1997年の連載開始から今年で25周年を迎え、全世界累計発行部数が5億部を突破しギネス世界記録も更新した人気漫画『ONE PIECE』。そのアニバーサリーイヤーに公開された映画『ONE PIECE FILM RED』も大ヒットを記録している。
【動画】“ウタ”名塚佳織と“シャンクス”池田秀一が『ONE PIECE FILM RED』アフレコ裏話を語る!<ネタバレあり>
■「シャンクスのことだからおいしいとこだけ持っていくんだろう」と思っていた(笑)
――今回『ONE PIECE』の劇場版では初めてシャンクスがフィーチャーされ、シャンクスの娘・ウタも登場します。
池田:映画への出演のお話を頂いた時は、「久しぶりにルフィがシャンクスを思い出してくれたのかな」っていうぐらいに考えてました。「1シーンか2シーン、出てくるくらいなのかな」と思っていたので、ちょっと油断していました(笑)。台本を読んで「あ、これはちゃんとやらなきゃいけないな」って思った次第です(笑)。
――名塚さんはシャンクスの娘・ウタ役での映画出演をどう感じましたか?
名塚:驚きましたね。私も、原作を読んでいましたし、まさかシャンクスに娘がいるとは思わなくて…!(原作ファンの)皆さんと同じように、ただただ驚きました。
――今作の情報が発表されて、『ONE PIECE』ファンの方々もザワついたと思うんですが、お二人も周囲からいろいろと反響があったと思います。
池田:『ONE PIECE FILM RED』の超特報で、最後にシャンクスのアップが映るんですよ。僕自身は、その時点でまだ台本を頂いてなかったんですけど、(周囲から)「あれ? これは結構出番があるんじゃないの?」「もしかして大変かもね」と言われました。でも、まぁ「シャンクスのことだから、大変って言っても結局はみんなを騒がせて、おいしいとこだけ持っていくんだろうな」と思っていましたが(笑)、すごく活躍していて、とてもありがたいと思っています。
名塚:ウタの役を頂いてから情報解禁までの時間が結構長かったんです。決まってすぐに友達に言いたくてしょうがなかったんですけど、そこはグッと我慢して(笑)。情報解禁になってからは、みんなからお祝いの連絡を頂いたり、別の現場でも「あの『ONE PIECE』に出るんだって?」と同業者やスタッフの方々に声かけていただいたり、「楽しみにしてる」と言ってもらえたりして、改めて『ONE PIECE』という作品の大きさや期待度を感じました。
実際にウタのキャラクターと向き合う時に、「シャンクスに育ててもらったんだな」と感じる部分がたくさん見えてくるんです。きっとシャンクスの優しさと懐の深さ、愛情をいっぱい受けて育ったんだろうなって。大事にされすぎて、ちょっと箱入りなところはありますが(笑)、シャンクスのおかげで魅力的な女性になってるんじゃないかなってすごく感じます。
――ウタとご自身の似ている部分は?
名塚:決めたことを成し遂げたいっていう気持ち、絶対にやり遂げるんだ!というウタの思いでしょうか。私も途中で諦めたり投げ出したりするのはすごく嫌なので、彼女の人生を一緒に歩みながら“最後まで頑張ろう! 貫き通そう!”と思っていました。
■シャンクスとルフィ、約20年ぶりのアフレコ 「当時の思いが復活してきた」
――池田さんは今回、シャンクスの現在の姿と、12年前の若い時期の両方を演じられています。演じ方の違いは意識されましたか?
池田:演じ方、として明確には意識しなかったけど、監督が年代順で収録してくださったんですよ。おかげでムリなく演じられました。
――今回はシャンクス率いる赤髪海賊団も登場します。
池田:(赤髪海賊団の)仲間たちとは一緒に収録できなかったんですが、でも出来上がった映画を拝見したら、仲間もみんな頑張ってくれているんだなって実感できました。
名塚:私も赤髪海賊団の皆さんと一緒に収録できなかったんですけど、赤髪海賊団のみんなが小さい時からウタを見守ってくれていたんですよね。脚本からもその温かさはすごく伝わってきたんですが、そこに皆さんの声が入ることで、より一層深みが出ているなって思いました。
――ちなみにルフィ役の田中真弓さんとは収録でご一緒されたのですか?
