JO1初の東京ドーム公演「JO1DER SHOW 2025 WHEREVER WE ARE ‘IN TOKYO DOME」が、4月20日(日)、4月21日(月)に開催された。With youシート(体感席)まで埋まる超満員となり、2日間で10万人を動員。

全曲生バンド編成(一部ユニット曲を除く) で、これまでの全国ツアーやワールドツアーのセットリストに、4月2日(水)にリリースしたBEST ALBUM『BE CLASSIC』に収録された新曲を追加した全35曲を、約4時間もの大ボリュームで届けた。今回、ファイナルとなる4月21日(月)公演の模様をレポート。オーディション番組で誕生し、コロナ禍を超え、紅白出演、ワールドツアーと次々と夢をかなえてきたJO1が東京ドームで見せてくれたのは、「いつだってここからさ」の思いを込めた、再び新しい夢へと出港するような輝かしい光景だった。(取材・文=河内)

■「Are you Ready? 東京ドーム!」

 同公演は、昨年11月から12月にかけて開催した全国4都市計14公演のライブツアー「JO1DER SHOW 2024 WHEREVER WE ARE」の追加公演。今年2月から3月にかけて行われた全6都市8公演のワールドツアーを経て、念願の単独での東京ドーム公演でファイナルを迎え、2日間2公演で10万人を動員した。

 開演時刻、東京ドームの天井からやや日差しが差し込む中、JAM(JO1のファンネーム)の持つペンライトによって会場が真っ赤に照らされる。ステージからギターのリフが鳴り響くとともに、飛び交う「JO1 We Go To The TOP!」の声。次第に高まる歓声に合わせて、会場内のボルテージがどんどんと高まっていくのを感じる。

 そして、ステージに1人現れた豆原一成が「Are you Ready? 東京ドーム!」と会場を煽ると、メンバーがステージ下からジャンプで登場。割れんばかりの歓声で出迎えるJAM。その光景に思わず目頭が熱くなった。

 第75回NHK「紅白歌合戦」で披露した「Love seeker」で本格的な幕開け。
彼らのステージをさまざま見てきたが、改めて引きで見ると一体感がすさまじく、まるで一つの生き物のようだった。それに加えて、メンバーたちからは最高のステージにしようという気合が感じられるものの、そこには変な気負いやプレッシャーは感じられず、不思議とカラっとした空気があり、とにかく「楽しませよう」「楽しもう」という思いが見て取れた。単独での東京ドームが初めてとは思えない貫禄に、冒頭から彼らが再びこの舞台に戻ってくるだろうと強く思わされた。

 ライブ前半、象徴的なステージだったのが「GrandMaster(JO1 ver.)」。この楽曲は、彼らのデビューを決めたオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』ファイナルで披露したもののJO1ver.。当時は絶対にデビューするという強い意志や儚さが感じられたものだが、この日のステージはまさに「俺が王者なのさ」と示す覇気を感じさせた。特にメインステージからセンターステージへと闊歩する姿は、圧倒的な存在感があり、東京ドームというステージすらも狭いと思わされるほどだ。曲間、静かにクローズアップされた佐藤景瑚が放った「もえもえキュン」というおちゃめな部分も含めて、改めてデビュー時から一回りも二回りも成長している、“JO1らしさ”を見せつけるようなステージだった(「もえもえキュン」に崩れ落ちるJAMの姿も印象的だった)。

 さらに最後、川尻蓮が東京ドームのステージを背負うようにメインステージまで歩き出し、5万人をバッグに踊る光景も。彼が憧れているというマイケル・ジャクソンをリスペクトしたかのように見えたパフォーマンスには、一瞬の静寂の後、大歓声が巻き起こっていた。

■格好いい→笑いの緩急も天才的

 先ほどまでの熱をクールダウンさせるかのように、「Aqua」のイントロがしっとりと流れる。鼓動を心臓に打ち付けるような木全翔也の振りがメンバーへと伝わりダンスパフォーマンスへ。
「ICY」では、涙をこぼすような振付がドキっとするほど美しい。気品あふれるパフォーマンスはこれまでJO1が磨き上げてきた武器の一つだ。

