはしたくないからこのまま持っておこうかな」という人も増え、結果として相場が下がった印象です。

――お酒を投資目的ではなく、ちゃんと飲む目的の人にとって今は買いやすい状況ということですか?

そうですね。
たとえば山崎18年はピーク時30万円近くまでいったこともありましたが、いまは10万円台前半。これなら「飲むために買う」という人も現実的です。ただ正直、それ以上の価格帯になると、飲む人なんてなかなかいないんじゃないかなと思いますね。数百万円、数千万円クラスは、やはり投資目的の世界ですね。

――超高額のお酒は、あくまでみなさん資産として保有していると。ちなみに、相場に対してインバウンドの影響はありましたか?

大きいと思います。特に中国の方は日本ウイスキーを爆買いして帰っていましたが、これが一気に減りました。今は日本に中国の観光客が全然来ていないので、そういう意味でも売れ筋悪いんじゃないでしょうか。

インバウンドが戻ればまた価格が上がる可能性もありますが、以前のような日本ウイスキーブームがそのまま復活するかは、正直わかりません。これ以上は加熱しない雰囲気もちょっとありますよね。
○2026年、大きな上昇は「超希少品」だけ! 売るなら早めが吉か

――2026年のウイスキー相場はどうなりそうですか?

全体としては、いまの水準で緩やかに推移すると思います。ドカンと上がることは考えにくいので。
ただし、山崎50年のような「限定10本」「抽選販売」といった超希少品は別です。定価は100万円前後のものでも、オークションでは数千万円になる。抽選販売なので、投資目的で狙うなら、そういったお酒に限られるのではないでしょうか。

――売却で迷っている人へのアドバイスもいただけますか?

個人的には、普通に買えるもの、流通量が多いものは、早めに売ったほうがいいと思います。自分で飲むならいいのですが、今は持ち続けるのは危険な気がしますね。

売る場合、査定では保存状態が非常に重要です。暗所保管、ラベルや箱の状態、傷の有無など、特に高額品ほどここが重要になってきます。あとは今、市場にどれくらいの流通量があるのかもちゃんとチェックしてから売却したほうがいいかなと思います。

ロレックスもウイスキーも相場は落ち着きつつあるようだが、「希少品」については例外。これからも高値を維持し続けそうだ。嗜好品として地に足のついた付き合いをしつつ、抽選販売で希少品をワンチャン狙う……そんな割り切ったスタイルが2026年のトレンドか?

いずれにせよ、今後の市場に注目!
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