並み居る夏ドラマのなかでも、林遣都と仲野太賀がダブル主演を務める『初恋の悪魔』(日本テレビ系/毎週土曜22時)が、特に高い期待を集めている。『Mother』『Woman』『anone』(いずれも日本テレビ系)の演出・水田伸生と脚本・坂元裕二が組むオリジナル作品で、警察署に勤めながらも捜査権のないメンバーたちが、真実を求めていくミステリアスコメディだ。

林遣都と仲野太賀は、共に10代だった林の主演デビュー映画『バッテリー』(2007)から続く仲であり、プライベートでも交流を持つ関係。そんなふたりに、歩んできた中身もにじみ出てくる年齢になった互いの“顔”を見て、今何を思うかを聞いた。

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■“馬”と“鹿”の関係に期待

――停職処分中の刑事の“鹿”浜鈴之介(林)と、総務課職員の“馬”淵悠日(仲野)のコンビですね。

林:“馬鹿=バカ”、ですよね。全然気付いてなかったです。ドラマの情報が解禁されて、SNSなどで指摘されていて、「確かに」って(笑)。

仲野:僕も全く気付いていなかったです。「あ、そうか」となりました(笑)。

――坂元脚本ということで期待も高いですが、互いの役への印象は?

林:クランクイン前に本読みをしたのですが、素直に「さすがだな」と思いました。どちらかと言うと、周りがちょっと変わった人たちで、悠日は簡単に言うと「なんだこの人たち」と右往左往するというか、受けの立場が多いと思うんです。そこに太賀は彩りを持たせていて、これはほかのキャストの皆さんそうですが、個性豊かな色濃いキャラクターたちをさらに膨らませて人間味あふれるものにしている。本読みをしながら感じてすごくワクワクしました。


仲野:最初から鈴之介を遣都くんがやったら合うだろうなと思いました。遣都くんが演じることによって、この役がどんどんイキイキして躍動していくのが目に浮かびます。はじめはちょっと人間味のない役だと思うんですけど、鈴之介を知っていくうちに、どんどんにじみ出てくるものがあると思いますし、そこの遣都くんは天下一品だと思います。

■30歳をまたいだ31歳と29歳の現在

――おふたりは31歳と29歳。ちょうど30歳をまたいだ年齢ですが、変化してきていることはありますか?

林:僕は30歳になってガラっと変わりました。20代のころは「このままじゃダメだ」と、焦りとか、いろんな思いがあって、俳優として意識的に自分自身を変えたいと思っていたところもありました。焦りは常に変わらずあるのですが、30代になって大きく感じるのは、やっぱり体が資本だということです。だからすごく生活改善しています。20代の頃は、朝まで起きていて平気でしたし、次の日の昼まで起きているなんてこともありましたが、今は深夜2時を回ったらもう体がダメです(苦笑)。これから40歳50歳となっていくなかで、俳優として動ける体でありたいと、先輩方を見ていても感じるので、生活を大切にするようになりました。

仲野:僕は29歳ですが、30歳になったその日に何かが変わるかといったら、そうではないですよね。でも僕自身というよりは、周りからの見え方、見られ方は変わるのかなと。
そういった意味でもしっかりしなきゃと思っています。でも楽になることもあるだろうし、楽しみのほうが大きいです。だからこそ、20代のうちにやれることを今、一生懸命にやろうと思っているところです。

■出会いから17年。それぞれの歩みをどう見て来た?

――出会いから17年とのこと。長い付き合いですが、それぞれの役者としての歩み方はどう映っていますか?

林:お互いにいろいろな時間を過ごしてきて、それこそ太賀の悩める時期なんかも知ってるんです。でも、これは自分もそうですが、絶対的に自分を信じて向き合っていた。同年代の役者でも、もがいている仲間はたくさんいますが、太賀は間違いなく誰よりもアグレッシブにこの仕事と向き合って行動してきているなと思います。「運がない」とか、「巡り合わせがない」とか、どうしても人って言い訳にしてしまいがちですよね。でも太賀は、自分の俳優力、人間力で、そういった運や人との出会いを自分自身で引き寄せて歩いている人だと思います。

仲野:遣都くんは、幸か不幸か、俳優としての何かが形成される前に大々的に主演での輝かしいデビューをしていて。本当にいろんなことを経験してきただろうし、それゆえに苦労もあったと思います。
その歩みは僕とは対照的で、想像することしかできませんが、でも、一見外から見たらキラキラしていたように見えて、遣都くんも立ち止まったり、壁にぶつかったり、常にもがいてきているんです。そして必ず這い上がって進む。よく言っていますが、数年おきに決定的なブレイクがあって、林遣都という俳優像を自ら壊して進んでいくんです。そういう人です。

■大人になった互いの“顔”に思うこと

――そんなお互いを見て、それぞれ、どんな“顔”になってきたなと改めて思いますか?

林&仲野:うーん(ともにかなりじっくり考えて)。

仲野:いま隣を見てパッと思ったのは、遣都くんも目尻にしわが出てきたなと(笑)。たくさん笑ってきたんだなというのがよく分かります。いい経験を積んできたんじゃないかなと。出会った頃は、本当にきれいな、もうそれはすごい美男子で、「こんな人がいるんだ」と思いました。そうした美しさも、これまでの遣都くんがいろんなものを噛みしめながら進んで来た歩みと相まって、“笑いじわ”や渋みとなって出てきている感じがします。

林:それこそ太賀も、作品や写真などを見ていても、顔や雰囲気が渋くなってきたなと思います。本当に目まぐるしく、いろんな経験を積んできた人だと思うんです。
そのことが年齢も重ねてきてちょっとした余裕を生んで、色気にも繋がってきた。そんな風に見ています。

――ありがとうございます。最後にひと言お願いします。

林:絶対に面白い作品になると確信しています。誰も見たことのない、坂元さんが新たに作り出す世界に飛び込めるのが楽しみです。

仲野:面白いドラマを作れる予感しかしていません。キャスト、スタッフみんなで共犯関係的に、日本のテレビドラマの新しい到達点を作れればステキだなと思っています。

(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)

 ドラマ『初恋の悪魔』は、日本テレビ系にて7月16日より毎週土曜22時放送。

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