BiSHのアイナ・ジ・エンドが主演するブロードウェイミュージカル『ジャニス』より、レスリー・キー撮影による主要キャストのビジュアルと、アイナ・ジ・エンド、UA、浦嶋りんこ、藤原さくら、長屋晴子(緑黄色社会)のインタビューが公開された。

【写真】主演・アイナ・ジ・エンドら、レスリー・キー撮影によるミュージカル『ジャニス』主要キャストビジュアル

 1967年に音楽シーンに登場し、唯一無二の歌声で米音楽史を塗り替えながら27歳で急逝したジャニス・ジョプリン。

本作では、“亡くなる1週間前の一夜のコンサート”をコンセプトに、ジャニスの半生を舞台化。ジャニスが自らの物語を語り、それにひも付く数々の名曲を熱唱していくだけでなく、彼女に大きな影響を与えたアレサ・フランクリン、エタ・ジェイムス、オデッタ、ニーナ・シモン、ベッシー・スミスらも登場し、共に圧巻のステージを披露する。ジャニスの魂を称える音楽の旅でありながら、同時に、ルーツとなるシンガーたちを祝福するトリビュートとなっている。

 オリジナルのブロードウェイ版は2013~14年、ニューヨークのライシーアム・シアターで上演され、その後の北米ツアーも長きにわたって好評を博した。

 このミュージカルにジャニス・ジョプリン役で挑むのは、ミュージカル作品初出演、初主演となり、BiSHのメンバーとしても活躍するアイナ・ジ・エンド。そのほか、アレサ・フランクリン役にUA、ニーナ・シモン役に浦嶋りんこ、オデッタ&ベッシー・スミス役に藤原さくら、緑黄色社会のボーカルを担当している長屋晴子がエタ・ジェイムス役にて出演。UA、藤原、長屋はアイナ・ジ・エンド同様にミュージカル初出演となる。総合プロデューサーには亀田誠治を迎える。

 初主演、さらには伝説的なロックシンガーを演じる意気込みについてアイナ・ジ・エンドは「ジャニスに“あなたのやることがあなたのすべて”みたいに言われてる気がするので、精一杯やりきりたいと思います」と語る。

 自身のアイドル的存在であるアレサ・フランクリンを演じることについてUAは「なんだか信じられない気持ちです。でも、運命の不思議というのか、自分の中ですごく当然のことのようにも思える部分もあります。両方の気持ちが存在してる感じで、ちょっと不思議な感覚です」とコメント。


 ニーナ・シモンを演じる浦嶋は共演者とのパフォーマンスについて「このキャスティングでこういう作品を2022年に日本でやるっていうのは、最初で最後なんじゃないかなっていう気がしてます、実は」と貴重な公演であることを強調した。

 ベッシー・スミスとオデッタの2役を務める藤原は「ずっとその当時の音楽を聴いて育ってきたので、すごく幸運な機会だなぁというか、出演させていただけるのがすごくうれしかったです」とオファー時の心境を語った。

 初のミュージカル出演にてエタ・ジェイムス役を務める長屋は「挑戦だなって思っています。これから起こることや経験することがすべて自分にとってプラスになってくれる気がしています。きっとこれからのバンドにも影響していくような気がしますし、新しい自分の扉を開く感じで、楽しみです」と新たなジャンルへ飛び込む期待を語った。

 ブロードウェイミュージカル『ジャニス』は、東京国際フォーラム ホールAにて8月23・25・26日上演。

 各インタビュー(※抜粋)は以下の通り。

<アイナ・ジ・エンド インタビュー(※抜粋)>

――ジャニス・ジョプリンのイメージは如何でしょう?

 27歳で亡くなったという割に名言がすごく多くて、自分もはっとするような言葉が多いです。生き方がかっこいいなーみたいなのを、めちゃくちゃ思います。「あなたはあなたの妥協したものになる」って、よくわからないけどいろんな意味に捉えられるじゃないですか。“自分を安売りするな”っていう意味にも聞こえるし、“あなたはあなたがしたことがすべてだから、すべてをあなたの思うようにしなさい”みたいな意味にも聞こえる。だから、まだジャニスの言葉の本心はわかってないんですけど、私は“自分を安売りするな”って受け取っています。


――ジャニスとの共通点はありますか?

