麺と湯気の向こうに、世の中が見える……。連載第6回は、昨年の「大つけ麺博」で大きな話題を呼んだ「ビッグまぜそバーガー」(並:890円)を実食レポート。
「ジャンクガレッジ」大宮駅前店で期間・店舗限定販売されている注目の一杯だ。

* * *
○「大つけ麺博」で話題を呼んだ「ビッグまぜそバーガー」が大宮駅前店限定で復活

「ジャンクガレッジ」。2007年に人気つけ麺店「六厘舎」のセカンドブランドとして誕生したお店だ。看板メニューは、二郎インスパイアをスープレスという形で進化させた「まぜそば」。このジャンルを全国区に押し上げた火付け役のひとつと言っていい存在である。

埼玉を中心に店舗を展開しながら、ボリューム感と自由な発想を武器に独自のポジションを確立してきた。常に「まぜそばで何ができるか」を問い続け、時に突飛とも思えるアイデアを、きっちり一杯の完成形にまで落とし込んでくる。その姿勢こそが、多くのファンを惹きつけてきた理由だろう。

その「ジャンクガレッジ」が、大宮駅前店限定で提供しているのが「ビッグまぜそバーガー」である。
このメニューは、昨年の「大つけ麺博」で2日間のみ提供され、会場でもSNSでも大きな話題をさらった一品だ。

「まぜそば×ハンバーガー」。
文字にした瞬間、ネタ感が先行する。
しかし、それを本気で成立させてしまうのが、この店の恐ろしさでもあり、面白さでもある。

「お菓子の家に住みたい」「雲に乗れたらいいのに」――
そんな子どもの自由な発想は、微笑ましい反面、大人になるにつれて現実に押し戻されていく。しかしこの一杯は、その「子どもっぽい妄想」を一切修正せず、技術と本気で形にしてしまったような存在だ。

「大つけ麺博」ではタイミングが合わず食べられなかっただけに、今回このメニューが大宮駅前店でのみ提供されていると知り、迷わず足を運んだ。

○「子どもの夢」を本気で形に! 「ジャンクガレッジ」大宮駅前店限定「ビッグまぜそバーガー」の気になる味は......?

丼の中には、牛肉、チーズ、ピクルス、刻みタマネギ、レタス、フライドポテト。麺はおなじみの極太平打ち麺。
見た目は完全に"あのハンバーガー"の世界観である。

一口食べて、思わず笑ってしまった。見事にマ◯ドナルドの味なのだ。

甘みのあるソース、牛肉の旨味、チーズのコク、ピクルスの酸味。記憶の中に刷り込まれたファストフードの味が、驚くほど忠実に再現されている。しかし、ここからがこの一杯の本領だ。


極太麺が絡むことで、これは紛れもなく「まぜそば」になる。
麺の存在感に負けないよう、味の強弱と油分、酸味のバランスが緻密に設計されており、単なるパロディで終わらない完成度に仕上がっている。フライドポテトですら、食感のアクセントとして機能しているのが面白い。

正直に言えば、ここまで完成度が高いとは思っていなかった。ネタで笑わせて終わり――そんな先入観は完全に覆される。真剣にふざけた結果、生まれた一杯なのだと感じた。

アイデアの突き抜け方も凄いが、それ以上に感動したのは、「ちゃんと美味い」という一点に尽きる。遊び心と技術がここまで高い次元で噛み合うと、笑いを通り越して感動がある。

ネタだと思ってスルーするのは、あまりにももったいない。ぜひ実際に食べ、この「子どもの夢」を本気で形にした一杯を体験してほしい。

井手隊長 いでたいちょう 全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。メディア出演、ラーメンの商品監修など多方面で活躍中。
ラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。本の要約サービス「フライヤー」執行役員、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」事務局長も務める。 著書に『できる人だけが知っている「ここだけの話」を聞く技術』(秀和システム新社)、『ラーメン一杯いくらが正解なのか』(早川書房)、『天下一品 無限の熱狂が生まれる仕掛け』(日本実業出版社)がある。 ブログ:「隊長日誌(ラーメンミュージシャン井手隊長の日記)」 YouTube:「ラーメンミュージシャン井手隊長の 今3時?そうねだいたいね」 この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