女優の古川琴音が主演を務める特集ドラマ『アイドル』が、NHK総合にて8月11日19時30分より放送されることが決まった。

【写真】山崎育三郎、愛希れいか、Aぇ!group・正門良規らNHK特集ドラマ『アイドル』キャスト陣

 本作のテーマは“戦時下のエンターテインメント”。

明日待子という一人のアイドルの青春を描いたドラマでもあり、劇場での歌とダンスをぜいたくに物語に取り込んだ、音楽ステージ・ショーでもある。当時実在した人物や劇場をベースとしたオリジナル作品。

 昭和11年、岩手から上京した小野寺とし子(古川)はスターになるため、新宿の劇場ムーランルージュのオーディションを受ける。その場で支配人兼プロデューサーの佐々木千里(椎名桔平)や劇場の看板女優・高輪芳子(愛希れいか)の目にとまり、座員として劇場で働き始める。

 とし子は下積み生活を続け、寝る間を惜しみ、1日の大半を稽古や本番のステージに費やしていた。そんな中、ある事がきっかけで、とし子はステージのセンターに立ち、歌い踊ることに。半年後、とし子は名前を“明日待子”に変え、同僚の小柳ナナ子(田村芽実)らとともに、若手グループを結成し、圧倒的人気を誇っていた。大勢のファンが詰めかけ、劇場は連日満員御礼となった。待子は不動のセンターとなり、ファン一人一人の恋人“アイドール”となった。

 その一方、日本は戦争へ突き進み、その影響はムーランルージュにも及んだ。劇場のシンボルだった赤い風車が取り外され、看板俳優の山口正太郎(山崎育三郎)も出征し、やがて待子も戦地のファンの期待に応えようと、戦争に協力していく…。

 主演の古川は「戦争と共に生きた、まっちゃん。
どんな時代だったとしても、ファンが明日を楽しみに待てるような、そんな希望を与え続けた、まっちゃんの煌めきを届けられたらと思います」、山口正太郎役の山崎は「名前自体に親近感が湧き、更に、歌い、踊り、演じる、ムーランルージュを代表するエンターテイナー、このようなやりがいのある役を与えて頂き、感謝しています」とコメント。

 高輪芳子役の愛希は「待子が憧れる芳子を、自分なりに精一杯演じたいと思います」、待子のファン・須貝富安役のAぇ!group・正門良規は「アイドルとしてこの作品に関われたことが本当に幸せです」と話している。

 特集ドラマ『アイドル』は、NHK総合にて8月11日19時30分放送。

 コメント全文は以下の通り。

<コメント>

■古川琴音:小野寺とし子/明日待子役

 戦争と共に生きた、まっちゃん。どんな時代だったとしても、ファンが明日を楽しみに待てるような、そんな希望を与え続けた、まっちゃんの煌めきを届けられたらと思います。とにかく、懸命に歌って踊って、演じました。是非、たくさんの方に見ていただけると嬉しいです!

■山崎育三郎:山口正太郎役

 山口正太郎役を演じます、山崎育三郎です。名前自体に親近感が湧き、更に、歌い、踊り、演じる、ムーランルージュを代表するエンターテイナー、このようなやりがいのある役を与えて頂き、感謝しています。戦時下で、舞台に全てをかける役者たちの葛藤、今この時代だからこそ大きな希望を貰える作品です。今回のためのオリジナル楽曲も、チームで歌い踊り、リハーサルを重ねてきました。そのパフォーマンスも是非楽しみにして頂きたいです。


■愛希れいか:高輪芳子役

 台本を読ませて頂き、どんな状況でもファンのために行動し、自分たちの出来る事を精一杯やろうと、諦めない待子や千里さんの熱い思いに、とても胸を打たれましたし、すごく共感しました。待子が憧れる芳子を、自分なりに精一杯演じたいと思います。よろしくお願い致します。