 知れば知るほどあるんですが、さみしがりやだったのかなって思っています。ドキュメンタリーとか、友達と電車で移動してツアー回っている映画を見たりすると、すごく楽しそうですけど、どっか空っぽな目をしていて…。その時間があるからこそ、歌で発散する、だからあのソウルフルな歌が歌えているのかなって思ったりして。そこはちょっと似ているのかなって。人に言葉で伝えるのでなく、そのエネルギーを歌に持っていくみたいなところはちょっと共通点なのかなって思ったりしていますね。生きがいが歌、みたいな。

――今回の共演者とパフォーマンスする意気込みは?

 自分一人で夜にジャニスのことを考えていると、ぼんやりしてきちゃうんですよね。ぼんやりして体だけが熱くなっていっちゃって。不思議な感覚になっちゃうんですよね、今。たぶんそれって、自分で気づいていないだけで、もしかしたら、これをプレッシャーっていうのかなとか、思ったりしてて。でもその時にぱっと思いつくのがそのキャストの方々で。“大丈夫だ、UAさんがいる”とか。
“大丈夫だ、晴ちゃん(長屋晴子)がいる”とか。なんかこう自分1人で踏ん張らなくても、すばらしいキャストの方々がいるから、気負わずみなさんで作り上げていこうって自分に言い聞かせてて。きっとジャニスってそんなに気負った性格してなさそうな気もするんで。楽しみにしておこうと思っています。

 ジャニスに“あなたのやることがあなたのすべて”みたいに言われてる気がするので、精一杯やりきりたいと思います。

<UA インタビュー(※抜粋)>

――今回「ジャニス」のオファーがきた時の感想を教えていただけますか?

 アレサは私のルーツと呼んでまったくおかしくない存在で、“アレサ”というワード自体にはすごく親近感があったんです。ただそれを自分が演じるっていうことは、ちょっとショック状態というか、「え? ほんとに?」って耳を疑うような感じでした。

 アレサもジャニスも、自分にとってはルーツの女性ですが、あくまで伝説上の存在でした。アレサは飛行機が嫌いなので日本に来なかったし、アメリカで見る機会もなかったので、生身の彼女を見たことがなくて…。ほとんどレジェンドみたいな形で存在する方なんで、ちょっとまぁ、衝撃でした。でも自分の記憶の中でなんだか運命のように思えてくる節もあって。なんともひと言で言いにくい感覚だったんですけれども。


――UAさんとアレサ・フランクリンの出会いと、その衝撃について振り返って教えてもらえますか?

 学生時代を京都で過ごしたんですけれども、その当時のボーイフレンドがレコードのコレクターでおうちに1000枚くらいあるようなところに住んでいたんです。で、お誕生日だったかな。もらったレコードが『アレサズ・ゴールド』という、とってもすてきなジャケットのアレサのベスト盤でした。で、私はそれをずーっとレコードプレイヤーで聴いていて、歌詞カードもなかったので、耳で聞き取った音をカタカナで書いて、歌ってたんですよ。それが10代の後半、学生時代の話です。

――アレサ役を演じることについて。

 アレサを演じるってことはまったく…想像どころか思いつくことがまるでなかったですね。だから、なんだか信じられない気持ちです。でも、運命の不思議というのか、自分の中ですごく当然のことのようにも思える部分もあります。両方の気持ちが存在してる感じで、ちょっと不思議な感覚です。

――今回出演する意気込みを聞かせてください。

 今日改めて衣装とヘアメイクでアレサをオマージュしましたが、今の私のことも皆さん本当によく見つめてくださいました。
ずっとお話もきいてくださって、ぎりぎりまで粘って、良くなるようにって撮らせていただきました。ああ、本当に始まるんだなあっていうか、ちょっと武者ぶるいっていうか、そんな感じです。いよいよ近づいてくるので、自分もそのことを念頭に置いて、日々の暮らしからしっかりと過ごしたいと思います。ここからあっという間にくると思うので、できる限りのイメージを持って日々取り組めたらいいなと思います。

<浦嶋りんこ インタビュー(抜粋)>

――ニーナ・シモンを演じる実感みたいなものがより高まった感じですか?

