韓国ドラマ『カラーラッシュ』の第7話と最終話が、4月9日(金)に、ABEMAで国内独占無料配信された。世界が灰色に見える“モノ”のチェ・ヨヌ(ユジュン)と、モノに色を認識させる“プローブ”のコ・ユハン(ホ・ヒョンジュン)による唯一無二の関係を描くストーリーだ。

(文=ヨシン)

■前回までのあらすじ

 ヨヌはロープなどの工具を購入し、何か企んでいる様子だった。ついにヨヌはモノという怪物になり、プローブのユハンを自分のものにしてしまうのか、緊張が走る展開だ。

■ヨヌが衝撃の選択を

 学校でユハンに会い、ヨヌはユハンの綺麗な茶色の瞳を見て、その瞳が憎しみの色に変わることを考えると怖くなった。そして、ヨヌの見ている灰色の世界を知りたいとヨヌに寄り添うユハンに、ヨヌは決意を固める。

 用意した工具やセンサー機器は、ユハンを監禁するためのものだったが、ヨヌは自分の首にロープをかけた。ヨヌは、怪物になった自分がユハンを傷つける前に、自ら命を経つ選択をしたのだ。

 ところが、ヨヌは自殺を図ったものの、病院のベッドの上で目を覚ますことになる。叔母がヨヌの異変に気づき、すぐに病院に運ばれ、一命を取り留めたのだ。10日間昏睡状態にいたヨヌ。首に残る痛々しいロープの跡は、ユハンへの思いだということも彼女はよくわかっていた。しかし叔母は、二人が二度と会わないよう転居の手続きを済ませ、病院にいることを誰にも知らせずにいた。ヨヌはこれでよかったのだと受け入れるしかなかった。


■ユハンが病院に!

 薬の治療をする日々の中で、ヨヌはユハンに会いたくてしょうがなかった。そんなある日の夜、病室の窓から突然ユハンが現れる。ユハンは、ヨヌを病院から連れ出すためにやって来たのだ。ユハンが目の前にいることが、夢か現実なのか分からないまま、ヨヌはユハンと共に病院を抜け出してしまう。

■ユハンが本音を打ち明け緊張が解ける

 二人はバスに乗り込んだが、夜も遅いためホテルに泊まることになった。そこでユハンが、自分の話をし始める。たくさんあるヨヌの好きなところを伝えたくても、ヨヌの負担になってしまいそうで言えなかったことや、ヨヌに会いにいくために事務所から逃げ出し、アイドルの夢を諦めたことを打ち明けた。ユハンが胸の内を明かすと、少しずついつもの二人に戻り、第6話から続いた緊張が解け、ほっと胸を撫で下ろす場面となった。

■明かされたユハンの正体

 翌朝、海の色を見るために、二人は海へ向かった。昨日のユハンにつられたのか、ヨヌは今まで抑えていた気持ちを吐き出し、苦しみから解放されたような清々しい表情を見せた。

 ヨヌはユハンから、海の色や青色の種類を次々と教えてもらった。色の種類だけでなく、色の由来まで詳しく知っているユハン。
ヨヌに教えたいという一心で覚えていたという。ユハンが語る色は、ヨヌに向けた愛の言葉なのかもしれない。

 さらに明らかになったのは、父親が大企業の会長、母親は議員、姉兄が判事と将校(少尉以上の軍人)という韓国ドラマらしいユハンの家族構成だ。頭が良く、どんな状況でも余裕があるユハンの性格や、色を教えているときに、さまざまなものが家にあると言ったのは、彼の育ちが関係していたということだ。ユハンの家族が、ヨヌを誘拐犯として騒ぎ立ていることをヨヌの叔母から告げられ、ユハンはソウルへ戻ることになった。

■ユハン“失顔症”を告白

 ソウルに戻る前に、ユハンは自分が失顔症であることを告白する。ユハンは、人の顔を覚えることができず、人々が身につけているものなどを記憶して、人を認識していた。

 そんな中、ユハンが初めて人の顔を認識できたのがヨヌだった。ヨヌに顔を見せて欲しいと言ったは、ヨヌが唯一顔がわかる特別な存在だからだ。そして、ヨヌの心を見透かしていたのは、ユハンもヨヌと同じ気持ちでいたからだった。

 二人が出会った第1話から、ユハンがなぜヨヌを特別に思っていたのか、やっと理由がわかった。ユハンもヨヌと同じように、他の人と違う世界に苦しみ、ヨヌに出会えたことで、光を見つけたのだった。
二人は、お互いがお互いに必要な存在であることを確かめ合った。

■謎残るまま、終わったものの…

 二人は同じ高校に通う同級生に戻り、ヨヌは笑顔を見せるようになった。叔母は反対しつつも、本当はこんな日常を望んでいたように見えた。

 これまで失踪したヨヌの母親の事件を追ってきたが、真相はわからないままだ。しかも、答えが見つからなかったことはそれだけではない。ヨヌがユハンを好きなったのはプローブであるという執着からなのか、ユハンは本当に失顔症なのか、二人を待ち受けている未来もわからないことだらけだ。

 ただ1つわかったことは、二人がその答えを見つけていく一歩を踏み出したことである。物語は終わってしまったが、はかなくて切ない、そして美しい二人の成長をずっと見守り続けたくなった。わたしたちも、自分に無いものを補ってくれる人に、魅力を感じるものだ。ヨヌとユハンのように唯一無二の関係ではなくても、ユハンがヨヌに新しい世界を見せたように、カラーラッシュは誰にでも起こりうることなのかもしれない。

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