福本莉子と八木勇征(FANTASTICS)が主演を務める映画『隣のステラ』が8月22日(金)に公開される。本作は、既刊7巻で累計発行部数100万部を記録した「別冊フレンド」(講談社)で連載中の同名人気漫画(著:餡蜜)を、注目の若手監督・松本花奈(『明け方の若者たち』『【推しの子】』)がメガホンを取って実写映画化した作品。

いまをときめく若手俳優としてスターへの道を走り出した昴(八木)と、その幼なじみの女子高生・千明(福本)。幼なじみでありながらも“芸能人と一般人”というもどかしい関係となってしまった二人のピュアで真っすぐな恋を描いた物語だ。そんな本作で昴を演じた八木勇征にインタビュー。作品の魅力と合わせて、アップデートした経験や、八木が持つ欲などについて話を聞いた。

■「自然とキュンとできる」作品に

――もともと原作のファンだったそうですね。

八木勇征(以下、八木):はい。知っている作品の実写化に出られるというのは、個人的にもうれしいなと思いました。ただ、そのうれしい気持ちと同じくらい責任感もあるなと感じました。やはり原作ファンの方もたくさんいらっしゃる作品なので「その方たちにも楽しんでもらえるような作品にしたい!」と強い意気込みを持ちました。

――どのようなところに餡蜜先生の作品の魅力を感じていますか?

八木:餡蜜先生の作品は、キャラクターの個性が立っている作品が多いなと思っています。『隣のステラ』でいうと、フィーチャーされているのは千明と昴ですけど、それ以外にも魅力的な登場人物がたくさんいて。特に僕は倉(悠貴)くんが演じた高橋君がお気に入りで。
「ああいう大学生がいたら、もう無敵だろうな」って思いました。

――映画には胸キュンシーンがたくさん出てきます。特に好きなシーンを教えてください。

八木:キュンキュンするシーン、ドキッとするようなカットって「来るぞ、来るぞ、キュンキュンきました!」みたいなカット割りのことが多いなと個人的には思っていて。でも松本監督の作品は、壁ドンをするにも一連の動きの中で撮影して、ぐっと寄るような感じでの撮影が多いんです。変に構えすぎず自然とキュンとできるので、すごくいいなと思いました。

――たしかに、言われてみればそうですね! そういったシーンはもちろん、映画全体を通しての映像美を感じました。

八木:質感とかも含めて、キラキラしているだけでなく、ノスタルジックな感覚も覚えて。映画が好きな人には結構ハマる質感かも、と思いました。なので、ぜひともラブストーリー好きな方だけでなく映画が好きな皆さんに見ていただきたいです。

――作品を見させていただき、芸能のお仕事をしている昴と千明の前での昴の印象にギャップを感じたのですが、演じ分けを意識されたりは?

八木:昴ってもともとがめちゃくちゃ人見知りな性格で、それを溶かしてくれたのが千明だったんです。なので、千明と2人でいる時と、そうじゃない時の昴ははっきりと分けました。
そうすることで2人の距離の近さが表れると思って。一方で、千明を大切に思っているっていうのが現実味を帯びてきた時のもどかしさみたいなのも、すごく意識したので、ぜひその世界観に入っていただけたらうれしいです。

――劇中で千明は「人生をアップデートさせたい」とアルバイトを始めます。八木さん自身、人生においてアップデートした瞬間はありますか?

■「自然とキュンとできる」作品に

八木:現場ごとに、毎日のようにアップデートしている気で過ごしてはいます。そういうふうにお仕事をしないと、意識的にインプットできないなと思っているので。特に大御所の方と一緒にお芝居をできた時には、その方のお芝居とか、現場での空気の作り方とかを自然と見て学ぶようにしています。本当に、日々の積み重ねでアップデートされていく毎日だなと思います。

――率直な疑問なのですが、八木さんにとって完全なオフという日はあるのでしょうか?

八木:正月ですね。正月みたいに親やおばあちゃんに会った時は、自分が子どもに戻った感じがするんです。ふっと肩の力が抜けます。それもあって、僕、正月に帰省するとだいたい熱を出すんですよ(笑)。緊張が解けるんでしょうね。


――映画の中では昴が「欲張っちゃダメだ」とつぶやくシーンも印象的でした。八木さんは自身を欲張りなタイプだと思いますか?

八木:欲張るタイプです。でも、なんでもかんでも欲しいわけじゃなくて、自分が本当に欲しいものは必ず手に入れたいってタイプの欲張りかなと。

――必ず手に入れたいものって具体的になんですか?

八木:主に経験ですね。「何が欲しい?」って言われたら、僕は絶対仕事って答えるタイプです。そもそもお仕事も、ご縁があってできるものばかりだと思っているので。そういったご縁があるお仕事、俳優業でもアーティスト業でも貪欲にいたいなと思っています。

――ちなみにそんなお仕事の中でも、今1番欲しいお仕事は?

八木:大河ドラマに出たい、時代劇に出たいというのは前から思っています。それから最近は主人公側の役を演じることが多いので、作品を問わず、主人公と対峙(たいじ)するような敵役をやってみたいです。

(取材・文:於ありさ 写真:上野留加)

 映画『隣のステラ』は、8月22日より全国公開。

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