 高まりました、とっても。数年前に公開されたNetflixのニーナ・シモンのドキュメタリーフィルムをちょうど見たところなんです。歌っているニーナだけではなくて、彼女の生い立ちとか、そういったものも含めて細かく見ることができました。ちょっと想像していたニーナ像と違ってきましたね。彼女の人としての苦悩だったりとか、歌わざるをえない感情だったりとか、そういうことがフィルムで見られたことがとてもよかったです。よりハードルは上がったんですけれども。

――今回「ジャニス」の話が来たときの感想を教えていただけますか?

 なんて贅沢なステージなんだろう、と思いました。すごいキャスティングをしているっていうのも伝わってきていましたしね。
オムニバスみたいなコンサートではなくて、舞台としてやるんだっていうのを聞いて、“すごいことをしようとしているのね”って思いました(笑)。アメリカだったらそれこそジャニスの浸透度も高いでしょうし、ブロードウェイで公演をずっと打てるくらい客層も幅広いと思うんですよね。何度も劇場に足を運ぶ人も多いでしょうし。それを日本で舞台化することのハードルってたぶんアメリカとは違うものがありますよね。それを思った時に、“なるほど、だからこそこのキャスティングなのか”って思いました。

――今回のキャスティングについて。

 いやあ、新鮮です。ミュージカルって、本数たくさん打つのがミュージカルだとすると、これはもう規格外のお話じゃないですか。だって、本数打てないキャストでやってるわけですから。だから私は今回限りだと思い込んでいるんですよ。このキャスティングでこういう作品を2022年に日本でやるっていうのは、最初で最後なんじゃないかなっていう気がしてます、実は。

――今回の出演する意気込みを聞かせてください。

 感慨深いですね。ジャンル的に言うと、たぶん自分はヒップホップとかソウルが好きなシンガーとして生きてきたつもりでいるんです。それがロックのジャニスとどうコラボするんだろうって思ってたんです。こんな形だったらあり得るんだって今回気づかせてもらいましたね。何十年も歌ってきましたが、ジャニスの曲をカバーすれば、ジャニスを歌ったみたいな気持ちになれるってことではないんです。だから今回こんな形で「ジャニス」という舞台を作り上げ外に見せていく、そのエネルギーのひとかたまりに自分がなれるんだと思ったらとってもうれしいです。

<藤原さくら インタビュー(※抜粋)>

――今回「ジャニス」のお話が来た時の感想を教えてください。

 舞台には1度出演させていただいたことがあるんですけど、それはミュージカルではなかったんです。ミュージカルってどんな感じなんだろう、出演してみたいなと思っていたところに来たお話が今回の「ジャニス」でした。自分もすごく音楽が大好きで、ずっとその当時の音楽を聴いて育ってきたので、すごく幸運な機会だなあというか、出演させていただけるのがすごくうれしかったです。

――出演に向けて今の気持ちを教えてください。

 やはりこれをやるのかって思うと緊張しますね。実在するアーティストをまねする、アーティストがアーティストの役を演じるってなると、すごく難しいじゃないですか。自分の個性もあったりとか自分の歌もあったりする中で。ブロードウェイ版はその辺がうまく融合されていて感動しました。私もベッシー・スミスとオデッタと藤原さくらをうまく融合させられるといいなと思っています。

――どんな方に見てもらいたいですか?

