日々の移動をこなす「生活の足」として、何に乗るのか。バイクはちょっと運転が不安だし、軽自動車までは必要ない……。
そんな人に選択肢のひとつとしてお知らせしたいのが、「EV三輪車」という乗り物だ。

今回は神奈川県伊勢原市にある電動トライクメーカーのバブルを訪れ、同社の「ビベルトライク COCO」に試乗してきた。

EVトライクは売れている?

EV三輪車(トライク)は普通自動車免許で運転可能。バイクとクルマの中間に位置するモビリティだといえる。三輪構造のため、停車時などに転倒するリスクはほぼ皆無。バイクよりも運転の心理的ハードルが低く、車両サイズは軽自動車よりもコンパクトで取り回しがしやすい乗り物だ。

バブルは2006年にバイクショップとして創業し、2024年4月にEVトライク「ビベルトライク」の販売をスタートした。現在は「ビベルトライク」「ビベルトライク COCO」「ビベル トラック」の3モデルを展開。シリーズ累計販売台数は300台を超えているという。代表取締役の鈴木俊介さんによれば、「直近の販売台数は月間30台以上で推移している」とのこと。EVトライク市場は確実に伸びているようだ。

ビベルトライクシリーズを取り扱う販売代理店は現在、北海道を除く全国18店舗に増加。
エリアによる販売傾向にあまり大きな違いは見られないが、東京での販売はやや苦戦しているという。理由は「充電と駐車スペースですね。マンションに住んでいると充電が難しいですし、マンションの駐車場を契約する際、クルマと同じ料金だったら割に合わないと感じてしまうのでは」(鈴木さん)と分析していた。
ビベルトライクの特徴は?

バブルが取り扱う3モデルの中で、「ビベルトライク COCO」は乗りやすさ重視の1台だ。立ち位置としては「ビベルトライク」の上位モデルに当たる。

「ビベルトライク」と比べて車両サイズは一回り大きく、室内空間も広い。丸みを帯びた可愛らしいルックスで、全7種のカラーバリエーションにはツートンカラーも設定。女性からのオーダーが多いことも特徴となっている。

充実装備も見逃せないポイントだ。

フロント両サイドにはスマホや財布を入れるのに便利な大きめの小物入れ、センターにはUSB PD充電器、運転席横にはドリンクホルダーを完備。後部座席には2人分の2点式シートベルトを用意するなど、安全面にも抜かりはない。

走行性能は最高時速50km/h、最大航続距離約120km。
充電は家庭用コンセントのほか、急速充電にも対応する。家や充電ステーションなど場所を選ばず充電できるので、不便を感じることはないはずだ。
やっぱり屋根付きは便利!

ここからは、実際に試乗した感触も踏まえて「ビベルトライク COCO」の操作性を紹介したい。

まずはモーターの起動だが、昔の自動車のように鍵を差して右に回すだけ。EVなので始動音はないが、モーターが起動すると同時に液晶も立ち上がるのでオン/オフを間違えることはない。

ハンドルロックをかけている場合は、ブレーキレバーをぎゅっと握って解除する。

準備ができたらハンドル右のアクセルをひねってスタート。このあたりはバイクと同じだ。

ぐっとアクセルを開けるとスムーズな加速性を見せる「ビベルトライク COCO」。コーナーでもどしっとした安定感があり、旋回性も問題ない。

駐車時に便利だったのがバックカメラモニターだ。「ビベルトライク COCO」は右ハンドルにあるスイッチでD(ドライブ)とR(リバース)を切り替えることができる。
リバースにすると液晶がバックカメラモニターに切り替り、クルマのようにモニターに映る映像を確認しながら駐車できる。

一方、いくつか慣れが必要かもしれないと感じた点もある。

例えばアクセル操作だ。加速時にアクセルの開け具合が少ないと、あまり走っていかなかった。加速時には、しっかりとアクセルを開けることを意識する必要がある。普段バイクに乗っていて、アクセルワークで加減速を調整する操作に慣れていると、多少の違和感を感じるかもしれない。

次が坂道発進時だ。「ビベルトライク COCO」は、ブレーキを離してからでないとアクセルが反応しない。そのため、タイミングを上手く合わせないと、坂道発進時に少し後ろに下がってしまう。AT(オートマ)車にしか乗ったことがない人は、コツをつかむのに少し時間が必要だろう。

試乗当日はあいにくの雨模様だったが、三輪構造のため転倒の心配もなく、屋根もあるので、概して快適に運転することができた。個人的には、荷物がもう少し積めるとより便利なのではないかと思ったが、使い方によっては、生活の足として十分に活躍してくれると感じられた。


乗ってみれば便利な乗り物であると実感できるEVトライクだが、今後はどのように裾野を広げていくのか。鈴木さんに聞いたところ、「やはり、体験して良さを実感していただくことだと思います。今も販売代理店には試乗車を1台以上置いてもらっていますが、イベント出展時などに、もっと試乗してもらえる機会を増やしていきたいですね。また、現在もオンラインサポートや交換パーツの販売などを行っていますが、アフターケアをもっと拡充していきたいです」とのことだった。

安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。 この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