 MCでは「東京ドームでけぇな!」「JAMの声もでけぇな!」とうれしそうに叫ぶ河野純喜。「顔面は豆粒 がたいは大粒」と自己紹介した鶴房汐恩は、昨日から“王子様”にキャラ変したと宣言。「大好きですよ?」「恥ずかしいですね…」とささやき会場を沸かせていたものの、次第に本来のキャラが現れてしまい、最後は「11人とスタッフ全員で暴れていきましょう!」と叫び、さらなる熱と笑いを生み出していた。

 さらに、大平祥生はにこっと笑顔を浮かべると「キラーン」と効果音が付くキュートな仕込みを用意。それに変顔担当を自称する豆原が、変顔に効果音を乗せてもらう一幕も。メンバーからかわいいver.を見せてほしいとリクエストされ、かわいい変顔(?)を披露すると「(かわいいとの)ハーフやな」「ハーフやハーフ!」とメロメロにしていた。流石の愛され力。そして全てを肯定するメンバーの姿に会場もほっこりしていた。
 
 ユニットゾーンでは、ホワイトのロングコートにブラックのネクタイとグローブを合わせた川尻、豆原、佐藤の3人が、オールブラックの衣装のバックダンサーとともに歌う「EZPZ」を披露。刀とともに舞ったり、煙草を吸うような仕草を見せたりとカリスマ感がすさまじい。
途中、佐藤がメインステージからセンターステージへと駆け抜ける姿はあまりにも早く、後のMCで「(あまりにも早すぎて)追いつくのが大変だった」とメンバーが語っていた。

 続いてDJ豆原が東京ドームというフロアを沸かせる。川尻&川西が「TKファイヤー」「REN」と打ちあがる炎とともに会場をあおりまくると、白岩&金城碧海は「俺たちはもう止まらない Push On」と美しくも力強い姿を見せ、最後は鶴房が「宇宙人登場」と自身の世界へと誘う。さらに6人でEDMサウンドが鳴り響く「Eyes On Me」を披露すると、もはや東京ドームはクラブ会場と化していた。

 さらに、ギター河野&與那城奨、ドラム佐藤、ベース木全、キーボード大平の編成で、バンドver.の「Mad In Love」を披露。先ほどの6人が会場をクラブ化したのに対し、こちらの6人は学祭のバンドを見ているかのようで、甘酸っぱい気持ちを思い出した。東京ドームはとてつもなく広く大きいはずなのに、不思議と目の前で、自分に向けて歌ってくれているかのよう…まさに青春のようなひと時だった。

■「ずっと変わらずに愛してくれますか?」

 ここでどれだけの人たちが心打たれただろうか。白岩瑠姫が「もう無理かな、むいてないかなと思ったこともありました。なんで人の『好き』って言葉は信じられないのに、1回『嫌い』っていわれたらすぐに信じてしまうんだろうと思いました」と回想。しかし、そんな時間も糧にしたことを伝え、「ずっとJAMのそばでJO1という花を咲かせてもいいですか?」「ずっと変わらずに愛してくれますか?」と優しく語りかけていた。

 JO1という光には、少なからず影が差す時もあっただろう。
現に彼らは華々しいデビュー直後にコロナ禍が直面。活動を制限されることになり、およそ2年もの間、有観客でライブを行うことができなかった。「もう無理かな」と振り返る言葉の裏には、その言葉だけでは言い表せない苦悩があっただろう。だが、そんな彼らだからこそ、目の前の一日一日を、ステージを、1人のJAMをとても大切に感じているのだと、パフォーマンスの一つ一つから感じられた。

 すさまじかったのは、JO1とJAMがバトルするかのようなハードなセットリストのメドレー。白岩の「Tiger」、川西と河野の「REAL」での「This is no dream, so real」のポーズなど、見たいもの全部詰め合わせかのような構成が続き、「Trigger」まで目も耳も一瞬たりとも休まる時がない。さらに「Rose」、「Walk It Like I Talk It」と、どれもメイン級の楽曲にもかかわらず、メドレーで見せてしまう贅沢さ。そして、JO1が叫ぶと、JAMもそれ以上のパワーで叫ぶ。これまでさまざまな東京ドーム公演を見てきたが、こんなにもファンの声が届くステージはなかったように思う。

