別所哲也さんが“一人二役”で、上司と部下を演じ分ける。……そんな驚きの音声CMが公開されているのをご存知だろうか。


NTT西日本は3月16日より音声技術「VOICENCE(ヴォイセンス)」を活用し、俳優・別所哲也さんの声を“AI”で再現した音声CMの配信を開始。現在、各種音声配信サービスで展開されている。

しかし、なぜ本物ではなく、AIの別所哲也さんなのか。今回はその背景と狙いについて、NTT西日本・広報室 宣伝担当の上村咲子さん・森口惠介さんと、VOICENCEカンパニー CMO/CROの大西祐佳さんに話を聞いた。

○「VOICENCE」が目指す新たな価値

今回のCM制作の軸を担っているのが、NTT西日本が展開する「VOICENCE」という技術だ。

「VOICENCE」は「Voice(声)」「License(権利)」「Essence(本質)」をかけ合わせた造語で、NTT人間情報研究所の音声処理技術を活用した音声コンテンツプロデュース事業。テキストを入力するだけで、実演家(IP)の方の声色を保ったままAI音声合成や多言語変換を行うことができる。

「AI音声コンテンツが実演家のみなさんから許諾を得た『公認AI』であることの真正性証明データを付与し、無断生成AIコンテンツの区別可能な『トラスト技術』で権利を守り、安心してご活用いただけます。また、本人の声色や口調を再現できる『Few-Shot合成音声』と、細やかに調整可能な『音声印象制御』による品質の高さも特徴です」(大西さん)

本CMは、NTT西日本が通信分野にとどまらず多様な事業に取り組んでいる姿勢をステークホルダーに伝える取り組みの一環として、VOICENCEの最新技術を活用して制作されたものだという。

音声CMシリーズ「知っている2人」は、仕事の移動中などの何気ないひとコマを切り取った短編ストーリーだ。ときにムキになりながら、互いに雑学を披露し合う上司と部下。そんな2人の掛け合いを、どちらも「AIの別所哲也」が演じている。


別所哲也さんの声をAIで再現するにあたり、大西さんは「声の特徴を生かしながら、若く軽やかな部下と、どっしりとしつつ可愛らしさのある部長という、それぞれのキャラクターに合わせたトーンづくりに挑戦しました」と語る。

上村さんは「2人の掛け合いを通じて、私たちが新たな挑戦が伝わればうれしいです」と話した。

NTT西日本は現在、通信インフラの提供だけでなく、地域の課題解決や新たな価値創出など、さまざまな分野に事業を広げている。しかし、世間的にはいまだに「通信会社」のイメージが強く、事業の広がりが伝わっていないという課題があった。

今回のCMでは、別所哲也さんの声を新たに収録することなく、AIで再現。上村さんは「一人二役の会話劇を通じて、私たちが取り組む多様な事業や社会課題への挑戦を身近に感じていただきたいと思っています」と話す。

○X連動キャンペーンで「上司に言われたらうれしい言葉」募集

広告配信に合わせ、NTT西日本公式Xでは参加型企画「上司に言われたいひとこと」キャンペーンも実施中。ユーザーから「上司に言われたらうれしい言葉」を募集し、選ばれたセリフを別所哲也さんのAI音声で実際に読み上げるというものだ。

「X連動企画を通じて、より多くの方に本企画へ参加いただき、NTT西日本が取り組む最先端技術や新たな挑戦に触れてもらいたいと考えています。CMと連動させることで、メッセージの理解を深めるとともに、企業としての先進性や挑戦する姿勢への共感を喚起し、NTT西日本のブランドイメージ向上につなげていきたいですね」(森口さん)

応募期間は3月19日まで。NTT西日本公式X(@NTTWestOfficial)をフォローし、対象のポストにリプライ、もしくは引用ポストで「上司に言われたいひとこと」を投稿することで参加できる。

今回の音声CMの配信期間は3月26日頃まで。
特設サイトではCM本編のほか、AI音声の制作過程や別所哲也さんのインタビュー映像も公開されている。AIによる音声表現が、企業コミュニケーションの現場でどのように活用されていくのか。その一例としても注目を集めそうだ。

猿川佑 さるかわゆう この著者の記事一覧はこちら
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