住宅ローンを組むとき、多くの人が悩むのが「固定金利か、変動金利か」という選択です。金利上昇が意識される今、どちらを選ぶべきなのでしょうか。
本記事では、最新の金利動向を踏まえ、それぞれの特徴と選び方のポイントを整理します。

固定金利は上昇が続いている

住宅ローンの固定金利は、長期金利(特に新発10年物国債の利回り)の動きに連動して決まります。長期金利が上昇すれば住宅ローン固定金利も上がり、長期金利が低下すれば固定金利も低くなる仕組みです。

ここ数年の動きを見ると、長期金利は2023年~2024年にかけて1%前後で推移していましたが、その後、日本銀行の金融政策正常化や世界的な金利上昇の影響で上昇傾向が続いています。

2025年12月には10年物国債の利回りが2%台まで上昇し、多くの銀行でも固定金利を引き上げている状況です。2026年1月適用分の10年固定最優遇金利は、三菱UFJ銀行が前月比0.42ポイント上げて2.68%、三井住友銀行が0.3ポイント上げて2.65%、みずほ銀行が0.25ポイント上げて2.55%と、3メガバンクでそろって上昇しています。

これまで低水準の金利が続いていた全期間固定金利「フラット35」も、足元では金利上昇の影響を受け、やや高めの水準となっています。
変動金利は依然として低い水準

一方、住宅ローンの変動金利は、一般的に「短期プライムレート」に連動して決まります。短期プライムレートとは、金融機関が返済能力を高く評価する企業向けに、1年未満で融資する際に適用する最優遇金利のことです。また、短期プライムレートは日銀の政策金利に連動しています。

近年の短期プライムレートは、長年低水準だったものの、2024年以降の日銀のマイナス金利政策の解除や追加利上げを受け、上昇傾向が続いています。とはいえ住宅ローン変動金利は、固定金利と比べれば、依然として低く抑えられているのが実情です。
最新の変動金利は、メガバンク・ネット銀行・地方銀行で若干の差はありますが、0.7%~0.9%台が多くなっています。

政策金利は上がっているのに、変動金利は低いままの銀行が多いのは、銀行間の顧客獲得競争があるためです。特に1月~3月は、年間の中でも住宅ローンの利用が多い時期です。このタイミングで金利を上げ、利用者が減ってしまう事態は、銀行としても避けたいところでしょう。さらに、変動金利は固定金利より利用者が多い主力商品であることも、その判断に影響していると考えられます。

ただし、こうした変動金利も4月以降はゆるやかに上昇していくと見込まれます。それでもなお、固定金利と比べた場合の優位性は、これまでと大きくは変わらないと考えられるでしょう。
これから住宅ローンを組むならどちらがいいか

では、これから住宅ローンを組むなら、どちらの金利タイプを選ぶべきなのでしょうか。

近年の金利情勢では、変動金利の低さが際立ちつつも、金利上昇リスクをどう捉えるかが選び方のポイントです。変動金利は現在も低水準で、月々の返済負担を抑えられるメリットが大きいものの、将来的な金利上昇リスクがあることも事実です。

一方、固定金利は返済額が一定で家計管理しやすい反面、借入当初の金利は変動金利と比べて高めになっています。ただし、現在はやや落ち着いた状況にありますが、モノの値段が上がり続ける「インフレ」に対する懸念は依然として残っています。


この状況下で、住居費(住宅ローンの返済額)を固定しておけば、インフレに対する有効な対策になるでしょう。これまでの固定金利は、「安心感」がポイントでしたが、将来のリスクを回避する役割がより強くなると考えられます。

とはいっても、金利タイプの選択に、誰にでも当てはまる正解は存在しません。昨今の金利情勢も踏まえれば、それぞれの金利タイプは、以下のような人に向いているといえます。

<変動金利>

・今は支払いを抑えたい人
・借入額を増やして理想のマイホームを手に入れたい人
・金利が上がっても返済に困らない余裕のある人

<固定金利>

・将来の支出を確定させておきたい人
・将来的に返済額が増えると困る人
・金利の情勢に振り回されたくない人

金利タイプを選択するときに大切なのは、現状の金利の水準だけでなく、将来の見通しや家計の余裕、リスクへの向き合い方を踏まえて選ぶことです。自分たちのライフプランに合った金利タイプを冷静に見極めましょう。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