“時代劇の世界でタイムリープ”　中国ドラマ『夕月花』、新しい要素と組合せで成功 (2022年3月1日)

日本でもヤンキー×タイムリープを組み合わた『東京リベンジャーズ』が大ヒットしているが、アジアドラマも近年『ラブ・トライアングル～また君に恋をする～』、『パラレル・ラブ～オレ様御曹司を社長にします！～』など、過去に戻って未来を変えるタイムリープ作品の人気が急上昇している。先月DVDがリリースされたばかりの『夕月花（せきげつか）～三世を駆ける愛～』もヒロインが過去に戻って悲劇の歴史を変えようとするタイムリープ作品として中国で大反響を呼んだ。中国では現代女性が古代にタイムスリップする時代劇や、タイムリープがテーマの現代劇は数多くあるが、“時代劇の世界”でタイムリープを描く作品は非常に珍しい。中国時代劇×タイムリープを掛け合わせて成功した『夕月花』の見どころを改めて解説していきたい。【写真】『夕月花』“未来を変えるヒロイン”冬月を演じるスン・イー■ 時が止まり新しい体で過去へとタイムリープ！ 『夕月花』は、『東京リベンジャーズ』のように悲劇の事件が起こらないようにその原因となる過去を変えようと主人公が奮闘するストーリー。舞台は7年も続いた戦争で平和を失った国。戦場で戦う女将軍は敵の矢に倒れたかと思ったが、その瞬間、時が止まり、彼女はある人物の前にいた…。そこで「戦が始まる前の平和な世の中が見たい」と呟いた女将軍の願いは聞き入れられ、新しい体を与えられた彼女は8年前の過去へ。 そして、自分がタイムリープしたと知った冬月（とうげつ）は戦争を食い止めるべく奔走を始める。そんな主人公の設定として面白いのは、死んでも生き返るチャンスが与えられていること。傷ついた肉体は「水」で癒すことができ、その世界線に留まることができる。また、彼女を守り導くアイテムとして不思議な「笛」も登場。この「笛」の音を聴くことができるのは彼女と、戦争を引き起こす原因となる敵であるはずの男性。いったい2人にはどんな因縁があるのか？ 謎をはらんで進行するファンタジー感あふれるミステリーは、“タイムリープもの”の枠を超えて多くの視聴者から支持された。■ 過去をやり直すことで現れる複数の世界線… また『夕月花』は『時をかける少女』のようにラブストーリーが主旋律となるロマンティックな展開も見どころ。また、『永遠の桃花～三生三世～』をはじめとする「桃花」シリーズのように、ヒロインが3度の人生を体験し3度とも同じ男性と恋に落ちる中国時代劇のお約束も踏襲している。しかも、本作ではその恋に落ちる相手というのが、ヒロインが戦争を食い止めるために暗殺しようと思っていた敵の1人というのがハラハラさせられるところ。歴史の記録では悪人とされていた馮夕（ふうせき）は実は正義と復讐のために暗躍するヒーローだった!? そんな予想を裏切るドキドキの展開で、2人のラブストーリーが盛り上がっていくことになる。 さらに、歴史ではそのヒーローが1年後に死ぬはずで、ヒロインは愛する彼を救おうと命を懸けることに。しかし、過去を変えるのはそう簡単にはいかないもの。うまく行ったように見えても何かしらの代償が待ち受ける。彼女は愛の力で歴史を変えることができるのか…？ ラブストーリーからも目が離せない。■ 未来の自分が過去の自分と出会ったら？ 『夕月花』は『ラブ・トライアングル～また君に恋をする～』、『パラレル・ラブ～オレ様御曹司を社長にします！～』のようにタイムリープした主人公が過去の未熟な自分を導いていくエピソードがあるのもひねりが効いたところ。大人になったヒロインが未来からやってきたことによって、幼い過去のヒロインは新たな経験をし、彼女をめぐる人間関係も大きく変わっていくことになる。また、ヒロインが自分が未来から来たことを過去の人物に打ち明けてしまう展開も…。こうしたことが物語の中でどんなタイムパラドックスを引き起こすことになるかも大きなポイントだ。 最終的にヒロインは戦争を食い止め、愛する人と共にハッピーエンドを迎えることができるのか？ そもそも彼女をタイムリープさせた人物とは誰だったのか？ 予測不能なストーリーの最後に待ち受けるのは…。様々な要素が掛け合わさることで、“タイムリープ”を扱うこれまでの中国ドラマとは違った面白さを紡ぎ出している。 『夕月花（せきげつか）～三世を駆ける愛～』DVDリリース中。