テレビドラマ『着飾る恋には理由があって』(TBS系/毎週火曜22時)の第5話が、5月18日(火)に放送された。本作は、インテリアメーカーで広報を担当し、インフルエンサーとしても活躍する真柴くるみ(川口春奈)が、価値観の違う人々とルームシェアをしながら、恋や友情を育む“うちキュン”ラブストーリー。

第5話では、真柴と藤野駿(横浜流星)の“キッチンカーキス”が描かれ、SNSを中心に大いに盛り上がった。(文=阿部桜子) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意ください

■第5話では陽人にスポットライトが

 お互いの心の中に“好き”という気持ちを持っていることがわかった真柴と駿。しかし、恋人らしい日々を望む真柴に対し、駿は変わらぬ日常を歩もうとしており、その価値観の違いに、真柴は不満と不安を募らせる。

 その一方で、駿のはとこでありオンラインカウンセラーの寺井陽人(丸山隆平)と、陽人の相談者である舟木千春(黒川智花)の関係性にもスポットライトが当たった。陽人は、職業柄か、弱っている人を放っておけない優しさを持つ人物。

 第4話で、妊娠疑惑に悩んでいた羽瀬彩夏(中村アン)が拒絶しようとも、手を差し伸べ続け、そして今回2年前に駿がレストラン経営を失敗した際も、駿がうざく感じるほど、かまったことも明らかになった。しかし、第5話で陽人は自分のそんな性格に疑問を持つようになる。舟木が、陽人から誘いを断られたことをきっかけに、陽人への依存度が高くなり、さらに、駿の周りをうろつくなどストーカーとも取れるような行動をし始めたのだ。

■舟木を突き放さない『着飾る恋』の優しさ

 少しホラーな演出を交えながら展開していった第5話。しかし、暴走する舟木を“怖いもの”として突き放すような描き方をせず、寄り添い理解しようとするのが本作らしかった。

 生きている間に“自分が他人からどう見られているか”を心配する瞬間は山ほどあるだろう。
舟木も看護師をやめて派遣社員になったものの、そこで上司に意見したら「そういうことは求めていない」と否定され、意見1つ言えない環境に悩んでいた。

 それは真柴も同じで、葉山祥吾(向井理)が社長を退任し、経営方針が変わったことにより、自分への期待値が下がっているのではないかと案じていた。知らず知らずのうちに世界から透明化しているというのは、恐怖だ。舟木が、業務としてでも自分を見つめてくれる陽人に、過剰に執着したのは、存在価値が薄れていると感じていたからこそ見出した、彼女なりの防衛手段だったのだろう。

 それから舟木は、陽人に会いたいという思いから、駿のキッチンカーに立てこもる。行き場のない孤独を抱えた舟木にとって、頼みの綱である陽人を失う恐怖は大きく、存在の証明のために、人を巻き込んで暴走化する。そんな舟木を救ったのは、意外にも駿だった。

「自分の価値は自分で決める。誰にも左右されない。そうなりたい」

 “人の役に立ちたい”や“誰かに認められたい”が先行して、自分を見失っていた舟木と真柴。一見単純な言葉ではあるが、同じ考えの沼から足を出せなかった彼女たちには共感ではなく、駿のように正反対の方向に力を与えて、引っ張り出してあげることが必要だった。この言葉は舟木を楽にさせただけでなく、真柴の駿に対する思いも変えていった。
そして、運命のキスシーンが訪れる。

■キッチンカーから身を乗り出して

 SNSなどで話題になった“冷蔵庫キス”に続き、今度の口づけはキッチンカーキスだった。騒動の帰り道、先に家に帰るためにキッチンカーを降りた真柴。そんな彼女は駿の正反対な考え方を、“自分にないもの”と尊重し、「もっと知りたい」と思えるうちは一緒にいると決めたと、駿に伝える。

 マイペースで楽天的にな駿だが、実は、葉山の存在を気にしていたことが今回明らかになる。“好きかも”とあいまいな態度を取ったり、陽人に真柴を「ただのお隣さん」と紹介したのは、真柴が完全に葉山への思いを断ち切っていなかったからだった。表の顔とは裏腹に意外と心を着飾っている駿だが、今回は“自分が思うままに”恋をしようとする真柴の素直さに触発されたのだろうか。彼は真柴の頬をなで、背の高いキッチンカーの窓から身を乗り出して、優しくキスをしたのだった。

■横浜流星キスシーンの魅力を解説!

 横浜が生み出すキスやハグのシーンは、いつも芸術的だ。『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)第8話では花岡七桜(浜辺美波)の顔を両手で包み、キスをしたあとに左手をスライドさせるテクニックを見せ、『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第10話でのキスシーンは春見順子(深田恭子)の首元を支える左手が“萌え袖”になっていると、横浜は過去のキスシーンにさまざまな技術を盛り込んできた。

 その各シーンに共通しているのが、横浜の手が、いつも美しい角度で見えている点だ。例えば本作の“冷蔵庫キス”は、いつものように手を添えるような“THEキスシーン”という展開ではなく、冷蔵庫に物を探しにいったついでに…という流れで行われた。
そんなイレギュラーな環境で行われた同シーンは、横浜の右腕がすごい。タッパーを持つその手は、人差し指だけが離れている。実際に手のひら以上のサイズのものを持ったとき、人差し指だけ解放すると、支える指が1本失われたことにより、腕にピンっと力が入るのがわかる。そうすると、より筋肉が盛り上がり、たくましくも色香を感じさせる腕を演出することができるのだ。

 同様に今回のキッチンカーキスにも、右手に小さなテクニックがあり、真柴を支える右手の薬指と小指は少し折られている。微々たる工夫であるが、折り曲げることで指の下にある筋が浮き出し、より骨ばった右手ができあがる。Twitterでも「ああああ手が…………」「横浜流星の横顔と右手が綺麗すぎて死ぬ」と、その手にノックアウトされたファンの声が見受けられた。

 このほかにも“キッチンカーキス”のたった数十秒の中には、キスをする前の鼻筋、そして唇が重なった際の顎から耳にかけてのフェイスライン、少し赤らんだ耳など、何度も見たい、そして語りたくなる美ポイントが詰め込まれていた。サイドミラーに横顔が映るように演出した棚澤孝義にも拍手を送りたい。

 しかし、幸せはつかの間。葉山が日本に帰国し、真柴と再会した。その上、葉山はなぜか駿の部屋で眠っており、これから一騒動ありそうな予感だ。
荒波を乗り越えて恋を成就させる王道展開ではなく、中盤からライバルが本格参戦してきた『着飾る恋には理由があって』。流れるまま、水のごとく進もうと決めた真柴が行き着く先は、駿か葉山か。

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