衆院選で自民党が大勝したことを受け、今後の経済政策や金融政策が家計にどのような影響を与えるのか、関心が高まっている。とりわけ、これから住宅ローンを借りる人、すでに借りている人にとって気になるのが「金利は上がるのか」という点だ。


住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を提供するMFSの取締役CMOで、住宅ローンアナリストの塩澤崇氏に、自民党大勝が住宅ローンに与え得る影響について聞いた。
○「財政拡大」への警戒感が高まれば、変動も固定も上昇の可能性

塩澤氏がまず指摘するのは、財政拡大への警戒感だ。

「消費税減税を含め、財政を拡大する方向に進むと、日本の財政は本当に大丈夫なのか、という目で市場から見られかねません。その結果、円が売られて円安が進む可能性があります」

円安が進むと、輸入物価が上昇し、インフレ圧力が高まる。すると、日銀が想定以上に早いペースで政策金利を引き上げるシナリオも現実味を帯びてくる。

さらに固定金利についても安心はできないという。

「固定金利は長期金利と連動します。財政拡大が意識されると、国債増発への懸念から日本国債の人気がなくなり、長期金利が上がる可能性があります。長期金利が上がれば、固定金利も上昇します」

つまり、変動金利・固定金利のどちらも上がるリスクがある。MFSでは、2027年までの政策金利のベースシナリオを1.5%と見ている一方で、2%を超えるリスクシナリオも引き続き想定しているという。
○消費税減税は不透明、住宅ローン利用者は「注視」が必要

ただし、塩澤氏は消費税減税について「野党主導の政策だったため、選挙では自民党も対応せざるを得なかったが、大勝したことで必ずしも実行する必要はなくなった」と指摘。「検討を加速する」という政府の表現も玉虫色で、実行と見送りの両シナリオがあり得るとみている。


では、これから住宅ローンを借りる人、すでに借りている人はどう考えるべきか。

「現時点では、どちらに転ぶか断定できません。だからこそ、政治動向と市場の反応を注視する姿勢が大切です」

塩澤氏は、消費税減税によって住宅ローン金利が上昇すれば、かえって勤労世帯の家計を圧迫しかねないと指摘する。

「減税しても物価が下がるとは限りません。需要の増加や事業者側の判断で、値上げが起きる可能性もあります」。今回の減税議論についても「高齢者対策の側面が強い」とした上で、「勤労世帯は住宅ローン金利の上昇という形で負担が増え、減税の恩恵以上に不利になる人も出てくる」と警鐘を鳴らす。

住宅ローンを利用する世帯ほど、政策の表と裏の両面を冷静に見極める必要がありそうだ。

塩澤崇 しおざわたかし 株式会社MFS 取締役CMO。2006年に東京大学大学院情報理工学系研究科修了後、モルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。モーゲージバンクの設立やマーケティング戦略立案、当局対応を担当。2009年、ボストン・コンサルティング・グループで、メガバンク・証券・生保の国内営業戦略・アジア進出ロードマップ等の経営コンサルティングに従事した後、2015年9月より現職。株式会社MFSの住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」では、属性や希望条件から最適な住宅ローンを提案する「住宅ローン診断」を無料で提供。
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