日本製鉄は2月5日、2025年度第3四半期の決算と2025年度の見通しを発表した。決算説明会には、上席常務執行役員 CFOの岩井尚彦氏が登壇した。
ベース需要の低迷で6200億円に下方修正
2025年度の日本製鉄は、国内外においてAI、電力、防衛などの一部分野を除き、製造業・建設業ともにベース需要が低迷しているという。
特に中国経済減速による需給ギャップ拡大を受け、過剰生産に伴う安価な鋼材輸出の増加がASEAN(東南アジア諸国連合)を中心に国際市況の低迷を招き、足元は極めて厳しい状況が継続している。
一方で、中国における内需のさらなる減少や各国の通商措置の広がりにより、中国からの輸出拡大は限界に来ており、粗鋼の減産幅拡大が見られるなど、生産の維持が困難になっていると想定されるという。
また、欧米では関税や通商措置により市況回復の兆しが見られる一方、各国での通商措置発動により日本国内への輸出圧力が高まっており、輸入通商対策の強力な検討・推進が必要となっている。
こうした中、2025年度の実力ベース事業利益は、ベース需要の低迷、中国の安値輸出を影響として、足元の原料価格高騰などの環境が悪化。さらに、北日本製鉄所(室蘭地区)高炉付帯設備トラブルによるマイナス400億円規模による一過的影響などにより、前回公表から600億円減の6200億円の見通しとなった。
同社のいう「実力ベース」とは、一時的な要因(在庫評価差損益や為替影響など)を除外した、事業本来の稼ぐ力(事業利益)を指す指標。構造改革による固定費削減や高付加価値製品の販売増による収益力向上を示している。
「2025年度の見通しの実力ベース事業利益は、11月に発表した前回見通しから、環境悪化要因でマイナス200億円、トラブル・一過性影響でマイナス400億円と、合計マイナス600億円の下方修正となる6200億円に着地しました」(岩井氏)
なお、U.S.Steel(2025年7月から業績取込み)については、米国市況は改善してきているものの、足元では大寒波の影響などもあり市場見通しに不確実性があることから、当期の実力ベース事業利益への貢献は織り込んでいないとのこと。
通期業績予想は600億円増の3兆4200億円に修正
続いて、岩井氏は「本体国内製鉄事業」「本体海外事業」「原料事業」に分けて状況を説明した。
本体国内製鉄事業
まず本体国内製鉄事業は、内需減少と輸出困難化に耐えうるスリムで強靭な体質への転換を行う。生産設備の構造対策としては、高炉基数を15基から10基に減らすほか、粗鋼生産能力も年間で20%減らす。
今後は注文構成の高度化により、さらに限界利益単価を向上させていく方針だ。
本体海外事業
本体海外事業は、米国内の複数拠点で、U.S.Steelの利益成長に資する戦略的投資の早期成案化・工事着手に向けた取り組みを加速させる。
成案化した案件として、Garyの高炉拠点における熱延設備増強やMon Valleyの高炉拠点におけるスラグ処理設備新設、Fairfieldの鋼管拠点における高級ねじ切り設備増設などがすでに発表されている。
今後はGaryの高炉拠点における製鋼工程ほか設備更新や、Big Riverの電炉拠点におけるDRIプラント新設とGO製造設備新設などを検討していくという。
原料事業
原料事業においては「さらに厚みをもった事業構造」を目指し、安定調達確保とともに、原料コスト変動による本体国内製鉄事業利益変動を緩和さらに自山鉱比率の向上を進めていく。
なお中長期経営計画最終年度となる2025年度の配当は、前回に公表された通り、10月1日を効力発生日とする株式分割考慮後で1株につき24円(うち期末配当金12円)を予定しているという。











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