JO1初の東京ドーム公演「JO1DER SHOW 2025 WHEREVER WE ARE ‘IN TOKYO DOME」が、4月20日(日)、4月21日(月)に開催された。With youシート(体感席)まで埋まる超満員となり、2日間で10万人を動員。
■「Are you Ready? 東京ドーム!」
同公演は、昨年11月から12月にかけて開催した全国4都市計14公演のライブツアー「JO1DER SHOW 2024 WHEREVER WE ARE」の追加公演。今年2月から3月にかけて行われた全6都市8公演のワールドツアーを経て、念願の単独での東京ドーム公演でファイナルを迎え、2日間2公演で10万人を動員した。
開演時刻、東京ドームの天井からやや日差しが差し込む中、JAM(JO1のファンネーム)の持つペンライトによって会場が真っ赤に照らされる。ステージからギターのリフが鳴り響くとともに、飛び交う「JO1 We Go To The TOP!」の声。次第に高まる歓声に合わせて、会場内のボルテージがどんどんと高まっていくのを感じる。
そして、ステージに1人現れた豆原一成が「Are you Ready? 東京ドーム!」と会場を煽ると、メンバーがステージ下からジャンプで登場。割れんばかりの歓声で出迎えるJAM。その光景に思わず目頭が熱くなった。
第75回NHK「紅白歌合戦」で披露した「Love seeker」で本格的な幕開け。
ライブ前半、象徴的なステージだったのが「GrandMaster(JO1 ver.)」。この楽曲は、彼らのデビューを決めたオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』ファイナルで披露したもののJO1ver.。当時は絶対にデビューするという強い意志や儚さが感じられたものだが、この日のステージはまさに「俺が王者なのさ」と示す覇気を感じさせた。特にメインステージからセンターステージへと闊歩する姿は、圧倒的な存在感があり、東京ドームというステージすらも狭いと思わされるほどだ。曲間、静かにクローズアップされた佐藤景瑚が放った「もえもえキュン」というおちゃめな部分も含めて、改めてデビュー時から一回りも二回りも成長している、“JO1らしさ”を見せつけるようなステージだった(「もえもえキュン」に崩れ落ちるJAMの姿も印象的だった)。
さらに最後、川尻蓮が東京ドームのステージを背負うようにメインステージまで歩き出し、5万人をバッグに踊る光景も。彼が憧れているというマイケル・ジャクソンをリスペクトしたかのように見えたパフォーマンスには、一瞬の静寂の後、大歓声が巻き起こっていた。
■格好いい→笑いの緩急も天才的
先ほどまでの熱をクールダウンさせるかのように、「Aqua」のイントロがしっとりと流れる。鼓動を心臓に打ち付けるような木全翔也の振りがメンバーへと伝わりダンスパフォーマンスへ。
MCでは「東京ドームでけぇな!」「JAMの声もでけぇな!」とうれしそうに叫ぶ河野純喜。「顔面は豆粒 がたいは大粒」と自己紹介した鶴房汐恩は、昨日から“王子様”にキャラ変したと宣言。「大好きですよ?」「恥ずかしいですね…」とささやき会場を沸かせていたものの、次第に本来のキャラが現れてしまい、最後は「11人とスタッフ全員で暴れていきましょう!」と叫び、さらなる熱と笑いを生み出していた。
さらに、大平祥生はにこっと笑顔を浮かべると「キラーン」と効果音が付くキュートな仕込みを用意。それに変顔担当を自称する豆原が、変顔に効果音を乗せてもらう一幕も。メンバーからかわいいver.を見せてほしいとリクエストされ、かわいい変顔(?)を披露すると「(かわいいとの)ハーフやな」「ハーフやハーフ!」とメロメロにしていた。流石の愛され力。そして全てを肯定するメンバーの姿に会場もほっこりしていた。
ユニットゾーンでは、ホワイトのロングコートにブラックのネクタイとグローブを合わせた川尻、豆原、佐藤の3人が、オールブラックの衣装のバックダンサーとともに歌う「EZPZ」を披露。刀とともに舞ったり、煙草を吸うような仕草を見せたりとカリスマ感がすさまじい。
続いてDJ豆原が東京ドームというフロアを沸かせる。川尻&川西が「TKファイヤー」「REN」と打ちあがる炎とともに会場をあおりまくると、白岩&金城碧海は「俺たちはもう止まらない Push On」と美しくも力強い姿を見せ、最後は鶴房が「宇宙人登場」と自身の世界へと誘う。さらに6人でEDMサウンドが鳴り響く「Eyes On Me」を披露すると、もはや東京ドームはクラブ会場と化していた。
さらに、ギター河野&與那城奨、ドラム佐藤、ベース木全、キーボード大平の編成で、バンドver.の「Mad In Love」を披露。先ほどの6人が会場をクラブ化したのに対し、こちらの6人は学祭のバンドを見ているかのようで、甘酸っぱい気持ちを思い出した。東京ドームはとてつもなく広く大きいはずなのに、不思議と目の前で、自分に向けて歌ってくれているかのよう…まさに青春のようなひと時だった。
