JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)は3月27日、都内で「たすけあいstory コレクション」の認定式を開催。全国から選出した認定者9名を表彰した。


○たすけあいstoryとは?

JA共済連では、昨年(2025年)5月20日から10月31日にかけて「たすけあいstory 募集キャンペーン」として、心温まる「たすけあい」エピソードを募集。その結果、全国から5,090件ものエピソードが寄せられた。その中から「たすけあいを自分ごととして感じられ、実践したくなる」「時代、世代を超えてたすけあいの価値が伝わる」という観点に合致する11の物語を「たすけあいstory コレクション」に選定している。

なぜ、このタイミングでJA共済連は「たすけあいstory」を募集したのだろうか? 代表理事理事長を務める村山美彦氏は、以下のように説明する。

「私たちは創立以来、相互扶助(たすけあい)の精神を大切にしてきました。たすけあいは未来に継承すべき大切な精神であり、JA共済事業の根幹をなすものです。昨年は国連が定める『国際協同組合年』であり、さらに今年はJA共済連創立75周年を迎えました。この記念すべき年に、人と人とのたすけあいの必要性、大切さを広く伝えることで、より良い社会の実現を目指せるのでは、と考えました」

認定式では、選考委員から認定者に「認定証」と、心温まるエピソードを集めた「たすけあいstoryセレクトブック」が授与された。

「たすけあいstory コレクション」の内容は、バラエティに富んだものとなった。双子の育児で悩んでいたときに同じ団地の年配女性が助けてくれたこと、台風一過の住宅街で復旧活動を行ったことでご近所との距離が縮まったこと、旅行先のギリシャで野犬に噛みつかれたときに土地の人が助けてくれたこと、被災地の避難所に全国から絵本が届いて子どもたちの心にも変化が訪れたことなどが、それぞれの視点で綴られている。

選考委員による総評は、以下の通り。日本協同組合連携機構の比嘉政浩氏は、世界には「国際協同組合同盟」という組織があり100か国以上が加盟していること、そこに関わる人の数は10億人を超えることを紹介する。
「協同組合には一定の普遍性があります。特定の宗教、民族、政治体制に依らず、たとえば中国、ロシア、イスラエルにも協同組合があります。これは、人が力を合わせようという気持ちは普遍的である、ということを表しているように感じます」。紛争、戦争、人の分断で気持ちの暗くなることが多いご時世にあるが、人は人を助ける気持ちを持ち続けている、人を信じるものだという原点に立ち返りたい、と比嘉氏。

エフエム東京の宮野潤一氏は、ラジオで「たすけあいstory」のエピソードを放送していて気付いたことがある、と切り出す。「それは、助け合いの現場にいた人、助けられた人は『こんなことがあったよ』と周りの人に自慢したくなる、ということです」。ふとした瞬間の助け合い、それによる喜びを周囲に伝えていく――。ラジオを通して、そんなムーブメントに少しでも貢献できたのではないか、と宮野氏。「声のバトンにより、温かい気持ちになるエピソードが広がりました。てらいもなく人と助け合う世の中、これからもそんな社会を目指せていけたら。今回は、素晴らしい機会をご一緒させていただきました」。

作家、エッセイストの岸田奈美氏は「文章を書くときは感情的になるな、とよく言われます。
でも人の感情を動かすものは感情しかないと思うんです。社会が~、日本が~、という大きな主語で語るお話ではなく、日常の些細なことを、ちっちゃな存在の『私』が語る話、なんでか分かんないけど誰かに伝えたい衝動に突き動かされた話には、感情がこもっている。だから、胸を打つものがあるんです」。選考過程で、寄せられたエピソードに感動をもらい続けました、と振り返る。

エッセイストの犬山紙子氏は、20歳から母親の介護を続けてきた自身の経験を語る。「はじめは『私が責任をもって介護するんだ』という思いで、周りにも頼らずにやっていたんですが、ある日、私が爆発してしまいまして(笑)。そこからヘルパーさん、身近な人、たくさんの人に支えてもらいました。そのおかげで『母のことが大好きだ』って思いながら、実に14年間も介護を続けることができました」。たすけあいstoryに集まったエピソードは、自分が過去に周囲に助けてもらった思い出の数々をポッと照らし出してくれるようだった、と犬山氏。「人に助けてもらうと、心の中に小さくて温かな火種ができます。そしてあるとき、誰かを助けなきゃというタイミングで火が大きく灯って、周りにも連鎖していくものだと思うんです。皆さんのエピソードにはたくさんの力をもらい、感動させてもらいました」。


近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら
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