日本人選手の活躍が話題になり、大盛り上がりのうちに閉幕したミラノ・コルティナ五輪。スキージャンプやフリースタイルスキー、スノーボードなどの競技ではドローンによる空撮が行われ、選手が躍動する様子を背後からとらえた迫力のある映像が話題を呼びました。


とはいえ、やはりメインは地上のフォトグラファーによる撮影です。猛吹雪で競技が中断するほどの過酷な環境で撮影に臨むこともありますが、彼らの活動を止めないよう下支えするカメラメーカーのプロサポート体制はどのようなものだったのか、話を聞きました。

代替品貸出よりも、使い慣れた自分の機材の修理を優先した

五輪をはじめとする主要なスポーツ競技イベントでプロサポートのブースを用意しているキヤノンは、今回も世界各国の優秀なサービススタッフをイタリアに集結させ、メンテナンスは預かりから2~3時間、軽微な修理は翌日中に終えるという体制を整えていました。

キヤノンの弥富義博氏は「交換用の機材を十分に用意し、調子が悪いという要望があれば即座に貸し出せる体制は整えました。ただ、キヤノンとしては、フォトグラファーのみなさんの“相棒”といえる自分の機材で大一番の撮影に挑んでもらいたいという思いがあり、コストをかけてでも修理を重視する方針としました」と語ります。

冬季五輪は夏季五輪と比べて参加する国と地域は半分以下しかなく、それに比例してフォトグラファーの数も少なくなります。ただ、今回のミラノ・コルティナ五輪が異例だったのは、「史上もっとも広域に分散した冬季五輪」とも評されるなど、競技会場が遠く離れた4会場に分散していたこと。そのため、キヤノンは4つすべての会場にサービス拠点を設置するなど力を入れたそうです。さらに、ミラノ近郊にあるキヤノンイタリアのサービスセンターとも連携し、重大な修理にも迅速に対応できる体制を構築したといいます。

マイナス15度の厳寒でも動いたEOS R1

5年前に開かれた東京五輪では、貸し出し用に用意した機材のミラーレス比率は20%ほどでしたが、今回のミラノ・コルティナ五輪ではほぼ100%に達したそう。夏季五輪と比べ、冬季五輪は選手の動きが素早いうえに複雑なので、AFや速写性能が進化したミラーレスが決定的瞬間をズバズバ切り取ってくれたことでしょう。

現地ブースで対応したキヤノンの針間浩彰氏は、やはりフラッグシップ「EOS R1」を評価する声が多かったといいます。
マイナス15度という極寒のなか、機材が雪に覆われた猛吹雪の状況でもしっかり動作したそう。メーカーの公式発表では、EOS R1の使用可能温度は0度からとしているので、スペック以上の底力を持つのはプロ向けのEOS-1シリーズならではといえます。雪が降りしきるなかでも選手にフォーカスを合わせ続けるAF性能や、スキントーンの忠実な再現性を評価する声もあったといいます。

今回のミラノ・コルティナ五輪でも、CPS会員(キヤノンプロフェッショナルサービス会員)に限らず、取材用のアクレディテーションパスを持つフォトグラファーであれば、キヤノンのプロサポートサービスを無償で提供したといいます。

3月に入るとパラリンピックが開幕し、選手の活躍をとらえるフォトグラファーが再び活躍します。カメラメーカーのサポート部隊も、彼らの仕事を支えるべく裏方で再び奮闘してくれるでしょう。
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