源孝志監督がメガホンを取り、柄本佑が主演、渡辺謙が共演する映画『木挽町のあだ討ち』が2月27日(金)より公開される。本作は、第169回直木賞と第36回山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子の同名時代小説が原作。

ある雪の降る夜、芝居小屋のすぐそばで美しい若衆・伊納菊之助によるあだ討ちが見事に成し遂げられた。その事件は多くの人々の目撃により美談として語られることとなるが、1年半後、菊之助の縁者と名乗る侍・総一郎が芝居小屋を訪れ、物語は予想外の結末へ向かって行く――。本作で、あだ討ちを成した菊之助を演じるのは、なにわ男子の長尾謙杜。今回クランクイン!トレンドは、時代劇への出演を重ねる彼が思う、“時代劇の魅力”を聞いた。

■あだ討ちシーンへのプレッシャー

――出演が決まった時の気持ちをお聞かせください。

長尾:小さい頃からテレビや映画で見ていた皆さんと、こうやって共演できるというのは、自分にとってすごくいい経験になると思いましたし、(『室町無頼』に続いて)再び東映京都撮影所で撮影させてもらえたことがすごくうれしかったです。

――映画『室町無頼』チームからの再オファーに関しては、どう思いましたか?

長尾:また一緒に1つの作品を作らせていただけることが光栄でした。期間がすごく空いているわけではないのですが、東映京都撮影所に戻った時に皆さんが温かく迎えてくださって、プロデューサーの須藤(泰司)さんはハグしてくれて、感動の再会みたいでしたね(笑)。すぐに帰ってこられて、皆さんにもお会いできてうれしいなと思いました。

――菊之助という人物を演じる上で、意識されたことはありますか?

長尾:女形のシーンがあるので、そこの美しさを意識しました。普段と歩き方を変えてみたり、首の角度を意識したり。「こうやって歩いたら堂々と見えるんだ」など学んだところもあったので、「あ、こいつ自信あるな」って思わせたい時とかに生かせるようになりました。


――映画の見せ場の1つ、冒頭のあだ討ちシーンの撮影で覚えていることはありますか?

長尾:気持ち良さがありました。撮影中もワクワクしていて、すごく楽しかったです。ただ、最初に台本をいただいた時はプレッシャーを感じて「うわぁ」って思いましたね(笑)。

――撮影で苦労されたところは?

長尾:『室町無頼』の時は、ある程度自由にやって良かったものの、今回はそういうわけにもいかなくて。最初の歩き方から体の重心の置き方など、めちゃくちゃ練習しました。女性的な動きをしつつも、菊之助は武士なので、2つの動きを両立しながら演じる必要があって…しかも、その中には殺陣もある。刀を使う演技が初めてだったので、持ち方や抜き方を1から教えてもらって、意識しながら生活していました。

――棒術に挑んだ『室町無頼』の時に、「いつか刀術もやりたい」とおっしゃっていました。今回はそれがかなった?

長尾:そうなんです。でも、収め方とか持ち方さえも、すごく難しくて。小さい頃に時代劇を見ていた時は何も意識していなかったのですが、「こんなに意識することがある中でやっていたんだ」って思いましたし、「この時代の人たちってやること多すぎない?」って苦労を感じました。

■「歴史をつなぐ」時代劇ならではの面白さ

――撮影時の思い出深い出来事はありますか?

長尾:北村(一輝)さんと話し合いながら、殺陣の練習をしたのが印象深いです。
「こうやってやった方がいいんじゃない?」ってアドバイスをいただいたり、北村さんが演じてくださった作兵衛と僕が演じた菊之助、この二人の関係を大切にしていけたらいいねってお話をして関係性を作っていきました。

――技術的にアドバイスを受けたことはありましたか?

長尾:殺陣の時、本番になると力が入っちゃうことが多かったのですが、「ここはもっと力を抜いた方が映像映えすると思う」と教えてくださいました。食事へ連れて行ってくださったこともありましたね。

――食事へ行った際は、どんな話をしたのでしょう?

長尾:なにわ男子の話もしましたし、「プライベートは何をしているの?」とか、本当に他愛もない話をしました。あとは、アイドルのライブを見に行くことがあるらしく、北村さんなりの視点をお話ししてくださったりと、かわいらしい部分も知れました。「休みをわざわざ取るんだよ」とおっしゃっていて。テレビで見ているだけでは分からないような一面にも気づかされましたね。

――これまで時代劇への出演を重ねてきましたが、時代劇ならではの面白さはどういったところに感じますか?

長尾:令和の時代と、室町時代や江戸時代では、文化や背景が全然違うことですかね。何より、時代劇というもの自体、長い歴史の中ですてきな俳優さん方がつないできた印象があるので、こうやって今、令和でバトンを受け取らせてもらっているというのは、未熟ながらもうれしいと思っています。日本人として、時代劇を残していきたいと思っているので、その一部になれてうれしいですね。

――時代劇に触れるようになったのは、演じるようになってからですか?

長尾:もともと1番得意な教科が歴史だったんです。自分の名前が“上杉謙信”から取られていることもあって、戦国時代が特に好きなんです。
ただ、いざ演じてみると教科書では分からないことが見えてきますし、映像になって見た時に「すごい迫力だ」と感じました。触れてから気づくものもたくさんあって面白いです。

――次はどの時代の人物を演じてみたいですか?

長尾:戦国時代を舞台にした作品に出たいです。でも、明治時代とか現代に近づいても面白そうなので、いろんな時代の作品に出たいですね。もしかしたら、縄文時代までさかのぼって、「『室町無頼』みたいに、またふんどしみたいな服着てるよ」って驚かれる可能性もあるかもしれませんけど(笑)。

(取材・文:於ありさ 写真:上野留加)

 映画『木挽町のあだ討ち』は、2月27日(金)より全国公開。

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