名塚:(ルフィとウタとシャンクスで)3人で収録しましたよね。
池田:うん。少し特殊な空気感を僕は感じました。真弓ちゃんとこうやってアフレコするのは、もう20年ぶりぐらいですから。テレビシリーズではすれ違っていたりしましたけど、一緒にセリフを言うのは久しぶりでしたから、懐かしかったですよ。お互いにまだ元気なんだなって思いながら(笑)。面白いもんで(アフレコが)始まると思い出すんですよね。20年前の思いが復活してくるというか…何の違和感もなかったですね。
■「シャンクスは私のもの」 ウタにとってルフィはシャンクスをめぐるライバル?
――改めて、シャンクスから見たウタやルフィはどういう印象だったと思いますか?
池田:僕は、個人的には古い人間ですから、ウタやルフィと一緒にしゃべっていたり、(赤髪海賊団の仲間たちと)一緒に酒を飲んだりしている感じっていうのは、僕の中では“昭和”みたいな感じがするんですよ。だからウタやルフィ、赤髪海賊団と、シャンクスの関係性は、僕としてはそういう“昭和”の香りかな。ウタに対する接し方も“昭和”を意識していたかもしれないですね。
――ウタから見たシャンクスやルフィはどういう印象だったと思いますか?
名塚:シャンクスは、自慢のお父さんだと思いますね。劇中でも「かっこいいでしょ」ってルフィに自慢するシーンがあるんですけど、ウタはシャンクスに心から憧れていて、本当に大好きなんです。これは映画連動回のテレビアニメで描かれていたエピソードですが、出会ってからだんだんとウタもルフィのことを頼っていったり、助けてもらったりするんです。それでも「ルフィより私の方がシャンクスのことを知ってるし、シャンクスはルフィより私のことを見てるのよ」みたいな独占欲がウタにはあって(笑)。だからこそルフィに対してはよりライバル意識があるような気がします。いいライバルであり、大好きな存在だと思います。
――シャンクスとウタの関係も独特ですよね。親子であるのはもちろんですが、それを超える絆を感じます。
池田:僕は勝手に恋愛に近いのかなと思っているけど、ウタに対する気持ちって。
名塚:ウタの生き方や、歌にシャンクスもすごくほれ込んでくれているんですよ。だから海賊には音楽家が必要だって思ってくれているのかなって。たしかにそこは相思相愛な感じですよね(笑)。
池田:うん。そうだね。
名塚:ウタも、ほかのどこかで海賊がやりたいわけではなく、赤髪海賊団の音楽家でありたいと思っていて。
池田:うん。だから僕は…勝手ですけど、久しぶりにシャンクスが会いに来て、ウタが振り上げた手を止めて、「久しぶりに聴きに来た、お前の歌を」というセリフはもう…恋心ですよね。という意識で、僕自身は演じていました。実際は分からないけどね(笑)。今の若い子たちにも何か通じるものがあればいいなと思って演じました。
――最後に、お二人が思う映画の“胸アツ”なポイントは?
池田:歌がすごいですよね、やっぱり。
名塚:体も心も持っていかれる感じですよね。
池田:そうそうそう。
名塚:今作は歌がメインということもあって、注目ポイントだと思います。
池田:そうだね。
名塚:あとはやっぱり、シャンクスがウタに会いに来てくれるところ、そしてルフィがウタに諦めずに声をかけ続けてくれるところ。2人のその姿が私の目にも焼きついているので、皆さんもそこがきっとすごく印象に残るんじゃないかなと思います。(取材・文:海江敦士)
『ONE PIECE FILM RED』は公開中。