近年、コーヒー豆や味にこだわる人が増加中。コーヒーマシンのトレンドは「手軽・簡単・美味しい」へと向かっている。
そんな中、ボタンひとつで豆から挽きたての1杯が楽しる「全自動コーヒーマシン」で世界トップシェアのデロンギが、あえて「淹れる体験」そのものを楽しむマニュアルタイプの製品を発表した。「デロンギ デディカ デュオ エスプレッソ・カプチーノメーカー(EC890J-WI/B/M)」(以下、デディカ デュオ)と、「デロンギ クラシック エスプレッソ・カプチーノメーカー」(以下、クラシック)の新色「ホワイト(EM450J-W)」だ。
いずれも3月12日発売で、価格はオープン。市場推定価格はデディカ デュオが59,800円、クラシックが35,800円前後。利便性とはいわば対極にあるデロンギの新製品を、同社のショールームにて体験・試飲してきた。
○「淹れる」という行為も楽しむコーヒーの新しい価値
日本の家庭ではお湯を注いで抽出するドリップタイプが主流だが、デロンギのコーヒーマシンが提供するのは、高い圧力をかけて一気に抽出するエスプレッソコーヒーだ。エスプレッソは濃厚で深いコクと「クレマ」と呼ばれる泡の層による香りの高さが魅力。
一方、手動で美味しく淹れるには、コーヒー豆を挽いた粉を均一に押し固める「タンピング」など技術的なハードルも存在する。デロンギの製品では、豆の挽きから抽出、内部洗浄までボタンひとつで完結させる「全自動コーヒーマシン」が人気だが、今回の2モデルは「淹れる工程」も楽しむマニュアルタイプ。完全新作の「デディカ デュオ」は、マニュアル式ならではの醍醐味と、デロンギの最新テクノロジーを融合させた特徴的なモデルだ。
なお、両モデルともグラインダーは内蔵していない。自分でコーヒー豆を挽くならグラインダーが別途必要だが、コーヒーショップで好きな豆を購入して挽いてもらうと手軽だ。
「デディカ デュオ」は、名前の通り最大2杯まで同時抽出が可能なエスプレッソマシンだ。抽出の手順は、フィルターに粉を詰め、専用のタンパーで適切に押し固め(タンピング)、マシンにセットする昔ながらのスタイル。加えて、タッチ式の操作パネルやエスプレッソ以外のコーヒーメニューを搭載といったデロンギらしい先進性もある。
複数のメニューで特筆したいのは「コールドブリュー」というアイスコーヒー用のメニューだろう。あまり圧力をかけずに少しずつコーヒーを抽出するという、デロンギ独自の「コールド エクストラクション テクノロジー」を使った抽出方法だ。喫茶店の水出しコーヒーのような、雑味の少ないまろやかな味わいを引き出せるとのこと。
実際に試飲してみると、一般的なアイスコーヒーのような強い苦みや酸味は影を潜め、豆本来の甘みの余韻が広がるスッキリとした後味に驚かされた。また、通常の水出しコーヒーが抽出に12時間近く要するのに対し、本機は約5分という短時間で仕上げてくれる点も大きなアドバンテージといえる。
デディカ デュオのもうひとつの楽しはミルクの泡立て。一般的なマニュアル式マシンにもスチーマーは備わっているが、デディカ デュオはデロンギ独自の「My LatteArt(マイ ラテアート)」機能を搭載。スチーム時に空気の混入量を自分で調整できるため、初心者がつまずきやすい「滑らかなフォームミルク」を比較的簡単に作れる(といってもそれなりの練習は必要)。
プロのような繊細なラテアートを描くには、まずこの滑らかなミルクを用意する必要があるが、その前段階をマシンがサポート。
○試行錯誤の楽しがより広がる「クラシック」
もうひとつの新製品は、2025年末に発売された「デロンギ クラシック エスプレッソ・カプチーノメーカー」の新色となるホワイトモデルだ。既存のメタルシルバーに加え、明るく清潔感のあるホワイトが加わったことで、より多様なインテリアになじむようになった。
大きな特徴は、前面に配置されたアナログ圧力計。マニュアル式のエスプレッソ・カプチーノメーカーでは、コーヒー粉の粗さやタンピングの強さをはじめ、複数の要因が抽出結果に影響する。
クラシックは抽出時の圧力をリアルタイムで可視化してくれるため、「圧力が足りないから次はもう少し粉を細かく挽いてみよう」「圧力が強すぎたからタンピングを少し弱くしようか」など、解決策への重要な指標になる。勘だけに頼るのではなく、自分の好みへ近づけるように試行錯誤ができることがポイントだ。
ここ数年は高機能なコーヒーマシンが続々と登場し、ボタンひとつで高い完成度の一杯を楽しるようになった。対して、抽出までに手動で行うステップが多く、失敗することもあるマニュアル式のエスプレッソマシンが提供するのは、自宅でコーヒーを淹れる工程そのものを楽しむという体験価値だ。
コーヒー粉の粗さや量、タンピングの加減によって変化する多彩な味の中から、理想の一杯を模索する。ときには思い通りにいかない失敗も楽しみながら、自分ならではの味にたどり着く成功体験は、効率化されたマシンでは味わえない醍醐味だろう。
「手軽さと失敗のない美味しさ」か「体験価値と自分だけの美味しさ」か、求めるものによってどちらも正解。
倉本春 くらもとはる 生活家電や美容家電、IoTガジェットなど、生活を便利にする製品が大好きな家電ライター。家電などを活用して、いかに生活の質をあげつつ、家事の手間をなくすかを研究するのが現在最大のテーマ。 この著者の記事一覧はこちら











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