■正門良規:須貝富安役

 須貝富安役の正門良規です。令和を生きる僕たちと、作品を通してみた昭和を生きる人々は、時代は違っても、変わらず目の前にある時間を生きていたのだなと感じました。今だからこそ、皆さんに見て頂きたい物語です。アイドルとしてこの作品に関われたことが本当に幸せです。是非、放送をご覧になってください。

■田村芽実:小柳ナナ子役

 小柳ナナ子役としてこの作品に出演させていただけること、とても幸せで、毎日の撮影が楽しくて仕方がありません。この作品を通して日本のアイドル文化の歴史に触れることができ、その奥深さと魅力に、私自身、今まで以上に虜(とりこ)になってしまいました。

 古川琴音さん演じる明日待子さん(まっちゃん)をさりげなく柔らかく、隣で支えながら、一緒に同じ夢を持つ親友として、新宿ムーランのアイドルを一生懸命に全うしたいと思っています。

■椎名桔平:佐々木千里役

 NHKで戦争について考えるドラマを、「アイドル」というテーマで制作すると聞いた時は、一瞬耳を疑った。
これまでの感覚から、もっと重厚なテーマを予測しがちだったからだ。でも脚本を読むと、しっかりと戦争が大きな 背景として描かれている。そして目まぐるしく移りゆく戦時中の人々の心情が、「ムーランルージュ・新宿座」を舞台に、明るく、エロチックでコメディーな演目によって語られる。そのギャップがむしろ悲しく切ない。

 ロベルト・ベニーニの「ライフ・イズ・ビューティフル」を彷彿させられる戦争の痛烈な痛みだ。ムーランを作り“娯楽第一”を信条に、疲れ切った観客に 希望を与え続けた支配人、佐々木千里。ケチで博打好きで女好きという人間味溢れる彼を、生き生きと演じたいと思います。

■作者:八津弘幸

 戦時下に多くのファンを励まし愛されたアイドルの物語……最初にこの企画で声をかけて 頂いたとき、面白そうだなと思うのと同時に、うまく書けるだろうかという不安が過ぎり ました。というのも、朝ドラ『おちょやん』を執筆したときに、戦時下における娯楽を描くことの難しさを嫌というほど味わったからです。

 明日待子らアイドルたちも、ムーランルージュという劇場も、そこに押しかけるファンたちも間違いなく実在し、自分の“推し”の名前を叫び、一緒に歌って踊っていました。その光景は今と何も変わりません。そんな彼女、彼たちが、戦争によって何を奪われ、何を願っていたのかと向き合うことは、奇しくもコロナ禍に不要不急が叫ばれる現在、娯楽はどこまで必要なのか、僕たち自身に突きつけられた問題とも向き合うことでした。


 そして試行錯誤を繰り返し、答えを模索して、どうにか本を完成させた矢先、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発しました。実際にその悲惨な現実を目の当たりにして、正直、僕は今わからなくなっています。終戦ドラマにありがちな、重く暗い作品にはしたくない、などと言っていた自分は、浅はかだったのではないか。ふと気づけば、これこそまさに当時の登場人物たちが抱えていた葛藤と、同じなのかもしれません。

 それでもアイドル・明日待子のように、見て下さった皆さんが元気になれるように、前を向けるようにという思いで書いたことも、また同じです。この作品が少しでも明るい明日につながる、皆さんの“推し”となってくれたら嬉しいです。

■演出:鈴木航ディレクター

 2018年の暮れ、私が札幌でお会いした98歳の明日待子さんは、あの戦争の時代に多くの ファンを熱狂させたという、トップアイドルの輝きをまとっていました。“苦しい時代だったけど、私の青春でした”待子さんのこの言葉から、特集ドラマ「アイドル」は出発しました。

 あの頃の日本にも、今の私たちと変わらないアイドルがいて、ファンがいて、不要不急と言われながらエンターテインメントを守り続けた人々がいました。“戦争”は、その日常から地続きにあったのです。戦時下の時代に輝いた女の子の青春の日々を、めくるめくショーとともに描きます。是非、ご期待ください。

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