監督・山下敦弘×脚本・宮藤官九郎の初タッグによる台湾映画『1秒先の彼女』リメイク版のタイトルが、『1秒先の彼』に決定。舞台を京都に移し、男女のキャラクター設定が反転で描かれる本作の主演を、俳優の岡田将生と女優の清原果耶が務めることが発表された。
【写真】監督・山下敦弘×脚本・宮藤官九郎による映画『1秒先の彼』W主演する岡田将生&清原果耶
台湾アカデミー賞最多受賞作『1秒先の彼女』は、何をするにも人よりワンテンポ早い彼女と遅い彼の、消えた“1日”を巡るラブストーリー。監督・山下敦弘と脚本・宮藤官九郎の初タッグによる日本版リメークは、舞台を京都に移し、男女のキャラクター設定が反転。それに伴い、日本版のタイトルは『1秒先の彼』になった。
岡田が演じるのは、何をするにもワンテンポ早く、イケメンなのにどこか残念な男性・ハジメ。清原は、何をするにもワンテンポ遅く、周囲のペースから微妙にズレてしまう女性・レイカを演じる。
岡田は「僕が演じさせてもらったハジメくん。1秒、人より早いんです。ちょっと口悪く、だけどぬけててとても可愛らしい役です。純粋な部分をいかに丁寧に演じるかが肝でした」とコメント。清原は「ポップだけれどノスタルジーな世界観をどう取り込めるのか、監督やキャストの皆さんと沢山言葉を交わしながら撮影に臨めれば良いなと思い現場に向かいました」と話す。
山下監督は「京都市のイメージは『せっかちなのにのんびり』。『1秒先の彼』は時間もテーマのひとつなので、その時間感覚も映したいと思いました。
宮藤は「今思えば、台湾版のキャスティングが完璧すぎて、当たり前になぞっても新しいものは生まれないし、忠実なリメイクを作ってもしょうがないし、男女反転という強引な改変で一気に世界が開けた気がします」としている。
映画『1秒先の彼』は、2023年夏公開予定。
コメント全文は以下の通り。
<コメント>
■岡田将生(ハジメ役)
山下監督とは以前「天然コケッコー」という映画でご一緒させていただきました。未だにあの時の撮影は鮮明に覚えてます。あれから16年。16年ぶりに監督とご一緒できる事、噛み締めました。そして宮藤さん。やっぱり宮藤さんの脚本は面白く、オリジナルの良さは残しながら宮藤さんらしさ全開で、撮影が始まる前から楽しみでいっぱいでした。
僕が演じさせてもらったハジメくん。1秒、人より早いんです。
16・17歳の時にはできなかった、監督からの指示を理解することが出来る様になり、時が経ち、一俳優としてまた一緒に映画の現場に立ててることは感慨深いところがありました。
■清原果耶(レイカ役)
原作を観た時、とても愛らしく切ない2人のすれ違いに心を動かされました。ポップだけれどノスタルジーな世界観をどう取り込めるのか、監督やキャストの皆さんと沢山言葉を交わしながら撮影に臨めれば良いなと思い現場に向かいました。
山下監督とは、今回初めてご一緒させていただいたのですが作品の空気感を大切にしながら柔らかい雰囲気で現場にいらっしゃる印象があります。岡田さんとは、数年ぶりにお会い出来たので、また一緒に現場を作れることが純粋に嬉しかったです。宮藤さんの魔法がかかったような脚本とにらめっこしながら、精一杯レイカを生きました。是非お楽しみに。
■監督:山下敦弘
京都市のイメージは「せっかちなのにのんびり」。『1秒先の彼』は時間もテーマのひとつなので、その時間感覚も映したいと思いました。また、日本海側でも撮影出来たので、京都の色々な表情が撮れたんじゃないかと思っています。キャストは、ある日「男女を反転させる」というアイデアが飛び出したことで、自然と“岡田将生”と“清原果耶”が頭に浮かびました。日本でリメイクする意義に繋がると信じています。清原さんの魅力は、とにかく真っ直ぐなところ。“レイカ”は、どこかフワッとしたキャラクターなので、真っ直ぐで芯のある清原さんにとっては難しかったかもしれません。でも、最終的には脚本をはみ出した、清原さんにしか描けない“レイカ”になりました。
そして、岡田くん。『天然コケッコー』から16年。脚本の宮藤官九郎さんとは、俺より岡田くんの方が経験があったので、正直現場では助けてもらってばかり。良い俳優なのはもちろん、相変わらず良いヤツだったのがホント嬉しかった。
■脚本:宮藤官九郎
配役で煮詰まり「男女の役を入れ替えるというのはどうでしょう」と提案された時、自分でもなぜだか分からないのですが「ヒロインが岡田将生くんなら、それもアリですね」と答えました。岡田くんには不思議な“ヒロイン感”があると思ったのと、郵便局の窓口に岡田くんが不満げな顔で座っている様が容易に想像できたからです。
「で、本当のヒロインは清原果耶さんに当たろうかと」 おお! その手があったか! 清原さんなら、この珍奇なファンタジーに観客を自然に誘導してくれそう。生き急ぐ岡田将生とモタモタする清原果耶。一秒先の彼なのか一秒前の彼女なのか。とにかく楽しく書けそうだ。
今思えば、台湾版のキャスティングが完璧すぎて、当たり前になぞっても新しいものは生まれないし、忠実なリメイクを作ってもしょうがないし、男女反転という強引な改変で一気に世界が開けた気がします。台湾とは似ても似つかないはずの京都の風景も、とても良い効果を生んでいると思います。楽しみです。