今回のテーマは、「女性にフラれて怒るおじさんの心理」です。女性にフラれたことで逆上してしまうおじさんの心理とはいかに。


では、さっそく解説します。

好意が敵意に転じるメカニズム

私は22歳から大阪・北新地のキャバクラに勤務し、同じく大阪・北新地のクラブ勤めを経て、現在は銀座のクラブにホステスとして勤務しています。男性をフッた経験が「1度もない」というホステスさんはたぶんかなり少数なんじゃないでしょうか。全ての男性の好意には応えられないので。

「振る方は辛くないんじゃないか」と言う男性もいらっしゃるでしょうけれど、そんなことはありません。「明日から気まずくならないか」「仕事を干されないか」「危害を加えられるんじゃないか」など、振る方にはそんな心配や不安が常に付きまといます。

37歳になった現在ならば、男性を傷つけずに「NO」をお伝えする術もいくらかは身についていますが、22歳やそこらの小娘にそんな小細工はできません。

24歳の頃、60代のお客様に「この後ホテルで」とお誘いいただいた際、それがあまりにも気持ち悪くて、おぞましくて、とっさに気の利いたことも言えず「えっと、それはママに怒られちゃうから」と遠まわしに「NO」をお伝えしたのですが、それがおじさんの癇に障ったらしく

「そんなことでこの仕事を続けていけると思うなよ」

と、怒られてしまいました。

今思えば、娘でもおかしくない年齢の女の子に逆上するおじさんって……、とあきれてしまうのですが、それにしてもおじさんたちが特定の女性に対して抱いていた好意を「敵意」に転じさせるあの現象って本当に不思議です。
クソリプおじさんが教えてくれたこと

特定の女性に対して抱いていた好意が敵意に転じるメカニズムについて考えていたある日、私のX(旧Twitter)の投稿に、「ヤス」と名乗る男性からリプライ(SNSやメールにおいて、他人の投稿やメッセージに対して返信する機能)がありました。

彼のメッセージは「あなたは孤独で虚しさを抱えた可哀想な女性です。あなたを癒したい。
僕で良ければ話を聞きます。僕は独身の男性です」といった趣旨のものでした。

ヤスと名乗る男性が「カウンセラー」として活動していること、60代前半であることなどが、彼のアカウントからわかりました。彼の本名や顔写真、勤務先もプロフィールとして公開されていました。

これに「きも」と返信したところ、おじさんの態度は急変。

「勘違いするなよ! 社会のゴミ! お前は無価値」
「お前みたいなブスに需要はない!」
「誰もお前の手料理なんか食べたくない」
「売れ残りのブスババア」

この他にも、ここでは伏字にしなくてはならないような下品な言葉、差別的な言葉などが彼から連日送られるようになりました。いわゆる「クソリプおじさん」というやつです。「癒したい」とつづっていることから、恋心とまでは呼べなくとも、私に対する「好意」はあったはず。

この出来事から、「特定の女性に対して抱いていた好意が敵意に転じるメカニズム」ついて少しわかった気がします。
女性は否応なしに男性の好意を受け入れるべき存在であるという誤解

「特定の女性に対して抱いていた好意が敵意に転じるメカニズム」のベースには、女性=格下の存在であり、否応なしに男性の好意を受け入れるべきなのである、という誤解があるように思います。

ましてや相手は飲み屋の女(私)です。おじさんは、自分を受け入れて当然であるはずの格下の存在に、自身の「好意」を否定され、逆上しているのではないでしょうか。
いわば、癇癪を起こしているというか、思い通りに動くと思っていたオモチャが、全然自分の言うことを聞かない、そんな状況にショックを受けているのだと思います。

オレ様がわざわざ可哀想な女に「癒し」を与えてあげようとしているのに、それを拒絶するとは何事か! ということなのでしょう。
自分の好意を受け入れない女=罰するべき存在であるという誤解

そしておじさんの誤解は「自分の好意を受け入れない女=罰を受けるべき存在である」といった確信めいたものに発展します。

このオレ様の好意を受け入れないとは何事だ! ということです。そして、その結果「ブスババア」と言い捨てたり、最悪の場合だと刃物を持ち出し……、なんてことになるのでしょうね。

このようなおじさんが後を絶たないので、やっぱり振る方は命がけです。
思い通りにならないのが恋愛

他者に自身の好意を受け入れてもらうには、まずは太っているなら痩せるとか、肌が荒れているなら美容皮膚科に通うだとか、収入が少ないなら転職するなり、資格をとるなりするとか、そういった「人並み」の努力はしなくてはなりません。

そのような努力を一切せずに、相手に一方的に自分の「好意」を受け入れることを強要してはいけません。ましてや、それを否定された途端に被害者のポジションをとり、相手を攻撃するなどもってのほか。

そしてここで絶対に忘れてほしくないのは「努力は必ず報われるものではない」ということ。相手はあなたの望む通りの反応をしてくれる「オモチャ」ではありません。人間であることを忘れないでください。


思い通りにならないのが恋愛ですし、それが人を愛することの醍醐味でもあります。
フラれて怒るおじさんへ

今回は、「女性にフラれて怒るおじさんの心理」について解説しました。

ナンパ男性を無視した女の子が「ブス!」と言い捨てられた、なんていうお話もよく目にしますが、「お姉さんかわいいね~」が「ブス!」に転じるメカニズムも、おそらく「特定の女性に対して抱いていた好意が敵意に転じるメカニズム」と同じものでしょうね。

この場合の「ブス!」にも、女性は否応なしに男性の好意を受け入れるべき存在であり、女性は男性の期待通りの反応を示すべきであるという誤解が根底にあるように思います。

少しでも「女性にフラれて怒るおじさん」が減ってくれますように。

みずえちゃん みずえちゃん 1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務しながら、大阪北新地でキャバ嬢デビュー。現在は銀座のクラブに勤めるかたわら、フリーランスのライターとして活動している。 この著者の記事一覧はこちら
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