■「ずっと変わらずに愛してくれますか?」
ここでどれだけの人たちが心打たれただろうか。白岩瑠姫が「もう無理かな、むいてないかなと思ったこともありました。なんで人の『好き』って言葉は信じられないのに、1回『嫌い』っていわれたらすぐに信じてしまうんだろうと思いました」と回想。しかし、そんな時間も糧にしたことを伝え、「ずっとJAMのそばでJO1という花を咲かせてもいいですか?」「ずっと変わらずに愛してくれますか?」と優しく語りかけていた。
JO1という光には、少なからず影が差す時もあっただろう。
すさまじかったのは、JO1とJAMがバトルするかのようなハードなセットリストのメドレー。白岩の「Tiger」、川西と河野の「REAL」での「This is no dream, so real」のポーズなど、見たいもの全部詰め合わせかのような構成が続き、「Trigger」まで目も耳も一瞬たりとも休まる時がない。さらに「Rose」、「Walk It Like I Talk It」と、どれもメイン級の楽曲にもかかわらず、メドレーで見せてしまう贅沢さ。そして、JO1が叫ぶと、JAMもそれ以上のパワーで叫ぶ。これまでさまざまな東京ドーム公演を見てきたが、こんなにもファンの声が届くステージはなかったように思う。
本編ラストを飾ったのは、最新曲「BE CLASSIC」。バックダンサーを加えた圧巻のカノン、会場全体を奏でるようなパフォーマンス、そしてバックダンサーの上に川尻が倒れこみ暗転、ラスサビにつながる演出はあまりにも劇的。ここで終わってもまったく後悔がないと思わせてくれるほど、すばらしい一幕だった。
■「飛べるから」で零した涙
気が付けば明るかった会場もすっかり暗くなっている。アンコールでは、JAMの「ナナナ」と歌う声に迎えられ、メンバーがフロートに乗って会場中に笑顔を届ける。フロートが“イカつめ”なのがなんともJO1らしい。
5年前のデビュー曲「無限大(INFINITY)」をRockアレンジした「無限大(INFINITY) 2025」を披露した後のMC、川西は「矛盾しているなって思って」と切り出した。「上に行きたい大きな会場でやりたい」思いがありつつも、近くで会いたい、一緒にいたいが矛盾してしまって悔しいとの思いを吐露。しかし、JO1は絶対帰って来ると宣言すると、「ただいま」と「おかえり」をいつまでも言い合いたいと約束し、「ライブが終わる瞬間にJO1の第1章が終わって、第2章が始まると思います。一緒に行こうよ!」と呼びかけた。
また、川尻はこれまでの道のりを振り替えり、「前にすすんで、ここ(東京ドーム)に旗をさしました」と語ると、感極まってしまい何度も後ろを向く。それでも涙をこらえて最後は叫んだ。「立てた旗を増やしていけば、後ろを振り向いた時にきれいな景色が待っていると思います。たくさん旗を立てていこうぜ!」。
ラストは、ライブ初披露となる「飛べるから」。
ここで終わりかと思いきや最後はダブルアンコールで、メンバー全員が作詞に参加した「Bon Voyage」を披露。與那城が惜しむようにステージを去った終演後には、サプライズでドキュメンタリー映画第2弾「JO1 THE MOVIE『未完成』-Bon Voyage-」の全国公開が発表され、JAMの歓喜の声が響き渡っていた。
アンコールで披露した「飛べるから」の歌詞にはこうある。「いつだってここからさ」。その言葉こそ、これまでのJO1の歩みを象徴するかのよう。東京ドームを満員にしたという素晴らしい「結果」さえも、彼らの物語の「過程」となったと感じる日がいつか来るのだろう。そう思わせてくれるくらい、この日の彼らの姿からは、さらなる未来が待っていると感じさせてくれた。いつまでも未完成の彼らだからこそ、いつだってここから、限りない未来を見せてくれると信じて。この先もその歩みを見届けたい。
追記として、東京ドームで輝かしい光景を見せてくれたJO1が、4月28日(月/現地時間)に、アメリカのドジャー・スタジアムで行われるMLB「ロサンゼルス・ドジャース vs マイアミ・マーリンズ」のイベント『Japanese Heritage Night(ジャパニーズヘリテージナイト)』に登場し、パフォーマンスをすることが決定した。ドジャースには、大谷翔平や山本由伸、佐々木朗希選手ら3人の日本人が活躍中。ステージでの共演も期待されるが、何よりも東京ドームという大舞台に立ったばかりの彼らが、今度はアメリカの大舞台に立つというスピード感に驚きを隠せない。彼らの羽ばたきは止まらない。どこまでも「Go To The Top!」の精神で駆け抜けてほしい。