『トイ・ストーリー』シリーズの人気者、バズのルーツを描くディズニー&ピクサー最新作『バズ・ライトイヤー』が公開を迎えた。本作でバズに手を差し伸べ、共にミッションに臨む新米の“ジュニア・パトロール”イジーの日本版声優を務めたのは今田美桜。

バズと共に冒険を繰り広げるイジーの目を通じて、今田が感じた、この映画が教えてくれる大切なこととは――?

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■仲間の大切さを再認識 人見知りでもコミュニケーションを積極的に

 『トイ・ストーリー』に登場するウッディなどのおもちゃたちの持ち主であるアンディ少年は、なぜスペース・レンジャーのおもちゃのバズを誕生日にプレゼントされ、あんなに喜んだのか? 本作は「アンディ少年が人生を変えられるほど夢中になって見た映画」という設定で、おもちゃのバズの“モデル”となった映画の主人公バズ・ライトイヤーの姿を描く。

 『トイ・ストーリー』を「小さい頃から見ていた」という今田。「アンディが見て、(人形のおもちゃを)欲しがったという映画の話ということで、ファンからしても気になっていたお話だと思うので、そんな作品に自分が出させていただけるということに驚きました」と本作への出演の喜びを口にする。

 自身のミスが原因で、仲間たちと共に未知の惑星へと不時着してしまったバズ。責任を背負い、なんとか地球に帰還しようと奮闘するのだが、バズがテスト飛行で数分間、星の周りを巡ると惑星では数年が経過しており、バズがテストを繰り返し、帰還するたびに相棒のスペース・レンジャーであるアリーシャら仲間たちは年を重ね、やがてこの世を去っていく。不時着から60年以上が経過した惑星でバズが出会ったイジーはアリーシャの孫であり、祖母に憧れてスペース・レンジャーを目指している。

 今田は「仲間の大切さ」こそ、この作品で描かれる重要なテーマであると語る。「この作品はバズが自分の人生の時間を犠牲にしながらも、新しい仲間と出会い、また頑張っていくお話。やっぱり、仲間の支えって大きいんだなということを改めて感じました。イジーはおばあちゃんに憧れて、スペース・レンジャーになりたくてちょっと背伸びをしている女の子。まだまだ(任務が完璧に)できる子じゃないんですけど、『私たち、できるよ!』とバズにも言うんです。でも、そんなイジーがバズに仲間って大切だということを伝えるし、イジーは宇宙空間が苦手なんですけど、バズを助けるために頑張る。
バズも、アリーシャと過ごした時間を超えて、イジーたちと会って助けられる。仲間の絆って時間を超えて、すごく大きなものなんだなと感じました」。

 女優という仕事も、決して一人ではできない、“仲間”がいてこそ成り立つ仕事である。特に作品ごとに一緒に仕事をする人は異なり、初対面の人と一から関係を築いていかなくてはいけない場合も多い。自らを「どちらかというと人見知り(苦笑)」と語る今田だが、やはり仲間の大切さを十分に理解しているからこそ、自分からコミュニケーションを図るように努力しているという。

 「なかなか自分から話しかけるのは苦手なんですけど…(苦笑)、それじゃ相手のことを知ることができないので、本当にたわいのない話――『昨日、何食べた?』とかごく日常的なことでも相手のことを知るって大切だなと思うようになって、ちゃんと話してコミュニケーションをとるということは、当たり前のことかもしれないけど、大事にしたいなと思っています。本当に『はじめまして』だと、どんな方かも分からないし、こっちが勝手にテレビで見て知っていても、実際にはどんな方なのか? いま、話しかけていいタイミングなのか?とか考え過ぎちゃって、話に行けなかったりもします…(笑)。でも、実際に話してみると皆さん、優しい方ばかりなので、自分からもうちょっと積極的に行ってもいいのかなと最近、思ってます」。

■もしも“バズ”のような上司を持ったらどうする?

 バズは、経験豊かで勇敢で責任感の強いスペース・レンジャー。決して、仲間のことを軽んじているわけではないのだが、その責任感の強さゆえに、部下である新人のスペース・レンジャーや若いイジーたちに対しても「私がやる!」「手を出すな!」となかなか仕事を任せようとしない。

 もしも、今田が会社でバズのような上司を持ったら、どのようにコミュニケーションを図るのか? “責任感が強すぎて何でも自分でやってしまうバズ部長”の攻略法を尋ねてみると「どうするでしょうねぇ…(笑)。確かに、何でもできちゃうから『一人でやった方が早い』という部分はあるんでしょうけど。
私も新入社員の役は何度かやらせていただいたことがありますが、やる気はすごくあるのに、なかなか仕事を任せてもらえなかったり、“働き方改革”の影響で新人は残業なしで早く帰り、その分は上司がやらなくちゃいけなくて…みたいな話も聞いたことがあります」とうなずきつつ、こちらから相手に心を開くことの大切さを口にする。

 「バズが心を開いてくれたのは、まずイジーが心を開いていたからだと思うんですよね。弱い部分、できない部分をきちんと見せる。お互いに相手のことが分からなくて、探り合う部分もあると思いますけど、こっちがオープンになったほうが、相手も入ってきやすいだろうなと思いますね」。

 改めて本作について「アトラクションに乗っている感覚になる映画」と語り、特にお気に入りのシーンについて「バズを助けるために、イジーが船から船へと宇宙空間を移動するシーンがあるんですけど、周りは星だけで、(聞こえるのはイジーの)呼吸のみで、イジーと(猫型友だちロボットの)ソックスだけが進んでいく。静かなのに迫力がすごくてドキドキしました!」と興奮した面持ちで語る。

 加えて「『バズってこんな人だったんだ?』 『バズでもこんなことを思うんだ?』といったバズの人間らしさが見えるのは、この映画ならではだと思うし、そこに勇気ももらえました。イジーは勇敢で、ちょっと背伸びしたジュニア・パトロールですが、弱い部分や苦手な部分を補い合って、みんなで成長していく。仲間ってこんなにすてきなんだということを感じてもらいたいです!」。(取材・文:黒豆直樹 写真:小川遼)

 映画『バズ・ライトイヤー』は公開中。

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