2026年3月3日に発売された『将棋世界2026年4月号』(発行=日本将棋連盟、販売=マイナビ出版)は、山崎隆之九段解説による第51期棋王戦五番勝負の観戦記「貫き通したテーマ」を収録しています。本稿では当記事より、一部を抜粋してお送りします。
○増田康宏八段先勝!第51期棋王戦五番勝負を振り返る
●藤井聡太棋王に増田康宏八段が挑戦する棋王戦五番勝負の第1局の解説を、現地大盤解説を務めた山崎隆之九段にお願いします。まず増田八段の最近の将棋にどのような印象をお持ちですか?
洗練された攻撃を繰り出す棋風ですが、最近は積極性が加わって進化されているように映ります。あまり指してこなかった相掛かりを用いられているように、採用する戦法にも変化が見られます。増田八段はトップ棋士の1人ですが、棋力を上げようといろいろなことに挑戦している印象があります。
●待ち構える藤井棋王ですが、棋王戦と並行している王将戦七番勝負は1勝2敗で永瀬拓矢九段に先行されています。最近の藤井将棋の印象はいかがですか。
伊藤匠叡王や永瀬九段との対局が多いですが、他の棋士にも対応しなければいけません。藤井棋王と戦う全棋士が、周到に用意した作戦をぶつけています。いままで以上に序盤戦に神経を使われているので、ストレスはかなりあるのではないかと推測します。それでも相変わらず高勝率を誇っているのは見事です。
●増田八段は昨年に続いて挑戦権を獲得しました。昨年は藤井棋王が3連勝で防衛しましたが、今期の見どころは?
連続挑戦は実力がないとできません。
●開幕戦は愛媛県松山市で行われました。前日の検分の様子はいかがでしたか?
対局場の『ふなや』は1627年の創業で、道後温泉で最も歴史がある旅館です。対局室がものすごく広くて立派でしたね。また本局の立会人は井上慶太九段でした。井上九段は長らく日本将棋連盟の理事を務めていたので、立会人は久しぶり。私も井上九段の和服姿をしばらくぶりに拝見しました。検分は基本的に滞りなく行われて、部屋の明るさを微調整したぐらいです。
●前夜祭の雰囲気はいかがでしたか?
第1局が愛媛県の開催になったのは、愛媛新聞が創刊150周年の記念事業だそうです。棋王戦の誘致にものすごく力を入れていただきました。愛媛新聞の棋王戦特集がすごくて、対局日の何日も前から記事を出していただいているんです。両対局者と、愛媛県出身で大盤解説会の聞き手を務められた山根ことみ女流三段、それからやはり愛媛出身で私の師匠の森信雄七段の取材はわかるのですが、私なんかも取り上げていただいたんです。そのおかげもあって、前夜祭は満員でした。私もファンの方とたくさん触れ合うことができたのでうれしかったです。100人以上の方とお話をした気がしますね。
増田八段の趣向
●開幕戦は振り駒で、藤井棋王が先手番になりました。山崎九段は一昨年に棋聖戦五番勝負に出場されて藤井棋王と対戦されましたが、開幕戦の先後についての希望はありましたか?
五番勝負は七番勝負に比べて対局数が少ないので、できれば先に先手番を引きたかったですね。増田八段は洗練された攻め将棋で、先攻する展開になると特に力を発揮します。1手先に指せる先手が欲しかったのではと想像します。
●戦型は相掛かりになりました。序盤のポイントはどこにありましたか?
6手目に☖7二銀と上がったことで、増田八段が角換わりを避けて力戦調の相掛かりに誘導した格好になりました。早めに☖1四歩と突いてから☖7四歩としたのが珍しく、増田八段の趣向です。普通は☖1四歩と突くのなら☖6四歩ですし、☖7四歩と突くのであれば☖1四歩とはせず、7四の歩を取らせる組み立てにすることが多い。藤井棋王の経験が少なそうな形で主導権を取りにいこうとしています。主導権の重要性については前日の取材などでも増田八段は強調していましたし、今シリーズの大きなテーマにされているのだとわかりました。
(中略)
○増田八段が先勝
●印象に残った局面はどこですか?
いろいろありますが、やはり増田八段が指した☖3五同飛でしょうか。わずか1分での着手ですからね。☖3三飛と引ける選択肢もあるのに、飛車を切ってしまったら☗7三歩成が回る前に藤井棋王の玉を寄せきらないといけない。自分で時限爆弾を設置しているようなものですから。読みきったわけではないけれど、自分を信じて直感で指したところが見事でした。終盤に時間を残すという今期のテーマを貫かれたのがよかったと思います。
●これで増田八段は対藤井棋王戦の連敗を9で止めました。後手番で先勝されたことも大きいと思うのですが、第2局以降の見どころは?
増田八段は、自分が前期より一段と強くなったという確信を持たれたのではないでしょうか。自信を深められた勝ち方だったと思います。藤井棋王は、増田八段に序盤から趣向を見せられてペースを乱されて攻め込まれたように見えました。今度は自分から積極的に動くのかどうかも見どころだと思います。挑戦者の増田八段が先勝したことで本当に面白くなりましたね。次戦以降が楽しみです。
○『将棋世界2026年4月号』、絶賛発売中!!
ほかにも、
・第84期 順位戦ラス前注目局レポート
・尾上与一による将棋小説「春、ラバータイルで君を待つ(後編)」
・塚田泰明九段による特選自戦記「「45年目の風景」
といった記事もあり、指す将・観る将はもちろん、全ての将棋ファンの方々に楽しんでいただける一冊になっています!
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