2026年3月3~6の4日間にわたり、東京ビッグサイトで第42回流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN 2026」が開催されている。流通業や小売業向けの最新技術・システムが多数出展される国内最大級の展示会だ。


近年の流通・小売・卸売業界や飲食業界では、人手不足の深刻化はもちろん、物流関連の法改正を受けた対応、AI・データ・最新デジタル技術の活用、そして消費者の行動変化など、多くの課題が山積している。日本の流通・小売業界が抱える悩みを解決に導きそうなサービスを同展で探ってきた。

深刻化が著しいリテール物流にフォーカス

リテールテックJAPANの広大な会場は、活用シーンに応じて「トータル情報システム」「決済・キャッシュレス」「リテールメディア・店頭販促」「AI・データ活用」「EC・デジタルマーケティング」「流通HR」「業種別ITソリューション」の7つに、「【特別企画展】リテール物流」を加えた計8つのゾーンで構成されている。

各ゾーンの詳細は以下の通り。

物流の2024年問題とは

ここ1~2年で日本の物流業界を取り巻く環境は一変した。よく知られているものの代表例として「物流の2024年問題」があげられる。これは働き方改革関連法がドライバーにも適用され、稼働可能なドライバーおよび運搬できる荷物が減少してしまう問題をさす。

また、物流関連二法(物流効率化法、貨物自動車運送事業法)の改正で、物流をめぐる環境がより厳しくなると想定されるのが「2025年問題」である。実際、ある民間シンクタンクは2030年には輸送力が34%不足するとの試算をしている。これらの問題の大きな背景として、日本の少子高齢化・労働人口減少という避けられない課題が存在することは言うまでもない。

今回のリテールテックJAPANでは、物流の問題は運送事業者だけでなく小売、卸売、そしてメーカーも力を合わせて取り組むべきだとして、特別企画展としてこのテーマにアプローチするゾーンを用意したわけだ。
物流クライシス対策の選択肢としてのUber Eats

この2024/2025年問題や国際情勢/地政学的な影響もあり、リテール物流においても配達が大きな課題となっている。
中でも注目される「ラストワンマイル」について、有力なソリューションの一つと考えられるのが、Uber Eats Japanが展開するデリバリーサービスである。

Uber Eatsは飲食店からの配達だけでなく、コンビニ、スーパーマーケット、ドラッグストア、リカーストア、百貨店、家電量販店、さらには花やベビー用品、ペット用品といったさまざまな商品を、注文後30分程度での即配を実現する。

注文はUber Eatsのアプリから受ける形で、小売店側が集品から売掛処理、袋詰めまで行って配達パートナーに引き渡す従来型デリバリーモデル(マーチャント・ピック・ペイ、MPP)に加え、2024年に始めた「ピック・パック・ペイ」(PPP)という新たなデリバリーモデルも利用できる。こちらは、注文の通知を直接受けた配達パートナーが店舗に出向いて集品、支払い、袋詰めを行い、注文者に届けるというもの。店舗側にはとくに手間がかからないのが大きな特徴と言える。

Uber Eatsに加えて、Uber Directというサービスも利用可能だ。2022年に日本でスタートしたUber Directは、Uber Eatsのアプリではなく各ブランドの自社サイトなどから注文を受け、配達のみをUberの配達員が担うもの。重量物配送、往復配送、ロッカーピックアップなど多彩なオプションがあることに加え、配送用に四輪車両が用意されているのも注目だ。利用側としては注文者から自社ブランドそのままに注文を受けながら、全国約12万人のUber配達パートナーを固定費なしでラストワンマイルに利活用できるのが大きなポイントと言える。

リテールテックJAPANでは、ブースでPPPモデルのメリットやUber Eatsを利用する企業一覧、Uber Direct利用におけるAPI・ダッシュボードという2つのツールなどについて展示。併せて一日3回のプレゼンテーションを実施し、Uber Eatsを利用する大手企業のインタビューを紹介していた。
リテールテクノロジーやAI・データ活用ソリューションにも注目

ここからは、リテールテックJAPANのその他のゾーンからも出展をいくつか紹介しよう。


「トータル情報システム」にブースを構えたリテールテクノロジー企業のソルムは、SIerのBIPROGYと共同で主に小売業向けのソリューションを出展。電子棚札(ESL)によってPOSや在庫管理、モバイルアプリなどが連動する統合エコシステムを大きく打ち出し、AIによる人流分析と顧客接点最適化、CX・コミュニケーションやマーケティング、店舗運営、日本の商習慣に合わせた通販向けプラットフォームなど多彩なソリューションを紹介していた。

同じく「トータル情報システム」にブースを出す発注ナビは、ITシステム導入に向けてベンダーや開発会社選びで悩む企業に、老舗からスタートアップまで8,000社の提携先から、導入側企業の課題感やニーズに応じてマッチングを行う企業だ。どういったベンダー・SIerを選べばいいのか見当がつかないとき頼りになるサービスと言える。

「AI・データ活用」に出展したクラウドカメラ事業のセーフィーは、店舗、倉庫などの映像をクラウドに上げ、遠隔地からその映像をチェックできるサービスを展開。例えば、レジに並んだ人をAIで検知してレジ担当人数の最適化に活かしたり、入店数と通行量を分析してマーケティングに役立てたり、といったことができるソリューションである。店内をゾーン分けし、各ゾーンの滞留人数から売りたい商品の置く位置を分析するといった使い方をしている企業もあるとのことだ。

最後に、こちらも「AI・データ活用」のゾーンから、東京大学発のAIスタートアップ・infonervを紹介しよう。同社が出展していたのは、入荷や出荷、在庫などのデータを入力すると、その日と過去のデータを参照して仕入れ先ごとに発注リストを自動作成する自動発注AIだ。初期コストを抑えながら最適な発注を自動的に行えるようになり、発注業務に関する工数を大きく削減できるほか、属人化していた発注量をデータに基づき決定できるようになるのがポイントと言える。

リテールテックJAPANで紹介された最新リテールテクノロジーソリューションの数々が、これからの流通・小売・卸売や外食産業などの多様な課題解決に寄与していくことを期待する。
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