「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。
お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。
第175回コラムでは、「自分で行き先を決めずに、鉄道会社のキャンペーンによって行き先を決めてもらい、移住の足掛かりにする」ということをお伝えしました。今回は、期間限定で行っている鉄道会社の格安乗車券販売を使って、「戦略的な下見の進め方」をお伝えしたいと思います。
○1.まずは、支援センターへ
地方に行くまえに、まず立ち寄って活用していただきたい場所があります。それは、「ふるさと回帰支援センター」です。ガイドブックを片手に地方に行くと、どうしても名所や美味しいお店ばかりに目がいってしまいます。しかし、移住に大切なのは、「スーパーの品ぞろえ」、「夜の街灯の明るさ」、「交通手段(公共交通の網羅性や自動車への依存度など)」といった、地味でリアルな生活感です。
このセンターには、44都道府県1政令市のブースに専属相談員が常駐し、移住相談を受け付けています。「住みたい地域が具体的に決まっているわけではないし、何を相談すればいいのかわからない」という状態でも大丈夫です。「はじめて相談」というものがあります。質問シートを使って、相談員さんが丁寧に話を聞いてくれますので、そこから自分がしたかった「地方暮らし」が鮮明になり、想像もしていなかった「興味のある地域」との出会いがあるかもしれません。
相談に関しては、予約なしでも相談することは可能ですが、週末は混雑することもあり、事前に予約することをお勧めします。
当該センターで相談し、あらかじめ現地の情報を仕入れておくことで、下見の際の視点が「旅行」から「内見」に変わります。地方に行く日程が決まったときは、当該センターの相談員さんに、地方(現地)での行政機関の担当者や移住コンシェルジュと会う約束をセッティングしてもらえるか、聞いてみるのもよいでしょう。
○2.「鉄道パス」は、移住を後押ししてくれる
移住先候補が1つに絞られるとは限りません。「東北もいいし、九州も捨てがたい」、「岡山県や山口県はどうだろう」などと、迷うのも楽しいですね。そんな時、交通費を大幅に抑えてくれる鉄道各社の「格安パス」は、地方移住の1歩としてフットワークを軽くしてくれるでしょう。現在、各鉄道会社から出されている魅力的なサービスをいくつかご紹介します。
【1】JR東日本「旅せよ平日! キュン パス」
「平日に休みが取れるなら、使わないともったいない」と言い切れるほどお得なのが、このパスです。
<特徴>
1万円(1日間)または1万8,000円(連続する2日間)で、JR東日本全線が乗り放題。新幹線の自由席はもちろん、指定席も回数限定で利用可能です。例えば、東京から青森や秋田まで新幹線を使い、浮いた交通費で、現地のレンタカーを借りたり、地元の人たちが集まる居酒屋で食事をしながら「生の声」を聞いたりする予算に回せます。
○JR西日本「QR2dayパス」
大阪から西日本エリア(関西圏中心)を深掘りしたい方におすすめです。
<特徴>
4,000円(こども2,000円)で関西エリアのJR線が連続する2日間乗り放題になるデジタルチケットです。
例えば、 兵庫の北摂エリア、滋賀の湖東エリアなど、「大阪から通勤圏内、あるいは週末だけ通える地方」を探すのに最適です。2日間あるので、1日目は昼と夜の雰囲気を、2日目はその地域が朝、動き出す様子をじっくり確認できます。
○3.現地で「行政機関の移住相談窓口」で相談するメリット
「まだ検討段階なのに、役場の人に会うなんて大げさじゃない?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことがありません。むしろ、検討段階だからこそ、行く価値があると思います。
例えば、市町村のホームページには記載されていない「今後実施される予定の新しい補助金」や「空き家バンクの最新情報」を聞くことができるかもしれません。
また、ふるさと回帰支援センターでの相談員さん、または、現地の行政機関の相談窓口での紹介により、先輩移住者の方にお会いすることができれば、都心から移住してきた人がどんなことに苦労し、どんなことに喜びや幸せを感じているのか、本音で聞けたら、なによりの判断材料になります。
○終わりに
まずは、ふるさと回帰支援センターで、あなたの想いを言葉にしてみてください。そして、お得な鉄道パスを手に、軽やかに「下見の旅」へ出かけてみてはいかがでしょうか。
高鷲佐織 たかわしさおり ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。 資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。











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