世界中が熱狂するアスリートたちの舞台、オリンピック。スポーツの祭典である一方で、数年に一度の大きな「経済イベント」として注目されるのも事実だ。
そしてこの時期になると、株式市場でも決まって聞こえてくるのが「五輪関連銘柄」という言葉。
「五輪が来れば、あの株が上がる」――そう期待して、投資のチャンスを探す人もいるだろう。しかし、五輪相場が実際にどう動くのかまで理解している人は、意外と少ないのかもしれない。
そこで本記事では、YouTubeチャンネル『鳥海翔の騙されない金融学』(登録者39万人超)を運営する投資家・鳥海翔氏と、投資スクール「Financial Free College(FFC)」CEO・松本侑氏にインタビュー。
鳥海氏が語る、期待が株価を動かす流れと、松本氏がデータで明らかにする五輪のリアルとは一体…。ムードに流されず、市場心理と数字の両方から、五輪相場の“本当の姿”を追っていく。
五輪で株は儲からない? 上がっても「開会前」だけ
鳥海氏は、五輪相場において株価が動く最大の原動力は「実需」ではなく「期待」であると指摘する。
「過去のデータを見れば、特定銘柄への熱狂は確かに存在します。たとえば1964年の東京五輪前、都市インフラの刷新を期待された大成建設(1801)の株価は4倍以上に急伸しました。また、2020年大会前にも治安維持への期待から、セコム(9735)が約1.53倍、セントラル警備保障(9740)が5倍超という驚異的な上昇率を記録しています」(鳥海氏)
鳥海氏によれば、こうした個別銘柄の盛り上がりには“特有の時間軸”が存在し、多くの投資家が本番を待つ間に、デキる投資家はすでに次のステージへ移行しているという。
「五輪相場とは、“需要”が生まれるより先に、“期待”が価格になるイベントです。これには3つの段階があります。
続く第2段階の準備期間に入ると、建設や警備、システムといった具体的なテーマ株に資金が拡散し、実需を待たずして先回りのピークを形成しやすいのです。
そして第3段階、いざ本番から終了後にかけては、実際の需要が判明する頃にはすでに材料出尽くしとなります」(鳥海氏)
また、五輪が近づくと、コカ・コーラ(KO)やVisa(V)のような世界的企業から、民泊需要を想起させるAirbnb(ABNB)、着用モデルが注目されるアシックス(7936)やミズノ(8022)、放映権を持つ米Comcast(NBC)まで、幅広い企業が関連銘柄として語られる。
五輪が世界最大の広告イベントである以上、ロゴが露出すれば短期的な期待感が高まるのは必然だ。しかし鳥海氏は、「話題性は株価材料にはなっても、必ずしも継続して利益材料になるわけではないのです」と、期待先行の危うさに警鐘を鳴らす。
五輪の2週間、株価変動率わずか0.7%…
鳥海氏が指摘した「期待先行による価格上昇」が、いかに実需を伴わないものであるか。その事実を、松本氏は客観的なデータを用いて裏付ける。
彼はアテネからパリまでの過去6大会の夏季オリンピックを調査し、実体経済における五輪効果を以下のように分析している。
「話題性による短期的な資金の流入はあるかもしれません。ですが、日経平均株価のような市場全体の動きを見ると、開催期間中(約2週間)の変動率は平均わずか0.7%と、ほぼ無風状態であることがわかります。確かに開催1カ月前は平均4.7%の上昇、開催1カ月後は5.6%の上昇が見られますが、これを五輪単体の効果と呼ぶのは早計だと考えます」(松本氏)
松本氏の分析によれば、これらの株価変動はすべてその時々の巨大なマクロ経済要因で説明がつくという。
「例えば、2012年のロンドン大会前後は第2次安倍政権発足とリーマンショックからの回復期であり、2021年の東京大会時はコロナショック後の世界的な大規模金融緩和の時期と完全に重なっていました。
さらに松本氏は、テーマ株として騒がれやすい個別企業への実質的な恩恵についても、データに基づきこう言及する。
「アシックスやミズノといったスポーツ用品関連株について、選手が着用したことによる広告効果やブランド露出で、購入数が増加するなどの有意な影響が出たというデータはほとんどありません。つまり、事前の期待感で株価が動くことはあっても、五輪単体で企業の業績を永続的に押し上げるような影響は、ほぼ皆無と言っていいのです」(松本氏)
五輪関連を買うほど損するかも…伸びるのは“別の株”だった
鳥海氏は、五輪相場は“期待”で株価が動くと整理し、松本氏は実際の需要や業績への効果はほとんどないとデータで証明した。両者の視点を掛け合わせることで、投資家がとるべき正解は明確になる。
「五輪関連株の上昇の多くは『イベント期待+テーマ株人気』によるものです。事前の期待で膨らんだ株価は、松本氏のデータが示す通り実需が伴わないため、いずれ調整という名の現実に引き戻されます。
翌日の株価ではなく、5年後、10年後のキャッシュフローを重視するなら、テーマ性だけに頼った判断は禁物です。資産形成において本当に必要なのは、一時の盛り上がりではなく、企業の成長を見極める長期的な視点なのです」(鳥海氏)
こうした瞬間的に盛り上がる相場に踊らされることなく、冷静に本質を見極める姿勢こそが、いつの時代も変わらない資産形成の鉄則と言えるだろう。
西脇章太 にしわきしょうた 1992年生まれ。三重県出身。県内の大学を卒業後、証券会社に入社し、営業・FPとして従事。現在はフリーライターの傍ら、YouTubeにてゲーム系のチャンネルを複数運営。











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