 本編ラストを飾ったのは、最新曲「BE CLASSIC」。バックダンサーを加えた圧巻のカノン、会場全体を奏でるようなパフォーマンス、そしてバックダンサーの上に川尻が倒れこみ暗転、ラスサビにつながる演出はあまりにも劇的。ここで終わってもまったく後悔がないと思わせてくれるほど、すばらしい一幕だった。


■「飛べるから」で零した涙

 気が付けば明るかった会場もすっかり暗くなっている。アンコールでは、JAMの「ナナナ」と歌う声に迎えられ、メンバーがフロートに乗って会場中に笑顔を届ける。フロートが“イカつめ”なのがなんともJO1らしい。

 5年前のデビュー曲「無限大(INFINITY)」をRockアレンジした「無限大(INFINITY) 2025」を披露した後のMC、川西は「矛盾しているなって思って」と切り出した。「上に行きたい大きな会場でやりたい」思いがありつつも、近くで会いたい、一緒にいたいが矛盾してしまって悔しいとの思いを吐露。しかし、JO1は絶対帰って来ると宣言すると、「ただいま」と「おかえり」をいつまでも言い合いたいと約束し、「ライブが終わる瞬間にJO1の第1章が終わって、第2章が始まると思います。一緒に行こうよ!」と呼びかけた。

 また、川尻はこれまでの道のりを振り替えり、「前にすすんで、ここ(東京ドーム)に旗をさしました」と語ると、感極まってしまい何度も後ろを向く。それでも涙をこらえて最後は叫んだ。「立てた旗を増やしていけば、後ろを振り向いた時にきれいな景色が待っていると思います。たくさん旗を立てていこうぜ!」。

 ラストは、ライブ初披露となる「飛べるから」。
金城が静かに涙を流していたのに気が付いた川西が、そっと肩を抱きしめた。この曲はJO1のドキュメンタリー映画「JO1 THE MOVIE『未完成』-Go to the TOP-」の主題歌であり、当時のリリース版の収録の際、金城は活動を休止していた(『BE CLASSIC』に11人ver.が収録)。この時の金城の思いを想像するのは野暮だと思うので頭の中にとどめておきたい。ただこの日、11人で披露した「飛べるから」は美しく、力強く、とても頼もしかった。

 ここで終わりかと思いきや最後はダブルアンコールで、メンバー全員が作詞に参加した「Bon Voyage」を披露。與那城が惜しむようにステージを去った終演後には、サプライズでドキュメンタリー映画第2弾「JO1 THE MOVIE『未完成』-Bon Voyage-」の全国公開が発表され、JAMの歓喜の声が響き渡っていた。

 アンコールで披露した「飛べるから」の歌詞にはこうある。「いつだってここからさ」。その言葉こそ、これまでのJO1の歩みを象徴するかのよう。東京ドームを満員にしたという素晴らしい「結果」さえも、彼らの物語の「過程」となったと感じる日がいつか来るのだろう。そう思わせてくれるくらい、この日の彼らの姿からは、さらなる未来が待っていると感じさせてくれた。いつまでも未完成の彼らだからこそ、いつだってここから、限りない未来を見せてくれると信じて。この先もその歩みを見届けたい。

 追記として、東京ドームで輝かしい光景を見せてくれたJO1が、4月28日(月/現地時間)に、アメリカのドジャー・スタジアムで行われるMLB「ロサンゼルス・ドジャース vs マイアミ・マーリンズ」のイベント『Japanese Heritage Night(ジャパニーズヘリテージナイト)』に登場し、パフォーマンスをすることが決定した。ドジャースには、大谷翔平や山本由伸、佐々木朗希選手ら3人の日本人が活躍中。ステージでの共演も期待されるが、何よりも東京ドームという大舞台に立ったばかりの彼らが、今度はアメリカの大舞台に立つというスピード感に驚きを隠せない。彼らの羽ばたきは止まらない。どこまでも「Go To The Top!」の精神で駆け抜けてほしい。

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