米Uber Technologiesがアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで、中国の大手テクノロジー企業のBaidu(百度)とパートナーシップを組み、自動運転タクシー(ロボタクシー)を使った新しいライドシェアサービスを始めようとしています。
筆者は2月下旬にUberが開催したプレスツアーに参加して、同社が主体となってロボタクシーの点検整備を行うデポ(車両基地)を訪問しました(※注:本プレスツアーは2026年2月末に開始された中東地域における一連の紛争より前に実施されたものです)。
中国テック大手のBaiduがUberとロボタクシーを始める
今年の2月10日に、UberとBaiduはドバイ道路交通局(RTA)の協力を得て、ロボタクシーのサービスをドバイで始めると伝えています。世界最大級の配車サービスのプラットフォームであるUberと、自動運転技術を開発するBaiduの戦略的パートナーシップが、さらに前進した格好です。
当初は2026年3月または4月頃のサービス開始を予定していましたが、昨今の国際情勢を踏まえ、現在は利用者および運営チームの安全を最優先とすることで開始時期を慎重に再検討しているようです。
プレスツアーでUberの担当者に、Baiduとの連携によるロボタクシーサービスのフレームワークを聞くことができました。
ドバイに導入を予定するUberのロボタクシーサービスは、当初は利用者が多く見込まれるリゾートエリアのジュメイラ地区の一部エリアを走る予定です。
Uberは2010年に米国サンフランシスコで配車サービスを立ち上げた後、ドバイには2013年に進出して、以降現在までライドシェアベースの配車サービスを展開しています。
今回手を組むパートナーのBaiduは検索エンジン事業を出発点として急成長し、中国国内に強力なインターネット基盤を築いたテクノロジー企業です。
2022年には無人運転のロボタクシーを中心とする配車サービス「Apollo Go」を中国で立ち上げました。2025年10月31日時点、Apollo Goの配車サービスによる累計走行距離が2億4,000万キロメートルを超え、そのうち1億4,000万キロメートル以上はドライバーレスの完全自動運転モードで走行した実績を打ち立てています。短い期間に、ロボタクシーに関わる多くのデータを獲得してきたパワフルな企業です。
今後は世界の各都市にApollo Goのサービスを広げる計画も発表されており、ロンドンやスイスなど欧州でも試験走行をスタートしています。
ドバイ政府の自動運転普及計画と完全連携
両社によるグローバルパートナーシップは互いの強みを生かしながら補完関係を築き、事業の拡大を図る狙いがあります。
Uberは自社でハードウェアとしての自動運転車両を開発していません。一方、Baiduはロボタクシーの開発において実績を積み重ねてきましたが、「人間のドライバー」によるライドシェアサービスの運営経験は限定的です。
さらに、Uberが培ってきた運営ノウハウに触れ、グローバルな配車ブランドとしてのUberの知名度と信頼性を活用できることもまた、Baiduにとって大きなメリットになります。こうした相互補完の関係が成立したことが、両社のパートナーシップを後押ししたと考えられます。
両社によるプロジェクトはドバイ道路交通局(RTA)との協力のもとで進められてきました。「2030年までに交通移動の25%を自動運転にする」というドバイ政府が掲げる目標も大きな一歩を踏み出すことになります。
なお、Uberはモビリティサービスを提供するアプリとして、2026年2月現在、世界70カ国以上、15,000以上の都市で利用されています。日本国内においても全47都道府県でアプリを通じたタクシー配車サービス「Uber Taxi」を展開しています。
人気のフードデリバリーサービス「Uber Eats」と同じアカウントでUber Taxiが利用できるため、実はUberによる配車サービスを一度は使ったことがあるという方が、日本国内にも少なくないかもしれません。
ドバイで提供される実際のサービスはUberアプリをベースとしています。Uberアプリを開くと、スタンダードな価格帯の「UberX」やハイクラスの「Uber Comfort」など、人間のドライバーによる配車サービスのオプションが並び、それぞれの乗車価格と目的地に到着するまでにかかる時間などが表示されます。
これからはユーザーが選択できるオプションの中に「自動運転(Autonomous)」が加わり、選択するとBaiduのロボタクシーがマッチングされるという仕組みです。
車両の管理・運営はUberが行います。こちらの業務については、ドバイ現地のサードパーティ・オペレーターであるNew HorizonがUberとパートナーシップを組んで主体的に行います。
ロボタクシーは専用設計のスマートな車両
プレスツアーではBaiduがドバイに開設した新しい拠点である「Baidu Apollo Park」を訪問しました。敷地の中には2階建ての大規模なウェアハウスが立ち並んでいました。オープンしてまだ数カ月という新しい施設です。ここで車両の充電や点検・整備、あるいはネットワークにつながるロボタクシーの運行管理などを行います。
ドバイの街には、Baiduが外部の車両パートナーとプラットフォームを共同開発した、レベル4の完全自動運転に対応するロボタクシー「RT6」が走ります。白地にグリーンとグレーがベースの2色のバリエーションがあり、ドバイには2色のロボタクシーが投入されるそうです。
RT6の車両は、ソリッドステートタイプのLiDARセンサーのユニット部分を車体に統合して、張り出しを極力目立たせないデザインとしたところが特徴的でした。
RT6は車体にセンサーを“後付け”した改造車両ではなく、1から設計を起こす段階でセンサーを一体化したシームレスなデザインにすることを目指した「専用設計の車両」であることから、他社の車両に見られるような大きな突起(バンプ)を少なく抑えているそうです。
車内は前後2座席ずつのレイアウトになっており、運転座席のハンドルが取り外せます。車両が走る各地域の規制当局から認可が得られれば、ハンドルを取り外して運行することもできるように設計されているといいます。
Baiduは中国やUAEのような左ハンドルの地域だけでなく、英国など右ハンドルの地域にも進出しています。左右のハンドル圏でサービスを展開して、今後得られるデータを蓄積できることも独自の強みとして強調しています。
ドバイではサービス開始当初、Uberアプリ上で20~30台のロボタクシーを投入する予定です。
道路封鎖などの突発的な状況に直面した際、5Gネットワークを経由してクラウドからロボタクシーの車両に遠隔指示を出すリモート・アシスタンス機能も備えています。このシステムはドバイ道路交通局とも連携しており、当局による監視体制も整っているそうです。
Baidu Apollo Parkには登録されているロボタクシーの全車両を一元管理できるコントロールルームがあります。大型のモニターには各車両の現在位置、走行速度にバッテリー残量などのコンディションがリアルタイムに表示され、管制官がこれを把握しながら安全で円滑なサービス運用を支えます。
成功モデルを世界に広げる
Baiduにもまた、自動運転サービス「Apollo Go」を商用展開する中で蓄積してきた多くの知見があります。ドバイでUberと協業する今回の取り組みでは最新の自動運転車両を提供するとともに、都市の生活者にとって使いやすく効率的なモビリティサービスへと磨き上げていく考えです。
日本でも都市部の交通渋滞やタクシー運転手不足は深刻な社会課題となっています。こうした課題への対応策のひとつとして、国土交通省が策定する「第3次交通政策基本計画」では、2030年度(令和12年度)までに自動運転サービス車両を全国で1万台規模に拡大する目標が掲げられています。また政府はデジタル技術を活用したモビリティのDXを進めるため、デジタル庁も関与する形で同分野のロードマップや政策戦略の取りまとめを進めています。
ドバイでUberとBaiduが共同で開始するロボタクシーは、日本の交通課題を解決するうえでも実用的なモデルケースにもなり得ると思います。サービスが無事に立ち上がることを心から願っています。
著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら











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