 私はすごくルーツミュージックが好きで、いろんな音楽を聴いてきたんです。昔はCDとかいっぱい買ってたんですけど、今はサブスクだったりで音楽を手軽に聴けるようになりました。サブスクにはいい面もあると思います。ジャニスやベッシー・スミスやオデッタを知った人が、すぐに聴けますからね。

 今回この舞台を見て、あんなすてきな音楽があるんだって知ってもらえる機会になるんじゃないかなって思ってます。私と同い年の子とかでも、私が聴いてるフォークとか知らない子が多いんです。ジャニス・ジョプリンも、私の同世代だったら知らない子は知らなかったりとか。50~60年代の音楽は聴かなくなってるのかなって。今の音楽の根底のものだと思うので、自分が好きだからみんなにも知ってもらいたいなと思っています。

――今回出演する意気込みを聞かせてください。

 ジャニス・ジョプリンという、熱い気持ちを持って音楽を楽しんでいた女性がいます。この作品では、ジャニスと周りにいた人たちとの相関図が描かれます。ジャニスが憧れていた人だったり、ジャニスと一緒にライブをした人だったり、音楽を通じてジャニスと繋がったそういう仲間たちをたくさん見られる舞台になっていると思います。私も心を込めて2役演じます。がんばります!

<長屋晴子(緑黄色社会) インタビュー(※抜粋)>

――今回のオファーが来た時の感想を教えてください。

 ミュージカルとか舞台は、もともと見るのは好きで興味はあったんですけど、自分は普段バンドをしているので別の世界だと思っていたんですよ。興味はあるけど、それを言葉にするのも申し訳ないくらい違う世界なんじゃないかなって。そんな感じのところにお話をいただいたので、うれしい半面、自分につとまるのかなっていう不安がすごくありましたね。悩んだんですけど、うちのメンバーとかスタッフがすごく後押ししてくれたので、それもあって頑張ろうと思えました。

――今回の共演者とのエピソードがあったら教えてください。

 主演のアイナちゃんは結構何度か顔を合わせていたんですよ。イベントとか番組とかで同じ日になることが多くて。あいさつをする程度だったんですが、実はこのお話が決まってから共演する機会があったんです。その時に、よろしくねっていう感じで深くお話をさせてもらいました。

 もともとテレビで見ていたりして、なんとなくこういう子なんだろうなっていうのは思っていたんですけど、それ以上に愛嬌がある感じでした。アイナちゃんからすごい話かけてきてくれたんですけれども、それがとてもうれしかったです。今はこの舞台の話をしてて、なんか今度一緒に作品見ようよとか、勉強会しようよとか、そういう話をしています。

 藤原さくらちゃんは、うちのメンバーがすごく仲よくて、その話をメンバーづてに聞いたりしていました。音楽のイベントで同じ日になって、お話ししたことはありますが、深いお話まではまだできてなかったんです。同世代なので今回の共演はすごくうれしいです。

 そもそもバンドをやっていると、女性ボーカルが数的に少なくてあまり共演する機会がなかったりするんです。でも今回はすばらしい女性ボーカルの方が1度に集まりますよね。刺激的でしかないなと思っています。いろんなものを吸収して自分の中に取り込んでいきたいなと思います。

――どんな方に見てもらいたいですか?

 ブロードウェイ版を見て、どんな人が見てもきっと楽しめる作品だと思ったんです。私のようなミュージシャンや音楽好きな人、音楽をやってる人からすればもちろん勉強になることも多いし、刺激を受ける作品です。でも、全然音楽の知識がない人でも楽しめるシーンがすごくたくさんあるんですよ。なので、むしろ私は、まだジャニスや音楽の歴史を知らない人に見てほしいかもしれないですね、発見がすごくあるんじゃないかと思うんです。すばらしいアーティストがたくさん出てくるので、それを知るきっかけにもなるし、そうじゃなくても単純にすごく楽しめる作品だと思います。

 音楽って時代によって変わるじゃないですか。今回出てくるのはR&Bとかブルースとか、今の音楽を聴いてる人からしたら、もしかしたらちょっと耳馴染みのないような音楽かもしれない。でも逆に古いものが新しいものと思えると思うんですよね。その感覚をぜひ味わってほしいなと思います。

――今回出演する意気込みを聞かせてください。

 挑戦だなって思っています。これから起こることとか経験することがすべて自分にとってプラスになってくれる気がしていています。きっとこれからのバンドにも影響していくような気がしますし、新しい自分の扉を開く感じで、楽しみです。

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